アンド・ストライク・ア・ゴング　＃１

劉度 @arther456

◇◇◇◇◇◇◇ ←九十一式徹甲弾

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（これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると大変ありがたいです。忙しい方はまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい）

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（これまでのあらすじ）ネオカルイザワ艦娘闇コロッセウム。民間に流れた違法艦娘や、退役した艦娘同士を戦わせて闇カネモチ共を楽しませる外道娯楽賭博施設である。だがその主催者は謎のヴェールに包まれており、正体はトーナメント優勝者しか知らないという。

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（ならば真っ向から叩き潰し、コロッセウムの闘士と闇カネモチごと闘技場を叩き潰すべし。その存在を知った提督は、身分を隠し部下を引き連れ、トーナメントに優勝した。そして最後の試練、主催者チームとのエキシビジョンマッチが今、始まる――！）

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<レディース・エン・ジェントルメン！>ネオカルイザワ地下闘技場。広大なドーム型の空間にはすり鉢状に観客席が並べられており、そこには暇を持て余した闇カネモチたちがコンパニオンや護衛とともに座っている。彼らが見下ろす酒肴は、空間の中央、殺風景な砂地で繰り広げられる。 1

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<今宵は遅くまでお付き合い頂きありがとうございます！只今より、エキシビジョンマッチを開催いたします！>闘技場にアナウンサーの声が響く。<優勝は、なんと本大会初参加！一ヶ月前に飛び入りで参加し、見事トーナメントを勝ち抜いたチーム「サーティースリー」です！> 2

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観客席最下段に座っていた、スーツ姿の細い人影が立ち上がり、闇カネモチたちに向かって一礼する。ボサボサの長髪に、不健康な顔つき。イヤリングがキラリと光る。<さる食品輸入会社の理事が、密かに艦娘を買い集め、このトーナメントに参加したとのこと！実力は折り紙つきです！> 3

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「ブヒヒ！お主も悪い奴じゃのう！艦娘の戦いにハマったか！」一番近い後ろの席にいる顔の汚いカネモチが呼びかける。理事はカネモチの言葉に、曖昧な笑みで応じた。無論、全て欺瞞である。スーツの人物は横須賀第３３地区を率いる提督であり、周りの艦娘たちはその部下である。 4

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提督は対面の主催者チームを見据えた。何人かの艦娘、少なくとも５人以上。だが、主催者らしき人影はない。彼女らを倒せる力が無ければ、会う資格が無いのであろう。特別試合は５戦。勝ち抜きでも３本先取というわけでもない。ただ勝てた回数でだけ賞金と、そして格が決まる。 5

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<それではエキシビション第一試合を始めます！>実況の声で、提督の思考は中断された。<まずは先鋒戦。挑戦者側から現れたのは、幾多の敵を柔術で放り投げてきた人間カタパルト！正規空母・赤城ィィィ！>紅白の袴の少女が、バトルフィールドである砂の大地に降り立った。 6

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今日の彼女は艤装を纏っていない。それがここでのルールだ。だが艤装が無くとも、艦霊と契約した少女の肉体は人間を辞めている。歳を取らず、その身体能力も一流の格闘家に匹敵するほど強化される。主催者の顔は分からないが、酔狂なことを考えたものだ。超人少女の格闘を見せ物にするとは。 7

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<対するは、エキシビション２５戦連続出場！不眠不休の戦闘マシーン！>赤城の目の前の地面が、ゴウン、と音を立てて開いた。開いた穴から床がせり上がってくる。<モーター・フルタカァァァ！>現れたのは、半身を機械化したセーラー服の少女だった。少女がアイサツする。 8

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「ドーモ、モーターフルタカです！重巡洋艦は強くて速い！」「いやいや待て待て！？」思わず提督が声を上げた。モーターフルタカと名乗った少女は、サスマタや電磁ロッド、果てはガトリングガンまで持っている。「ルール違反じゃねえか！主催者出てこい！」 9

