Kiss me and Kill them

艦これssです。
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奈楽マン @SonoTaichi

「白餡と小豆餡で作った水饅頭、赤餡で毛細血管も再現してるぞ。通称めだ饅頭」 瞳孔を再現する為にわざわざ色の違う小豆餡まで使って出来た幾つもの眼球は、赤城がスプーンで掬って食べる度にグルグルと動いて対面に座る五十鈴を見詰める。 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:12:52
奈楽マン @SonoTaichi

「何が、まともですって?」 冷ややかな眼差しがセンに注がれた。 「あー……、腕は良いんだよ。センスは最悪だが」 頬をぽりぽりと掻きながらストローで毒茸汁を吸う。 炭酸のスイカジュースにラズベリーの酸味が混じって見た目からは想像出来ない爽やかな喉越しだ。 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:13:16
奈楽マン @SonoTaichi

「……まぁ良いわ、それよりビジネスの話に入りましょう」 自分は選択を間違えたかもしれないと思いつつ五十鈴は話を切り出した。 「OK、オレは何を探してくれば良いんだ?」 「とある遠隔操作装置よ、何処に有るのかも分かってるわ」 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:13:41
奈楽マン @SonoTaichi

「そーかよ、つまりは持って来るのが重要と。まぁオレの所に来るんだから当たり前だわな」 探し屋はにやりと笑う。 探すとは探偵の様に見付ける所までではなく、それを持ち帰る所までを含む。 もし対象物が他人の物であれば、当然窃盗か何かしらの手段で持ち出すのである。 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:14:08
奈楽マン @SonoTaichi

「場所は大湊警備府の92860番、地図で示すとここ。装置は機密保管庫か、或いは提督が持っている筈よ」 「登録番号は遅いが大湊とはね。相当な古参じゃないか」 「長くやってもクズはクズ。大した奴じゃないわ、大丈夫よ。それとも……、あなた達じゃ出来ないかしら?」 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:14:34
奈楽マン @SonoTaichi

五十鈴の挑発をセンは鼻で笑ってあしらった。 「そう言うのは良い。ところで聞いておきたいんだが、盗りに入った時そこの艦娘や提督を殺してしまう可能性が有るが問題は無いか?」 「殺せるのならね。秘書艦はイカれた高速戦艦よ、異能者だか知らないけどそう簡単に殺せはしないわ」 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:14:54
奈楽マン @SonoTaichi

嫌な物を思い出すかのような表情で、五十鈴は呟く。 多くの情報とこれまでの振る舞いは、彼女が内情を良く知る者だと言う事を示していた。 「そーかよ、まぁ良い。で、期限は何時なんだ?」 「明日」 「……何だって?」 さらりと言ってのけた五十鈴の顔を思わずセンが睨んだ。 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:15:23
奈楽マン @SonoTaichi

「明日の昼が期限よ、それまでに出来ないと言うのならこの話は忘れてちょうだい」 睨み返して来た五十鈴の表情は真剣その物であり、それが冗談などでは無い事をセンは理解する。 「……報酬は2000万だ、払えないのなら受けられん」 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:15:53
奈楽マン @SonoTaichi

「後払いになるけど?」 「これから前金を用意されても受け取る暇が無い、成功報酬で良い」 条件の提示を受けて五十鈴は数秒間の沈黙の後、右手を差し出した。 「……お願いするわ」 死人染みた肌をしたセンの右手がそれを握り返す。 「承った。明朝に連絡する、逃げるなよ?」 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:16:20
奈楽マン @SonoTaichi

「バカね、私は逃げも隠れもしないわ。そっちこそ尻尾巻いて逃げないでよ?」 鋭い視線が真っ向から衝突した。 その隣でずっと黙って食事をしていた赤城が口を開く。 「御馳走様。そちらも話が終わったようですし、帰るとしましょうか」 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:16:43
奈楽マン @SonoTaichi

見れば何時の間にか空となった皿が5枚も有った。 二人が食べていない以上、誰が食べたかは明白である。 「……何の為に居たの?」 「え?朝食を食べる為ですが」 「もう昼前よ!と言うか相方が仕事の話をしてるのに、なに自分は黙々とご飯食べてるのよ!?」 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:17:03
奈楽マン @SonoTaichi

「大丈夫です、昼食は帰ってから食べますので」 「まだ食べるの!?」 すっ呆けた返答をする赤城に五十鈴が突っ込みを入れる。 赤城の格好は若者文化的な服装や髪型にも関わらず、口調がそのままなので二人の遣り取りは冗談めいていた。 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:17:25
奈楽マン @SonoTaichi

