2014.5.5 土方十四郎誕生記念

真夜 @gin_mayo505

副長お誕生日おめでとうございます！！ちょい出遅れたけど、生まれて来てくれてありがとう！！ 色々兼ねてます。三つのイベント無理やり盛りました！すみません！！ 【土方十四郎生誕祭2014】

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月の出ていない闇の夜 夜目にもすっかり慣れてきた頃ようやく動きがあった。 待つこと数時間、いかにも怪しい浪人風の男が辺りを気にしながら旅籠に入っていった。 時間を置いてまた数人、、、明らかに怪しい。 ここで攘夷浪士どもが集うという情報は確かだったようだ。

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すでに旅籠の主には事を伝えて家族は避難させてある。後はタイミングを見計らって踏み込むだけだ。 包囲網を縮めて裏口にもっと人員を配置させよう、土方がそう指示を出そうと視線を上げると、待機していた山崎と目が合った。 『了解しました、副長！裏へ回ります！』

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山崎は口パクとゼスチャーで了解すると、土方の指示する間もないまま隊士数名と共に闇に消えた。 ーー何だあいつ、珍しく要領得てやがるじゃねえか なら後は俺と一番隊が先鋒で、、、 「土方さん、あんたが出るまでもねえですぜ。あんな雑魚ども撹乱するの俺らだけで十分でさあ」

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驚くほど真面目な眼をして沖田が隣で言ったので思わず耳を疑った。 ーー総悟？どうした、いつもなら先に斬り込んで死んでこい土方くらい言うよね？ 「総悟、お前…」 「いつもいつも先頭きって斬り込まれちゃあ目障りなんですよ。そんなに目立ちたいんですかィ？そこで指加えて大人しくしてなせえ」

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ーーああ、総悟は総悟だった 沖田は神山以下数名を率いて入口に待機した。斬り込まれちゃあ、目障りなんですよ。そんなに目立ちたいんですかィ？そこで指加えて大人しくしてなせえ」 ーーああ、総悟は総悟だった 沖田は神山以下数名を率いて入口に待機した。 ーーあれ？なんか皆変じゃねえ？

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いつもこんなんだっけ？勝手にテキパキ動いて、なんか俺要らなくねえ？ いやいや、今この現場任されてんの俺だろう？副長が指揮してナンボだろ、ふざけんな！！ 土方は瞬時に考えを巡らせ、遅れを取るものかと刀を手繰り寄せた。

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今までいつでも討ち入りの時は先陣を切ってきたのだ、こればかりは譲れない。 「待てよトシ」 腕を掴まれ振り向くと、屯所に居るはずの近藤が立っていた。 「近藤さん…」 「たまには黙って見ててやるのもいいんじゃねえか？あいつらも伊達に何年もお前の指揮を見てきた訳じゃねえぞ？」

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そう言う顔は何やら嬉しそうに見える。 「そうは言ってもな、相手は目的のためなら自爆もしかねないテロリスト集団だぜ？あいつらだけに任せて何かあったら…」 「心配には及ばんさ」 近藤の視線の先の沖田が、行きますと目で合図を送り一番隊が突入して行った。

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やがて旅籠内から叫び声や打ち合う音がして、程なく浪士達が十数名飛び出してきた。 「ひとり残らず確保しろ！！」 堪らず土方が叫び、取り囲んでいた隊士達と交戦となった。 踏み込んで十分弱 異例とも言える早い捕物だった。

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確保した攘夷志士達を乗せた大型車を見送り旅籠前に戻ると、何か皆ソワソワ落ち着かない様子だ。 「あー、今回は皆ご苦労だった。お陰で旅籠にも大した被害はなく、こちらの怪我人も少なく済んだ。これもひとえに皆の迅速で的確な働きあってのことだ。今夜は十分に休養を…」

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土方が労いの言葉を掛けている最中もどうも皆気が漫ろである。 「おい！せっかく今褒めてるってのに…」 「ヨシ、変わった！！」 「？？」 「今だ！」 「せーの！」 「「副長！お誕生日、おめでとうございます！！！」」 隊士達が一斉に言った。 「あ？」

