@ATOR86さんによる艦これ二次創作 「航空戦艦は空を征く」

@ATOR86さんによる、艦これ二次創作です。
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副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

盾にしていた島もよく砲弾に耐え土の雨を降らせていたが 、度重なる砲撃で抉れ、そろそろ盾としての信頼性を失いつつあった。 「五月雨!アンタの砲、借りるで!」 航空機を発艦させ終えた龍驤が、戦闘不能になっている五月雨の12.7cm連装砲を手に取る。

2014-06-14 19:07:33
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

「龍驤さん、砲戦なんて出来るんですか?!」 「ウチを誰やと思っとんねん!昔高射砲で風車野郎の哨戒艇沈めた事もあるんやで!」 「心細い!」 「ほっとけ!」 言い捨て、悠然と距離を詰め始めた戦艦級に島影から照準をつける。

2014-06-14 19:07:43
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

駆逐艦の主砲が戦艦級相手にどれだけ効果があるのかは知らないが、艦載機を出し切った龍驤にとってはこれが頼みの綱だった。 「回避機動も取らんと、舐め腐ってからに…。見とれデカブツ、目にモノ見せたるで。」 直近で上がった水柱の海水が砲と龍驤に降りかかる。

2014-06-14 19:08:01
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

バイザーの下で目を凝らし、龍驤が引き金を引いた。 瞬間、凄まじい爆発が4つ、戦艦級に起こった。戦艦級はのけぞり、背中から海へ倒れこむ。 「嘘?!姉御すげぇ!戦艦級を一撃かよ!」 「デタラメだクマ…。」

2014-06-14 19:08:18
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

「ンな訳あるかい。」 仲間の歓声に龍驤は白けた表情で応える。自分の砲撃は戦艦級の正面にささやかな水柱を立てているのをしっかりと見ていた。 それに爆発は戦艦級の右側に集中していた。誰か…戦艦級を屠れるほどの火力を持った「誰か」が、側面から戦艦級を殴り飛ばしたのだ。

2014-06-14 19:08:31
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

「要するに、助かったっちゅー事やな。本当に5分で来るとは思わんかったで、伊勢、日向。」 左側面に回り込んでいた重巡級に背後から飛んできた砲弾が直撃し、その上半身を吹き飛ばした。 爆炎と共に沈む重巡級。その残骸を踏み付け、爆煙を切り裂き2隻の艦娘が戦場に躍り出る。

2014-06-14 19:08:44
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

「日向、打ち合わせ通りにね!」 「あぁ。」 伊勢が阻止射撃を行い、その間に日向が遠征艦隊に接近し、大破した五月雨を抱きかかえる。残りの艦娘もそれぞれの得物を手に走る準備を始める。 「さぁ、帰ろう。」

2014-06-14 19:08:54
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

「日向、どうやってこんな早く来られたクマ?」 「その辺の話は後にしよう。龍驤、空はどうなってる?」 「さっき飛んできたのは粗方撃ち落としたから、敵さんの航空機は無しや。ウチらの戦闘機隊も残っとる。でも艦攻隊、艦爆隊は壊滅や。攻撃は無理やで。」

2014-06-14 19:09:10
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

「充分だ。敵の航空機に追尾されないよう、戦闘機に警戒させててくれ。収容はひと息ついてからだ。」 「伊勢!遠征艦隊の収容完了!後退しよう!」 戦闘を続けていた伊勢に日向からの撤退の声がかかった。 「おっけー!んじゃ…弾種変更!」

2014-06-14 19:09:19
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

伊勢の号令で彼女に搭載された4基の主砲の弾丸が交換され、砲が向きを変える。 上にマウントされた砲2つは上方を、下にマウントされた砲2つは正面を。 「撃て!」 砲撃。4基8門の砲が同時に吼える。 しかし砲弾は敵艦を狙ったものではなかった。

2014-06-14 19:09:32
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

上に飛んだ砲弾は空中爆発し、細かなアルミ箔の断片を辺り一面に撒き散らした。 正面に飛んだ砲弾は煙を吹いて飛び、海面に着弾すると一帯を煙で覆い尽す。 「『ちゃふ』と『すもーく』の詰め合わせよ!原理は私もよく知らないけど、これで電探も目視も使えないでしょ!ざまぁ見なさい!」

2014-06-14 19:09:45
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

もうもうと立ち込める煙のカーテンを前に哄笑する伊勢。 そんな姉を横目で見ながら日向は通信を入れる。 「伊勢、バカ笑いを止めてさっさと退散しよう。龍驤達も戦域を離脱しつつある。」 『バカ笑いとは失礼ね!』

2014-06-14 19:10:00
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

文句を言いながら踵を返し、日向の後を追う伊勢。去り際にだめ押しの煙幕を発射し、龍驤達の後を追う。 煙が渦巻く水面に、残された深海棲艦達の呪わしげな声が響いていた。

2014-06-14 19:10:08
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

夕刻。 敵の索敵域を逃れ、鎮守府への帰路を進む6隻の艦娘。一様に疲れた風体ではあったが、生き残れたという安堵の表情が全員にあった。

2014-06-14 19:20:27
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

「いやしっかし助かったでお二人さん。あと5分言われた時には提督のアホはとうとうイカレたかと…」 夕陽が水平線に沈むのを眺めながら龍驤が口を開く。 「お、そうだそうだ。それ聞きたかったんだ。」 龍驤の言葉を聞いた深雪が、伊勢と日向に寄る。

2014-06-14 19:20:52
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

「伊勢の姉さんたち、どうやってあんなに早く到着したの?」 「空を飛んだのよ。」 「あー!伊勢の姉さんアタシを子供だと思ってんなー!ひっでー!」 「だってホントだよ?」 伊勢が笑いながら答える。 しかし深雪は納得できないらしく、あれやこれやと伊勢に質問を重ねた末、日向に話を振る。

2014-06-14 19:21:18
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

「日向の姉さん、伊勢の姉さんが空飛んだなんてデタラメ言うんだよ!」 日向は暫く考えていたが、にっと笑ってこう答えた。 「航空戦艦だからな。空くらい飛ぶさ。」 終

2014-06-14 19:21:29
副赤@9/24 ぱんあ43 C-20 @ATOR86

良くもまぁあの警衛中に突如降って湧いた思いつきでここまでやったもんだ。成果の程はさて置くとして。

2014-06-14 19:26:17