多重カギ括弧は20年以上前から存在していた~友野詳氏の回想録~
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友野詳さんの回想録
友野詳はグループSNE所属のゲームデザイナー、小説家である。
汎用世界テーブルトークRPG『ガープス』第3版の日本版のサンプルワールドとして発表された「ルナル・サーガ」(ガープス・ルナル)、ギャグファンタジー世界「ファイブリア」、古代中国風の仙人世界「央華」、山本弘と組んで制作した現代社会に生きる妖怪を描いた「妖魔夜行」など、ゲーム・小説を中心とした作品を多数発表している。
Wikiより引用
TLで「「わーい!」」みたいな多重括弧の是非、みたいな話が出ていることに今頃気がついたんですが、ええとね、すんません、それたぶん私が元祖のひとりだわ。先例があったかもしれませんが、思いついた時は自分の工夫のつもりでした。以下、連続ツイートします。まずはご容赦。 #多重括弧
2014-07-02 20:45:31承前)最初はあれです、リプレイで使ったんですよ。デビューあたりで。なので、19910から91年ごろ、24年ほど前ですね。まだラノベという概念がない時代です。 #多重括弧
2014-07-02 20:46:11注:リプレイとはTRPGのプレイ記録のこと
承前)リプレイという、小説とも戯曲とも、従来の文章表現のどれとも違う物語ジャンルで「ライブ感」とか「マンガのようなノリの良さ」「言語表現そのもので笑いをとる」といったことを考えて工夫したのですね。 #多重括弧
2014-07-02 20:46:25承前)同様に、リプレイでは「座談会などで表現として使われる(笑)を取り入れたがその発展で(泣)とかあってもいいのでは」とか「サイコロをふる表現を、行動描写ではなく擬音にしたほうが臨場感でないか」とか工夫もしたですよ。余談。 #多重括弧
2014-07-02 20:46:37承前)雑誌掲載の限られた文章の中で、セッションの情報をいかに詰めこむか、という工夫の一貫が、私の多重括弧表現のはじまりであったわけです。ヒントになったのは、コミックにおける「重なり合ったふきだしに別キャラの同台詞が入っている」表現でした。 #多重括弧
2014-07-02 20:46:55承前)リプレイをもとにした小説〈コクーンワールド〉シリーズは、「小説だけど小説じゃない」「たき火を囲んで面白い話を聞きたがる人々に語る、語り部としてのGM」「文章表現そのものにギャグを入れる」というコンセプトから、多重括弧表現を使用しました。 #多重括弧
2014-07-02 20:47:20コクーン・ワールド
1991年角川スニーカー文庫より発売されたファンタジー小説
著:友野詳 絵:弘司
承前)「カギカッコ」にくくられたセリフが続く、リプレイという形式だからこそ、リズムを崩す破調として、こういった表現がありじゃないか、と判断していました。もちろん、一般的な文章表現として美しくないのは承知の上の特殊表現です。 #多重括弧
2014-07-02 20:48:58承前)という感じ。なので、手を抜くためにやったわけではなく、むしろ考え抜いてやったつもり。でも、安易に使ってしまっている例だって、そりゃあるだろうと思います(自分の作品に関してのことですよ)。個々の空気には配慮してるつもり。 #多重括弧
2014-07-02 20:50:51承前)以前に用例があったかどうかはわかりませんが、自分としては『虎よ! 虎よ』や『乱調文学大事典』や、夢枕獏先生のタイポグラフィ作品を見てきて、文章の表現にはいろんな自由さがあっていいんだな、と思っておりました。 #多重括弧
2014-07-02 20:50:34承前)同時期でもシリアス作品だったルナルでは使ってません。そのルナルでも擬音表現は多用しました。アルファベットを使った変則擬音とか(これは夢枕獏先生の影響)。しかし、今書いている中高年向けラノベである『からくり隠密』では擬音もなるべく使わないようにしてます。作品によるのよ。
2014-07-02 20:51:05注:ルナル=ルナル・サーガ(著:友野詳)。角川スニーカー文庫より1992年に出版されたファンタジー小説。
承前)そういう表現はよろしくない、という方の信条を否定することもしません。言っても仕方ない、とも思わない。美についての感性は人それぞれで、合意には達しあえないかもしれないけれど、だからこそ意見を表明しあう意味がある。 #多重括弧
2014-07-02 20:51:19承前)でも、従来の自分を否定することもしないでいたいです。表現として、これはこの作品に使うのが妥当か、と問い続けて書いてゆくのはあたりまえのことかと思いますし。 #多重括弧
2014-07-02 20:51:31承前)90年代前半、まだラノベという呼称ができる前、同世代の作家さんは、それぞれに『読みやすさ』なり『ビジュアル世代へのわかりやすさ』なり『自分の個性』なりのため、工夫を重ねていたと思います。 #多重括弧
2014-07-02 20:51:46承前)巨大フォントの使用や変則ルビなんかは、面白いと思いつつも「あの人の芸風やしな」と思って使わないとか、若さゆえの偏屈さでしたな(笑)。風格のある文章や、読みやすさのきわみに打ちのめされた思いになったこともあります。 #多重括弧
2014-07-02 20:52:00承前)余談ですが。神坂一さんの『日帰りクエスト』で「前巻は知人にすぐ読めたと言われたので云々」というあとがきあったの覚えてられますかね。 #多重括弧
2014-07-02 20:52:44承前)「環状線半周で読めちゃったよ」と言ったのは私です。でも、あれは読みやすさを褒めたんだからね? 照れくさいのと悔しいので、からかい口調だったことに陳謝します。ごめんね、はじめちゃん。 #多重括弧
2014-07-02 20:52:56承前)さて、話を戻して。多重括弧はそういう経緯。もちろん、他に独自に発明された人や先行例もあると思います。『ラノベで多用される』といった断言のためには、用例を収集してデータ化する、地道な基礎研究作業は必要かと思うのですが、いかがか。(個人の見解です) #多重括弧
2014-07-02 20:53:13