「これがお目当ての鎮守府の地図でち。上空からの俯瞰図、見取り図、3Dマップ、配線図、監視カメラの位置も入ってるよぉ」 電脳空間内に舌足らずな少女の声が響く。 音声と言っても電子的なデータだが、電脳世界に精神を同調出来る者には声も聞こえるのだ。 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:17:58
奈楽マン @SonoTaichi

「感謝する。と言っても即座に出て来るって事は既にマークされていたんだな」 センは水着を着た桃色髪の艦娘から情報を受け取っていた。 潜水艦、『海に潜る』と言う能力から電子の海への適正を得た艦種であり、ネットワーク上での情報の交換に最も適した艦種である。 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:18:20
奈楽マン @SonoTaichi

「当たり前でち。分かってるとは思うけど『例の計画』関連だよ、何時もの通りに処理してくだち」 「はいはい、『委員会』に渡せば良いんだろ。念押しされずとも分かってるさ」 センは極当たり前の様に潜水艦娘と会話をする。 相当な電子演算処理能力の持ち主だ。 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:18:54
奈楽マン @SonoTaichi

「最近はセンもゴーヤの扱い方が雑でち!以前はもっと敬意を持って接してた筈なのに!」 「もっとフランクに話してくれと言ったのはそっちだろうに……」 「提督も潜水艦使いが荒いのでち!いむやとゴーヤなんか予備の義体まで相当な錬度になってるんですけお!!」 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:19:13
奈楽マン @SonoTaichi

ゴーヤは寝転がってじたばたと暴れた。 こう見えて『契約』による限界突破を除けば最大錬度手前の古強者である。 「分霊の乗っ取りじゃなくて別個体としてそのまま運用すれば良かったんじゃないかとオレは思うが……」 ゴーヤの言う予備とは、本来は別の分霊の身体だ。 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:19:35
奈楽マン @SonoTaichi

精神を統合吸収する事でコントロールを奪ったのである。 「ハードウェアを二つに増やす事で処理能力を高めるって事が目的でち。デュアルコア化で確かにマルチタスクは得意になったけど、それでもあの怪物には敵わないよぉ。戦艦なのに潜水艦より計算速いとかチート乙……」 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:19:56
奈楽マン @SonoTaichi

無駄話が過ぎた為にゴーヤはネットワークから強制ログアウトを受けた。 残されたセンは溜息を一つ吐いて肩を竦める。 「さて、オレも仕事に行くとしますかね……」 錆色の眼を閉じ、センは現実世界へと戻って行った。 #深・艦娘転生

2014-06-13 22:20:19
奈楽マン @SonoTaichi

大湊警備府の一つ、悪徳で知られる提督が管理するそこへ一人訪れる者が在る。 門番の艦娘が通行証の提示を求め、その者は『巡回憲兵』と刻まれたICカードを翳した。 こんな夜に、とは聞かれない。 法的措置を取る事が可能な憲兵に逆らう事は如何な提督と言えども不可能である。 #深・艦娘転生

2014-06-14 01:01:21
奈楽マン @SonoTaichi

すれ違う艦娘達は、黒色のマントをはためかせ司令室へ進む女性憲兵と目すら合わせようとはしなかった。 提督と憲兵の癒着は良く知られており、提督の悪事を見逃す代わりにみかじめ料を徴収する憲兵が訪問する度に提督の機嫌は悪くなるのだ。 #深・艦娘転生

2014-06-14 01:02:00
奈楽マン @SonoTaichi

「ご来訪歓迎いたします、憲兵殿。……して、こんな夜分遅くに何用ですかな?」 でっぷりと太った中年提督はテラテラと光る額をハンカチで拭いながら、油断無く眼光を光らせる。 金をせびるにしても予め連絡が来る筈、そして目の前の憲兵は見た事の無い顔である。 #深・艦娘転生

2014-06-14 01:02:20
奈楽マン @SonoTaichi

「……此処最近、海軍監査官が何度か訪れたようだな」 力強い凛々しさを感じさせる透き通った美声。 放たれた言葉を聞いて提督は顔を顰めた。 「それが何か?」 「貴君が何か……空調機のリモコンのような装置を持って少年を恐喝している所を見たと言う証言が上がっているのだよ」 #深・艦娘転生

2014-06-14 01:02:42
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