少女活劇

少女活劇は一話完結の連作twnovelです。凜という少女が自身の冒険活劇を病床の少年に語って聴かせるというお話になります。更新頻度はほぼ毎日。凜が本当に異世界を冒険したのかというのは問題ではなく、少年の中で真実味があればいいのでしょう。 よろしくお願いします。
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猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

その子は毛皮に包まれて捨てられていたの。拾った老夫婦はその子を大切にし、その子もまた老夫婦の愛情に応えて、心優しい少年へと成長した。だけどある日、少年は隠されていた毛皮を見つける。するとその毛皮をまとい、一匹の狼となって山に帰って行ったわ。その子は今や私の大切な仲間よ。#少女活劇

2015-01-19 12:00:41
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

百年間閉じられていた土蔵が開けられたの。すると中から一匹の青い猫が現れたんだって。それがすべての発端で、青い猫を見たという人たちは次々と深い眠りに落ちてしまった。私は再び封印するために猫を捕獲する。私にも眠気が訪れたけれど、音楽をガンガン鳴らし、辛子を口にして耐えたわ。#少女活劇

2015-01-20 07:25:36
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

茸は美味しいだけじゃない。毒もそうだけど、何より怖いのは邪悪な意思が宿っているかもしれないってこと。その茸は黄泉の国から地上に現れたものと云われていてね。松茸のような見た目に騙されて食べたものなら、たちまち黄泉に落とされる。いわゆるよもつへぐいで、もう地上には戻れない。#少女活劇

2015-01-21 10:15:21
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

その森を抜けるためには青い鳥をランプの火屋に入れる必要があったの。青い鳥は蒼い光を発し、魔物と化した樹や、瘴気のような闇を寄せ付けなかった。そして森を抜けられたら、青い鳥を放してやる。その時オリーブの実を与えるのを忘れてはならないわ。もし忘れたら帰りは協力を得られない。#少女活劇

2015-01-22 07:00:34
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

何度倒しても蘇る不死身のヴァンパイア。だけどちゃんと対策は用意していた。逃げるふりしてヴァンパイアをとある場所までおびき出す。その中央に立った時、ヴァンパイアの体が崩れ始めた。そこは十字路。巨大な十字架がヴァンパイアの四肢を貫き、浄化する。あとには灰しか残らなかったわ。#少女活劇

2015-01-23 07:09:04
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

雷が鳴ったら妊婦さんはお腹を隠せと云われているの。異世界では雷はおへそだけでなく、胎児も奪ってしまうから。その少年も奪われた一人だったけど、家の近くの大木に落雷があり、そこから無事に発見されていた。私の冒険を手伝って貰ったこともあって、彼が操る電気は死者をも蘇らせるわ。#少女活劇

2015-01-24 07:09:23
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

丘の上に見えないお城があるの。招かれた人だけが入れる不思議なお城が。私のもとにも招待状が届き、胸を弾ませて行ってみる。丘の上では大勢の気配がし、美味しそうな香りが漂っていた。音楽も流れ、盛り上がっているようなんだけど、終始何も見えず、置いてけぼりを食らった気分だったわ。#少女活劇

2015-01-25 08:55:22
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

かまどに薪をくべていくの。そしてどんどん火を燃え盛らせる。するとね、遠くからかすかに汽笛が聞こえて来るわ。やがて蒸気機関の音までも轟き始め、機関車がかまどの後ろに停車する。そこで機関車から料理を購入すると、再び轟音を立てて立ち去るわ。召喚するまで大変だけど料理は絶品よ。#少女活劇

2015-01-26 12:15:52
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

その蜂蜜は頬がとろけるように甘いのだと云うわ。でも決して口に出来ない。なぜならば、蜂蜜が採取される花は黄泉路に咲いているから。この世とあの世の狭間を往来する特殊な蜜蜂だけがその蜜を集められるのよ。あの世の蜂蜜ということでよもつへぐいとなり、口にしたら最後黄泉に囚われる。#少女活劇

2015-01-27 09:14:08
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

読書の邪魔をするアブを追い払って欲しい。依頼主の令嬢は庭の椅子に腰をかけ、本を開いていた。するとどこからともなくアブが現れる。追い払っても追い払ってもキリがない。もう何匹目か分からないぐらいアブを切り捨てていた。令嬢が読んでいる本のタイトルはアブ。次は虎を読みたいとか。#少女活劇

2015-01-28 10:25:24
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

小国から招待状が届いたの。そこは緑豊かな小さな島だった。島のジャングルをくぐり抜け、小さな宮殿にたどり着く。王様は立派な王冠をして玉座に座っていた。すると兵士たちが私を取り囲み、王は私に王位を譲ると言い出した。私が兵士たちを倒すと、王は離れられない玉座から悔しがったわ。#少女活劇

2015-01-29 07:40:44
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

巨大な貝の魔物は聖剣でさえビクともしない。中にある大真珠を手に入れようにも取り出せないのよ。でも先人の知恵というものがある。薪で火を起こし、その上に貝を載せる。そしてガンガン火を焚き続ければ、熱に耐え切れなくなって口を開く。その後は海に戻し、また何百年後に期待するわけ。#少女活劇

2015-01-30 07:43:39
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

月というものは、忠実な犬のように人に付き従うわよね。でも月に嫌われた人も居るの。その人が月に近づくと月は逃げてしまう。月を追っかけて世界の果てまでやって来たけど、月は自決の道を選んだ。どうしてそこまで嫌うんだと絶望した月追い人は、自ら月となって夜道を照らし続けているわ。#少女活劇

2015-01-31 07:26:57
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

その卵は親鳥の歌声を聞いて育つの。だから人間でも、絶えず歌声を聞かせれば孵化させることが出来るわ。たまたまそれを手に入れた私は歌を聴かせ続けた。やがて卵の殻に亀裂が入り、私が見守る中雛が生まれる。雛は大きくなって飛び立ったけど、私の下手くそな歌を真似るのは止めて欲しい。#少女活劇

2015-02-01 13:48:46
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

煙突掃除夫の顔は煤だらけで、子供に馬鹿にされる始末。気づいたら追い払うけど、気にしている様子はない。そんなある日、土砂降りの雨が降って来た。私はのろのろ歩いている掃除夫を引っ張って軒先に逃げる。すると横に居たのは見違えるほど綺麗な人で、告白に頷いてしまいそうになったわ。#少女活劇

2015-02-02 11:52:44
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