枇杷先生による、新薬開発サイクルとプロモーションの是非

医療業界特有の事情に、技術革新の影に巨額の投資があり、それをどう回収するか、があります。現役医師と、業者の悩みと本音をまとめてみました。
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枇杷 @loquat_priest

いま現場で問題になる感染症のほとんどは、既存の抗菌薬で十分に戦える。21世紀に入って新しく上市される抗菌薬に求められる役割は、既存のものでは戦えないときの「切り札」以外にないと思う。副作用などが明らかに既存のものを上回って有益な場合は除くけど。

2014-06-27 10:09:02
枇杷 @loquat_priest

ある抗菌薬が現場で多量に使われると、必ずその薬が効かない耐性菌が出現、蔓延して問題になる。微生物の進化にヒトは勝てない。いままでも何回も「これで戦いは終わった」と勝ちを確信したのがひっくり返されてる。この戦い方で勝てると信じてる専門家はもういないはず。

2014-06-27 10:14:52
枇杷 @loquat_priest

その前提で考えれば、切り札がずっと切り札たり続けるためには、その切り札を出すべきとき以外は使わずにとっておく、しかない。いわゆる「適切な抗菌薬使用」の最も重要な柱。多くの専門家が現場をそのようにしようと努力してるが、なかなかうまくいかない。

2014-06-27 10:19:28
枇杷 @loquat_priest

原因のひとつにメーカーのプロモーションがあると思う。せっかく現場の専門家が「切り札」の使い方を広めようとしても、売る側はせっせと「どんどん使ってください」なプロモーションをする。腹を立てたり頭を痛めてる現場の人は多いと思うが、メーカーの立場に立つと無理もないことかと思う。

2014-06-27 10:22:09
枇杷 @loquat_priest

莫大な開発費をかけて売り出したからには、メーカーだって費用を取り返し、儲けないといけない。現行の制度だと、発売して時間が経つほど薬価は下がるし、申請から20年経てば特許が切れて後発品がぞろぞろ出るし、なりふり構わず短期間に大量に売りさばく方向にしかインセンティブが働かない。

2014-06-27 10:28:25
枇杷 @loquat_priest

新しく出る抗菌薬のプロモーションが「いま売る」ことしか考えてなくて、「薬を大事にする」ことがちっとも考えられてないのは腹立たしいし残念だが、これは制度の問題だと思う。メーカーがもっと薬を大事にし、切り札がいつまでも切り札でい続けられるように変えていかないと。

2014-06-27 10:31:21
枇杷 @loquat_priest

要は、メーカーが儲けるために、抗菌薬を細く長く使ってもらうのを積極的にプロモートするようなインセンティブが必要。すぐに思いつくのは、抗菌薬の薬価は下げ幅をずっと小さくするとか、特許以外の何らかの先取権を認めるとか。そろそろこういう方策を役所にはしっかり考えてもらいたい。

2014-06-27 10:35:59
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@loquat_priest 機器業者も同じなんですよ。莫大な開発費を掛けても、他社にすぐキャッチアップされるし、事務方には嫌味を言われっぱなし。だから特許で押さえる訳だけど、それって他社に技術を使わせないってコトで、患者のため、ひいては社会全体のためにはならない。

2014-06-27 10:49:39
simesaba0141/MJ号 @simesaba0141

@loquat_priest 現実にいま大問題になっているのが、お隣のデカい国が「知的財産権?何それ美味しいの?」なノリで丸コピーをやってくる事。まあ、かつての日本もそうだった、と言えばそれまでだけど、生半可な特許はすぐにコピられる。特に深刻なのが超音波診断装置ですわ。

2014-06-27 10:51:29