ラバウル少佐日誌:華麗なる機動部隊編其ノ弐

檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

あれは、何時の事であったのか……私もよくは覚えておりません。(1) #ラバウル少佐日誌

檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

彼女が『女王』として君臨し、私が『正室』となって、暫く経った頃の事でした。 勿論、対外的には……特に、あの男には、その事を未だ隠していた時期であったと記憶しています。(2) #ラバウル少佐日誌

檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

兎に角彼女は私達の全てを支配下に置こうと躍起になっておりました。 恐らくはミッドウェーの……否、ひいては敗戦の悪夢の再来を阻止すべく、と思っての事であったのでしょう。 北上どころか電が秘書艦をしていた頃の記録さえも、彼女は執務室から取り上げてしまいました。(3)#ラバウル少佐日誌

檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

然し、彼女は既に軽巡艦娘や駆逐艦娘の全てを懐柔しておりましたから、批判や不満が出る事はほぼありませんでした。 戦艦閥の一部が危険視し騒ぎ立てた事が一度だけありましたが、 然し彼女がその女に英語で耳元へ何事か囁くと、女は顔を真っ青にして黙り込んだのです。(4) #ラバウル少佐日誌

檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

その女は必死になって彼女の姉妹を、そして同派閥の中でも特に厳格であった或る女をも説得しようとし始めた為に、戦艦閥の間では内紛が勃発しました。 彼女は、基地内が抗争の為に荒廃してゆく様子を、悲しげな笑みを浮かべて私の隣で眺めておりました。(5) #ラバウル少佐日誌

檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

戦艦閥の抗争が続く中、遂に事件が起こりました。 或る女の撃った一発が航空巡洋艦娘四人姉妹の部屋へ直撃し、二人を意識不明の重体へ至らせたのです。 不幸な事に彼女達は艤装を着けていませんでしたから、生身の人間が46cm三連装砲を受けたも同じであったのです。(6) #ラバウル少佐日誌

檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

更にあろう事か、その或る女……長門は、全ての原因が金剛と赤城にあると言って憚りませんでした。 彼女の言も、理解出来ないという事はありません。然し、あの男は彼女を羽黒の隣に寝かせる決断を下しました。 赤城はその一報を耳にすると、やはり悲しげに微笑みました。(7) #ラバウル少佐日誌

檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

戦艦閥はその筆頭であった女を隔離室の扉の向こうへ奪われ、急速に失権してゆきました。 対して重巡洋艦の艦娘達は、事故後に迅速な対応で以て最上と鈴谷の一命を救った赤城を、伴天連の救世主が如く崇め始めたのです。 主に、熊野と三隈に促される事によって。(8) #ラバウル少佐日誌

檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

こうして、航空母艦娘の赤城は、私達の艦隊を掌握せしめたのでした。 ほぼ全ての艦娘から愛され、敬われ、そして畏れられた彼女に刃向かえる者等……。(9) #ラバウル少佐日誌

檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

否。 経った一人、彼女へ牙を剥けた娘がおりました。 その娘は私の事も気に食わなかったようで、彼女が来る前より、艦隊の中で扱える者が姉しかいない、少々特殊な娘でありました。 (10) #ラバウル少佐日誌

檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

彼女が着けていた艤装は瑞鶴。 翔鶴型航空母艦、その2番艦の艦娘でした。(続く) #ラバウル少佐日誌