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「今、日付け変わりました。５月５日、副長のお誕生日ですよ？」 山崎が花束を差し出し、原田が大きな箱の乗った台車を押してくる。 「誕生日…」 すっかり忘れていた。 ここ何日も、今夜の討ち入りの事で頭がいっぱいで自分の誕生日など全く浮かばなかった。

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「運悪く今夜が討ち入りだって知って、皆何とか日付け変わるまでに終わらせてえって必死だったんだよ。スッキリさせて誕生日迎えさせてやりてえってさ」 近藤は全て知っていたようだ。 だから敢えて手出しさせず、自らも現場に来てくれたのか。 「ホラ、受け取ってくださいよ副長！」

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山崎の差し出した花束を受取り、大きな箱を開封すると中には限定版マヨリーン人形とマヨネーズが何十本も入っていた。 「マヨネーズ100本で必ず限定版マヨリーン貰えるキャンペーンやっててプレゼントにしました！副長欲しがってたから」 そういや随分と前にそんな事言ったかも知れないなと

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記憶を巡らせる。 「お前ら…給料少ねえのに、わざわざこんな事しなくたっていいのに…つか、あんだけ動けんなら普段からやれよな…」 胸がいっぱいで思うように言葉が出ない。 「予算は一人１マヨなんで大したことないッス！」 神山がバラして沖田にど突かれる。

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「いざとなりゃ、皆力出せるもんなんでさあ。チーターだっていつも120km出せる訳じゃねえ。ここぞと言う時までとっとくもんなんですぜィ？」 沖田が言う事にみな一様に頷く。 「アホか。おかしな理屈言ってんじゃねえよ」 口元が緩む。 「…ありがとな、みんな」

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「良かったなトシ、皆に祝って貰えて」 近藤はいつもに増して穏やかな笑顔を土方に向けている。 さっきまで斬り合いをしていたとは思えない空気に、言い知れぬ幸せを感じた。 「さあ、祝うだけ祝ったんだ。そろそろお開きにしますか。土方さん、台車は後で屯所の倉庫に返しといて下さいよ？

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あとみんな！これから副長は局長と夜のしっぽりタイムだから極力部屋から出るんじゃねーぞ？何か見たり聞いたりしても知らんふりしといてやんな」 照れくさいのか、沖田は言いたいことだけ言うと先頭切って帰って行く。 「あいつは全く…！」

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近藤と二人残された土方はふと花束に目をやった。 「あ？カーネーション？」 今まで気が付かなかったが、よく見れば赤いカーネーションである。 「ああ、それ！来週母の日だから兼ねてんだよ。ほら、よくあるじゃん？Xmasと誕生日近いと一緒にされちゃうとか」 「…あ、そう…なんだ」

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討ち入りの夜に誕生日を祝って貰ったのも、母の日のカーネーション貰ったのも初めてで、自分もどう反応して良いかわからない。 ーーじゃあ、あれか。俺の指示無しでテキパキ動いてたのも、お母さん座ってて。僕たち自分たちだけでカレー作るから的な…？ 複雑な気分だ。

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また明日から小言言ったり怒鳴ったりしきゃならないのだろう。 そういう役回りなのだから仕方ないのだが。 「まあ、あいつらなりに考えての事だ、可愛いじゃねえの」 相変わらず近藤は嬉しそうに笑っている。 「…近藤さんからは…何もねえの？」

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別に何を期待する訳では無かったが聞いてみたくなった。 欲しい物なんて特にはない。 ただ、近藤が自分の事を考えてくれてる時間があったらそれだけで嬉しいのにと思ったのだ。 「おまえの欲しいモン、何でもやるよ」 しれっと答えられて墓穴を掘ったなと思った。

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いつもこうだ。 余裕のないのは自分ばかりで、近藤の言葉に一喜一憂する。 「じゃあ…俺が今一番欲しいもの、くれよ。アンタならわかるだろ？」 たまにはそう簡単にいかないところを見せておかなければ。 そう勝ち誇ったところをすかさず口付けられた。

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「トシの一番欲しいものはおまえにしかわかんねえよ。だから俺があげたいもので勘弁して？」 もう一度口付けられて段々思考が正常に動かなくなっていくのがわかる。 ーー近藤さんがそう思うなら、悔しいがきっとコレが俺の一番欲しかったものだ そう思えるほどに