◆「テメェ、そろそろ、やめときゃよかったとか考え出してねェか?俺についてきた事を後悔してンじゃねえか?」デスドレインは血走った目でランペイジを凝視した。「それとも飽きてきたンじゃねえだろうな?」ランペイジは目を逸らさない。デスドレインは舌打ちした。部屋の隅で寝るアズールを見る。◆
2014-06-19 21:46:54◆「あのガキもテメェもムカつく」デスドレインは絞り出すように言う「俺の事を売るつもりか?ア?」「……」ランペイジはまだ答えない。首を締められても、苛立たしげに眉間に皺を寄せるだけだ。殺風景な、コンクリート剥き出しのビルの一室。「テメェのその腕で、この間合いの俺を殺せるか?ア?」◆
2014-06-19 21:47:37◆「やってみるか」ランペイジが掠れ声で言った。デスドレインのニューロンを粘つく殺意が駆けた。彼はもう一度舌打ちした。ランペイジを撥ねつけ、寝ているアズールを蹴った。「うッ」少女の苦しげな呻き。デスドレインは部屋から出てゆく。「咎」のカンジ状に抉られた傷痕。◆
2014-06-19 21:49:43◆MAGURO AND DRAGON◆ pic.twitter.com/HB5mdFb7K9
2014-06-19 21:52:00◆諍いが不機嫌な無言の空気に変わると、アズールは物憂げに首を巡らし、小窓の外を見やった。少女は闇を凝視していた。◆
2014-06-19 21:56:03◆(見られたか?)ノーシーアムは廃屋の影にうずくまり、心拍数を一桁台にまで落として危機回避を重点した。そのまま数百秒の停止を経て、最大警戒を解除する。(否……だが、獣じみたカンの鋭さを見せる連中……引き続き油断はならんな)◆
2014-06-19 21:56:44◆「……」ニンジャスレイヤーは死体に屈みこんだ。「装備が剥がされている」IRC端末に呟くと、ディテクティヴからの応答があった。『ギルドのニンジャか?』「そうだ」ニンジャスレイヤーは装束のザイバツ紋を確かめた。『ッてことは、お前さんが一番乗りだ』「そのようだな」◆
2014-06-19 21:59:30◆『即離れるべし、だぞ』とディテクティヴ。『救援信号を捉えた付近の連中がじきに到着する。お前の正念場は……』「私の正念場はここではない」『そうだ、その通りだ、頼むぜ』「当然だ。私の思考について誤解があるようだな」『そうかね……ヤバレカバレに突っ込もうとしていた奴は誰だったか』◆
2014-06-19 22:00:09◆「お待たせしました」ウエイターの声。マッチャと、オーゾニ。オーゾニの椀は二つ。「今朝なにも食べていないんでな」「随分食べるじゃないか……」とマコ。「ひとつは君のぶんだ、マコ=サン」フジオは言った。「ひどい顔をしている」◆
2014-06-19 22:02:41◆「どこまで知っている。おれの事。畜生」マコは震えた。「フジオ……こんな時にまさかお前が生きて現れるなんてさァ……」「気持ちはわかるさ。驚いたのは、おれも同じだよ」フジオは無感情に言い、オーゾニを一口食べた。「思い出というのは、普段、自分が考えているより重いものだな」◆
2014-06-19 22:03:10◆マグロ・アンド・ドラゴン社に集束するインガ!極限の破壊!死!暗黒!カラテあるのみ!走れ、ニンジャスレイヤー、走れ!◆
2014-06-19 22:08:13◇◆ニンジャスレイヤー:キョート殺伐都市#6 「マグロ・アンド・ドラゴン」◆アット・ザ・レルム・オブ・ブラックウィッチ◆ドゥームズデイ・ディヴァイス◆ミラー・イメージ・オブ・ディストラクション◆リターン・ザ・ギフト◆オペレイション・レスキュー◆トビゲリ・ヴァーサス・アムニジア◆◇
2014-06-19 22:12:38……折からの雨で増水したアンダーガイオン第七工業排水路は、荒れ狂うケミカル大河の如く氾濫していた。強化コンクリートで塞がれた空は、今夜も陰鬱な汚染スモッグに覆われている。アンダーガイオンに雨は降らない。代わりに、上階層の汚水が無数の裂け目やパイプからしばしば滝の如く降り注ぐのだ。
2014-06-19 22:17:14男はシャッター越しに汚染河の音を聞きながら、肩口に受けた不穏な傷を確認した。それは髪の毛ほどの細さに過ぎない。だが尋常ならざる灼熱感が残っている。カラテが鈍りつつある。「遅効性の毒を受けたか」男は忌々しげに言った。組織から支給された万能アンチドーテを倍量注射し、進行を遅くする。
2014-06-19 22:20:47狩りの対象が厄介なドク・ジツの使い手であった場合を考慮し、男は特殊な丸薬を事前に咀嚼しておいた。これは彼自身だけではなく、手勢にも支給してある。手勢……そう、ザイバツ・シャドーギルドの懲罰騎士が引き連れる、二人のニンジャだ……!
2014-06-19 22:25:14ダークニンジャ!パープルタコ!そしてシャドウウィーヴ!三人の無慈悲なるザイバツ・ニンジャは、先代懲罰騎士ブラックドラゴンが遺した調査ノート「ブラックドラゴン・マニュスクリプト」に基づき、アンダーガイオン下層へと向かった!破門ニンジャ「ブラックウィッチ」は未だ生存しているのか!?
2014-06-19 22:31:14狂った魔女、ブラックウィッチの下僕らが三人を襲う!上層への脱出手段を断たれた劣悪なアンダーガイオン環境で、三人のザイバツ・ニンジャは果たして生き残れるのか!?アンダーガイオン下層の遺棄施設で彼らを待つ運命とは!?新規翻訳エピソード【アット・ザ・レルム・オブ・ブラックウィッチ】!
2014-06-19 22:35:17