#完全ノープラン艦これ与太話 【ヤクザズ・ライフ・ライク・ア・ドラゴン】 #7

春魔解丼 @vespiking

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#完全ノープラン艦これ与太話 【ヤクザズ・ライフ・ライク・ア・ドラゴン】 #7 #KZNPLN

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ガシャン！大鯨を拘束していた首輪と手錠のロックが外れ、久方ぶりの新鮮な外気が彼女を出迎えた。半ば放り出されるように鳥篭めいた水上トレーラーから降り立った彼女は、怯えた目と震える足で新たな主たちを見やった。ヤクザ水兵帽を被った、藍色髪のヤクザ駆逐艦だ。 #KZNPLN

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「おつかれ。もう安心じゃね」新たな主は、拍子抜けするほど明るく浦風に声をかけ、背を叩いた。「アイエッ！？」慰み物にされる運命を待つばかりと人生を諦めていた大鯨は、アンブッシュめいて不意をつかれ、あやうく転びそうになった。 #KZNPLN

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「……怖かったんね。もう心配ないよ。ウチが買い取ったけんね。もう、自由にしてええよ。何処でも、行きたいとこ言ってみ。ウチがクチ聞いちゃるけんね、龍鳳」「りゅ、りゅう……？」困惑する大鯨に、浦風は笑いかける。「前の名前じゃと、色々危なかろ？これから龍鳳って、名乗り」 #KZNPLN

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龍鳳は事態をうまく呑みこめぬまま、連れられるままに浦風のクラン事務所へ向かった。「オカエリナサイ！オヤブン！」「おーっ！オヤブン！そのコが例の？カワイイじゃん！」2隻の軽空母が出迎えた。カンバンには、見慣れぬ単語。「オキノシマ・アノマロカリス・クラン……？」 #KZNPLN

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「アノマロカリスって、何？」龍鳳はとりいそぎ、率直な疑問を口にした。「ああ、エビじゃね」あまりの率直なコメントに、思わず浦風も率直に答えた。「エビ？」「そう。ヘンなエビ。昔おった海の生き物なんよ」 #KZNPLN

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「これが、不思議な生き物じゃってね。最初に化石で見つかったとき、ウデみたいな先っぽだけだったんよ。で、エビに似とったけん、ヘンなエビ、っちゅう意味の名前になったらしいんよ。そのあと全部出てきてね、これ全然エビじゃないね、って言われるようになったんよ」 #KZNPLN

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「でも、そのあと色々調べてみたら、実際エビの遠い親戚じゃあないんか、って話が出てきて。今はエビの仲間って言われとる」「へえ、戻ったんだ」「そう。最初についた名前が、巡り巡って戻ってきたんね。何でもそう。最初の本質いうのは、そうそう変わらんのよ」 #KZNPLN

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「ウチはこのクラン名が好きじゃ。大鯨。これから先、龍鳳として生きていく中で、何があっても。最初に貰った大鯨いう名前、忘れたらあかんよ。その名前には、いろんなもんが詰まっとるんよ。名前だけじゃない。これまでの人生、否定されたなんて、思うたらいけんよ」 #KZNPLN

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浦風はニコリと微笑んだ。後ろのヤクザ軽空母達も、和気藹々と話しながらこちらを見ている。「さあ龍鳳。言うてみ。何処へ行きたい？出来る限りなら、協力しちゃるよ」龍鳳はずるずると鼻をすすり、目を擦って、大きな声で答えた。「わ、私は――！」 #KZNPLN

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龍鳳のこの日の決断は、彼女から何を奪い、彼女に何をもたらすのか。それは正しかったのか。間違っていたのか。それを決めるのは、これからの彼女の人生だ。それを決める為に、龍鳳はこれからも、生きていく。 #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 【ヤクザズ・ライフ・ライク・ア・ドラゴン】 終わり。 #KZNPLN