ラバウル少佐日誌:華麗なる機動部隊編其ノ終

艦これ二次創作です。 空母艦娘の過去捏造注意です。
0
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

艦隊の頂点の座を勝ち取った瑞鶴は、然し赤城とは異なり放任主義を徹しておりました。 人とは贅沢な生き物です。 赤城の支配に息苦しさを感じていた、一部の素行の悪い軽巡洋艦や駆逐艦の娘達が瑞鶴に取り入る様になり、赤城を表立って蔑み始めたのです。 (1) #ラバウル少佐日誌

2014-07-01 23:44:47
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

然し、瑞鶴は彼女達の言動にこそ耳を傾けておりましたが、全くその言葉に良い顔を向ける事は有りませんでした。 理由。 ……彼女が『英雄色を好む』という言葉に同じであった為です。(2) #ラバウル少佐日誌

2014-07-01 23:57:16
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

瑞鶴は奇数曜日に赤城を、偶数曜日に髪を短く切らせた蒼龍を、それぞれ三日ずつ、赤城から奪った部屋へ毎夜連れ込んでおりました。 赤城は偶数曜日の夜に私の許へ来る程に気丈でありましたが、蒼龍は奇数曜日の朝食に姿を現さなくなりました。(3) #ラバウル少佐日誌

2014-07-02 00:07:55
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

……私が赤城の心の寒さを暖めていた、その最中に、瑞鶴の『ひす』な声と蒼龍の悲鳴が届く事も有りました。 「でぶ」 「青豚」 「飛龍はそんな声で啼かない」 彼女がそう責め立てる度、蒼龍は叫びながら嗚咽を上げておりました。(4) #ラバウル少佐日誌

2014-07-02 00:12:36
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

或る日の事です。 未だ病床で寝込んでいる筈の飛龍が、少し頬を細くして現れた事が有りました。 然し瑞鶴は彼女を見るや否や、 (5) #ラバウル少佐日誌

2014-07-02 00:15:54
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「飛龍を穢すな!この豚女めがアっ!」(6) #ラバウル少佐日誌

2014-07-02 00:17:10
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

そう叫び、彼女へ殴り掛かったのでした。 しきりに、彼女は飛龍の姿をした蒼龍を、 殴り、 蹴り、 罵詈雑言を浴びせ続けたのでした。 彼女を止められる者は、最早そこにはおりませんでした。 翔鶴は縮こまって震えながら絶叫し続け、 赤城は唯々俯いておりました。(7) #ラバウル少佐日誌

2014-07-02 00:22:45
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

こうして、二航戦は瑞鶴一人の手によって、壊滅せしめられたのでした。(8) #ラバウル少佐日誌

2014-07-02 00:25:34
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

流石に事態を重く見たのか、その日の夜あの男が訪ねに来ました。 赤城は私を一瞥すると、彼と共に夜の廊下の闇へ、姿を消してしまいました。 私はそれ以上余計な事を察そうとは致しませんでした。 眠気に身を任せ、そして瑞鶴のいない明後日を夢想する事としたのです。(9) #ラバウル少佐日誌

2014-07-02 00:30:37
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

翌日、北方海域はアルフォンシーノ方面への出撃命令が下されました。 瑞鶴を旗艦に、随伴艦には私、赤城、翔鶴、日向、そして何故か駆逐艦の舞風がおりました。 彼女は何時もの、何かから逃げ惑うような気の触れた笑みも浮かべず、また赤城への神楽も控えておりました。(10) #ラバウル少佐日誌

2014-07-02 00:35:08
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

……帰投したのは、五人だけでした。 恐らくあの様な事態が起きた事は、この戦争の歴史上、未だ嘗て存在しなかったのではないかと思われます。 提督は旗艦の代わりに、赤城に抱きかかえられて帰り着きました。 翔鶴は、泣き腫らして目を赤くしておりました。(11) #ラバウル少佐日誌

2014-07-02 00:44:25
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

其の後舞風は暫く隔離室へ行く事となり、代わりに長門が戻って来ました。 然し、金剛と、それから赤城の息が掛かった『四航戦』伊勢型姉妹の手によって、彼女は戦艦閥内での居場所を奪われておりましたから、 彼女達と再び事を構える迄には至りませんでした。(12) #ラバウル少佐日誌

2014-07-02 01:08:41
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

其の晩の赤城は、久し振りに私をとても強く求めました。 私に愛の言葉を、しきりに囁き続けました。 故に、私はもう彼女の全てを終わりにする事を決意致しました。 私は、面と向かって、はっきりと、提督から持ち掛けられた『夜戦』を断る旨を、彼自身へ伝えたのです。(13) #ラバウル少佐日誌

2014-07-02 01:14:08
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

そして赤城の許へと向かう姿を、見せつけました。 如何な『鈍い』あの男でも、これでお分かりになられました。 もう私が、提督の為に戦っているのではないという事に。 こうして赤城の浅はかな野望も、提督が疑心暗鬼の人間不信へと陥った事により終わりを告げたのです。(14)#ラバウル少佐日誌

2014-07-02 01:21:43
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

現在、私達空母艦娘はあの男からの不興を買い、表向きはボーキサイトの節約という事で出撃をほぼ許されていない状態にあります。 他の艦種の娘達も、メッキの剥がれた赤城へ人並みの対応をする様になりました。 赤城も私の説得を受け入れ、今ではとても穏やかなものです。(15)#ラバウル少佐日誌

2014-07-02 01:26:09
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

二航戦の二人は精神を打ちのめされ、未だ戦線復帰が出来ないでいます。 然し日常生活に支障を来さない程度には回復したようです。 新しい瑞鶴には旧華族の自衛隊員であった鳳翔からの推薦により、元瑞鳳の自衛隊員が選ばれました。 才能は人並ですが、熱意を持った娘です(16)#ラバウル少佐日誌

2014-07-02 01:40:03
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

……少し昔の事を思い出していた程度のつもりでしたが、本当に朝日を拝む羽目と陥ってしまいました。 もう寝ましょう。 それでは、お休みなさい。良い夢を。(終わり?) #ラバウル少佐日誌

2014-07-02 01:42:51