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「これは義肢の一部であり、実際安全。モーターフルタカはハイ・テックなカラテで戦います！」「欺瞞！」「提督、ここは私にお任せください」赤城が構える。「これぐらいのルール違反は覚悟の上です。一航戦の誇りを持って、彼女を投げ飛ばして見せましょう」 10

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両者がリングの中央で睨み合う。「今なら投降を受け付けておりますが？」「結構です。南雲機動柔術は無敵ですから」互いに構えをとった。空気がピンと張り詰める。準備は整った。<では参りましょう！フリート・コンバット！セイリィィィ・ゴォォォ！> 11

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【アンド・ストライク・ア・ゴング】＃１

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「イヤーッ！」先手を取って飛び出したのは古鷹だ！圧倒的質量の右ストレートが赤城の顎を捉え、「イヤーッ！」否、捉えたはずの右手は空を切り、そして古鷹の体が宙を舞う！「グワーッ！」上下逆転し地面に叩きつけられる古鷹！ナムサン、果たして何が起こったのか！？ 12

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「これが、南雲機動柔術です」赤城が優雅に振り返る。南雲機動柔術の発端は、艦載機の式神をいかにして『着艦』させるかにある。飛行甲板の発明によってその問題は解決したが、それ以前は素手で艦載機をキャッチしていた。時速数百キロの飛行物体をどうやって掴むか？これが答えだ。 13

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「カラテ！」古鷹が立ち上がり、再び突撃！「イヤーッ！」繰り出された右腕を見切り、突撃の勢いを逆に利用して赤城が投げる！「グワーッ！」古鷹が地面に叩きつけられる！銃弾を弾き返す重装甲も、中の少女に与えられる衝撃を和らげることはできない！ 14

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「カラテ！」古鷹が立ち上がり、再び突撃！「イヤーッ！」繰り出された右腕を見切り、突撃の勢いを逆に利用して赤城が投げる！「グワーッ！」古鷹が地面に叩きつけられる！銃弾を弾き返す重装甲も、中の少女に与えられる衝撃を和らげることはできない！ 15

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「カラテ！」古鷹が立ち上がり、再び突撃！「イヤーッ！」繰り出された右腕を見切り、突撃の勢いを逆に利用して赤城が投げる！「グワーッ！」古鷹が地面に叩きつけられる！「グワーッ！？」だが見よ！赤城も手を抑えて苦しんでいる！一体何が起こったのか！？ 16

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異変の原因は古鷹の右腕であった。その艤装から湯気が立ち上っている。「パボッ……摩擦熱により、艤装表面温度が上昇中！実際アブナイので触らないで下さい！」欺瞞！モーターフルタカに搭載された赤熱攻撃システムが発動したのだ！だが傍目では加熱の理由は絶対に分からない！ 17

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「表面温度は予想の範囲内！モーターフルタカは戦闘を続行します！イヤーッ！」古鷹が腕を振り下ろす！赤城はサイドステップでそれを回避！「イヤーッ！」「グワーッ！」古鷹の顔に掌底が入る！だが火傷した手では浅い！「カラテ！」「グワーッ！」古鷹のキックが赤城を吹き飛ばす！ 18

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「くぅ……っ！」立ち上がった赤城は再び柔術を構える。多少の火傷は覚悟して、古鷹を投げねばなるまい。「イヤーッ！」古鷹が突撃、赤城は繰り出された右手を「アバーッ！？」見切れない！？古鷹の超重量右ストレートを受け、赤城の体がフェンスに叩きつけられた！ 19

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「重巡洋艦は強くて速い！テックの勝利です！」古鷹の右腕から大型スラスターが展開されていた。赤城が受けようとした瞬間、右腕がロケットブースターで加速したのだ！武器使用により反則か？否、主催者側である以上、何が起ころうと古鷹の反則がとられることはない。 20