さて、「ホドロフスキーの『DUNE』」だが、これは作品作りしたい人にとって、必見になると同時に猛毒になりうる作品かもしれない(続く
2014-06-17 23:22:49続き)まずホドロフスキーであるが、失礼とは思うが、意外と好々爺的紳士だった。話す内容も一貫しており知性的な感じがした。言っていることはやや誇張的な感じはしたが。何というか、もっと破滅的な人だと思ってたので意外だった(続く
2014-06-17 23:30:14続き)ホドロフスキーがDUNEを語るシーンで思ったのだが、ホドロフスキーはSFを神話だと解釈したのではないだろうかということ。宇宙船と惑星が出てくる神話と。SFを作る人が言いがちな未来的な云々が一切無かったのでそう感じた(続く
2014-06-17 23:34:00続き)個人的に笑ったのがハルコンネン役にオーソン・ウェルズ・皇帝役にダリをオファーした事。ウェルズはぴったりすぎて思わず劇場で笑い出しそうになった。ダリは……ホドロフスキーとどんな会話したのかそれが気になった(え。ダリは信じられない額の(一分間10万ドル)ギャラを提示(続く
2014-06-17 23:37:48続き)したが、多分ダリの事だから金が欲しかったというより自分のためにホドロフスキーがどれだけバカで破滅的な事するか見てみたかったのではと思ってしまった。そしてホドロフスキーは想像を絶したバカで破滅的だった。このギャラをOKしたのだ。出番は7分弱だから70万ドルになる (続く
2014-06-17 23:41:36続き)ちなみに最初は「一時間10万ドル」だった。この時点で稀有壮大なものになると解るだろう。他にも引きずり込んだ人材は綺羅星のような人ばかり。現在残っている絵コンテの「一部だけ」見ても壮大なスケールや圧倒的なビジュアルであることが見て取れる。だが同時に(続く
2014-06-17 23:46:07続き)「……これって予算面をクリアしたとしても実現できたのか?」という感想を抱く。映画向けCGの基礎~黎明期の時代、これだけのビジュアルをあの当時の技術で映像化できたのだろうかと。出演者どころか、音楽だけでも凄まじい人材ぞろいでとてもじゃないがギャラだけでパンクしそうだ(続く
2014-06-17 23:50:45続き)とすら感じた。今でこそSF映画は超大作番付にしっかり入るジャンルになっているが、当時SF映画なんてキワモノか、良くて「2001年」みたいな小難しいモノとされていた時代である。正直これだけの稀有壮大なSF叙事詩を当時拵えようだなんて、土台無理があったのではと(続く
2014-06-17 23:56:15続き)思ってしまった。そう、ただの人間の私には。だがホドロフスキーはやった、やろうとした。上映時間12時間というSF超大作を。そのために綺羅星のような人材と莫大なお金をかき集め、辞書よりも分厚く人を殴り殺せそうな絵コンテを描いた。私はついあの風車に突撃した(続く
2014-06-18 00:00:29続き)世界一有名な誇大妄想狂を思い出した。そういえば風貌も良く似ている(え。この誇大妄想狂の見た巨大な作品は結局カタチにはならなかった。作中一貫して好々爺的な態度のホドロフスキーが、唯一怒りを爆発させるシーンがある。予算で頓挫した時のことを話すシーンだ(続く
2014-06-18 00:03:56続き)ホドロフスキーは自分の財布から金を出して怒鳴り散らす。「こんなくだらないもののために、俺は自分の映画を諦めなくちゃいけなくなったんだ!」(大意)と。そこには映画で儲けようという姿勢は何一つ無かった。ただただ、自分の妄想を一つの形にしたいという願望がそこにはあった(続き
2014-06-18 00:08:10続き)……あのシーンでホドロフスキーがお札をちぎらないかと心配になったのは私だけではあるまい。そうそう、主演にするために当時12歳の自分の息子を格闘技の先生に預けた、というエピも十分狂気染みているだろう(続く
2014-06-18 00:13:39続き)こんな事いうのはアレだが、もしこのホドロフスキーの妄想がカタチになってたら、恐らく人生を踏み外す人間は山のように居たのではないだろうか。正直制作費が回収出来たかすら疑問だし。だが、この誇大妄想に惹かれ集結した「戦士達(ホドロフスキーは一貫してこう表現した)」が(続く
2014-06-18 00:18:35続き)がその後に残したもの・妄想が砕け散った後に残ったものはあまりにも偉大だった。その意味で「完成しなかったが故に伝説になった」のだと感じた。
2014-06-18 00:22:29さらに余談 原作とオチを変えたことについてホドロフスキーは「映画と原作というのはお婿さんと花嫁のようなもの。花嫁衣裳着た花嫁さんは綺麗だが、それだけじゃ映画にならん。衣装引きちぎって(字幕じゃソフトな表現でしたが、はっきりと言ってました)レイプしないと映画にならん」(続く
2014-06-18 00:28:03余談 劇場に行く途中で「いあ、でもあっちにも美術が流用されてたよね」とか話していた学生さんがいた。……多分私と同じ作品見たんだろうねw。
2014-06-18 00:35:47更に余談 作品を見た小屋(渋谷アップリンク)が斬新でびっくりした。殆どマンションの一室を改良したようなもの。アート系ならこっちの方が良いよな。椅子もふかふかで良かった
2014-06-18 00:37:54まとめのタイトルだが、私はホドロフスキーが作ろうとした「DUNE」の妄想を聞いたとき、ふとあの巨城のことを連想したからだ。誰も(作った人達ですら把握できない)あの巨大な城を。ドン・キホーテがあのゴーメンガースト城を作るために執念をかけたら、どんな事になったのだろうか
2014-06-18 00:46:25DUNEというゴーメンガーストと、ホドロフスキーというドン・キホーテ。この奇跡のような組み合わせはそれ単体で映画にできるほどの「伝説」になったのだ
2014-06-18 00:53:14