瑞加賀(?)診断小説

初めての診断小説です。一応瑞加賀ってことになってます。
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鮎人 @ayuto68

さわやかな初夏の午後、タウイタウイのとある鎮守府の廊下を一人の提督が歩いていた。中背中肉で髪を短く切りそろえ、仕官軍帽を目深にかぶっている。 (翔鶴さん怒ってるかなあ…) 本来この提督は悠長に鎮守府内を散歩できる立場にない。最近深海棲艦の動きが活発化している。 #診断小説

2014-06-30 21:49:06
鮎人 @ayuto68

これまでにも深海棲艦が動きを活発化させたことは何度かあった。その度に鎮守府は総力をあげてこれを迎え撃ってきた。今回は深海棲艦側の動きをかなり初期の段階で察知できたため、これまでの課題であった物資の調達に特に力を入れている。#診断小説

2014-06-30 21:59:49
鮎人 @ayuto68

そのせいで現在鎮守府は遠征に出かける軽巡と駆逐艦達を中心にてんてこ舞いなのだ。そんな状態だというのにこの提督はあろうことか執務室を抜け出しているのである。 (いまごろ翔鶴さんの艦載機がそこら中を飛び回ってるんだろうなあ) 今日の秘書艦の翔鶴は普段はおしとやかなのだが、#診断小説

2014-06-30 22:07:16
鮎人 @ayuto68

怒った時の恐ろしさは半端ではない。 (ま、めったなことでは怒らないんだけどねえ) そのめったなことをしているのがこの愚か者である。 (しかたないんだ。俺の集中力は1時間ももたないんだからさ) などと言い訳がましいことを考えつつ歩を進めていると、ふと誰かの声が聞こえてきた#診断小説

2014-06-30 22:12:57
鮎人 @ayuto68

(これは…弓道場のほうか?) 鎮守府内には主に正規空母たちの修練の場として弓道場が設けられている。声はそちらから聞こえてくる。 (しかも…何か言い争ってるみたいだな) 少し速足で弓道場に向かうと、言い争っている二人の声がはっきりと聞こえてきた#診断小説

2014-06-30 22:26:12
鮎人 @ayuto68

(やっぱりこいつらだったか…) 弓道場にたどり着いた提督の前で二人の艦娘が舌戦を繰り広げていた。 「先輩はなんでもかんでも私のやることにケチばっかりつけて!私には私なりのやり方がー」 「そのあなたなりのやり方とやらが前回の演習で敗北の一因だったのでは?」 #診断小説

2014-06-30 22:34:11
鮎人 @ayuto68

加賀は声を荒げる瑞鶴を遮るように静かだが有無を言わせぬ口調で問う。 「そ、それは…」 痛いところをつかれたらしく瑞鶴は言葉につまる。 「だいたいあなたはいつも落ち着きが足らなさ過ぎます。前回秘書艦の時も書類に記載ミスをしたそうじゃない。」 「な、なんでそれを知って…」 #診断小説

2014-06-30 22:41:05
鮎人 @ayuto68

「しかも提督に対する言葉遣いもなっていないわ。私達正規空母は鎮守府の主力、その分普段からの言動が他の艦娘達にも大きく影響を与える立場なのよ。それなのにあなたときたらー」 「よーしそこまでだ加賀」 #診断小説

2014-06-30 22:51:02
鮎人 @ayuto68

唇を引き結んで肩を震わせる瑞鶴を見かねた提督が、追いうちをかけようとする加賀を制止する。 舌戦に夢中で提督の存在に気づいていなかった加賀は一瞬きょとんとした顔で提督を見つめたが、すぐにもとの無愛想な表情に戻った。 「提督、なぜこちらに?」 (あ、しまった…!) #診断小説

2014-06-30 22:59:30
鮎人 @ayuto68

提督のスケジュールは執務室の前や食堂などの数箇所に張り出されている。艦娘の中には(その目的は個々人によって異なるが)それを暗記している者もいる。目の前の加賀もその一人だ。ということはつまりー 「今あなたは執務室で遠征の書類に目をとおしているはずなのですが?」 #診断小説

2014-06-30 23:09:02
鮎人 @ayuto68

「い、いやそれがだな…」 加賀の表情はほとんどかわっていない。だがもともと細い目がさらに細くなっている。 (これはまずいぞ…) 『加賀さんの目が細くなったら注意してくださいね。そのときの加賀さんは本気で怒ってますから。』 #診断小説

2014-06-30 23:20:45
鮎人 @ayuto68

半年ほど前に鎮守府食いっ気No.1の空母とした会話を思い出す。 (どうする、どうこの難局を乗り越える…!?) 提督が冷や汗を垂らしながら必死で頭をめぐらせていると、 「今日の秘書艦は…たしか五航戦の大人しいほうでしたか。まったくこれだから五航戦は…」 #診断小説

2014-07-01 00:36:08
鮎人 @ayuto68

加賀が唸るように呟いた。 「お、おい加賀ー」 そりゃ言い過ぎだ、と提督が言おうとした時だった。 「ーで」 今までずっと黙りこんでいた瑞鶴が口を開いた。 「ず、瑞鶴?」 「なんですか、今私は提督とー」 二人が瑞鶴に向き直った瞬間、 「翔鶴姉のことを悪く言わないで!!」 #診断小説

2014-07-01 00:46:55
鮎人 @ayuto68

瑞鶴の今日一番の大声が響いた。 「私のことはなんていっても構わない!だけど!翔鶴姉のことまで悪く言わないで!!」 涙目になりながらも凄まじい剣幕で加賀を睨みつける瑞鶴。加賀は自分の失言に気づいたらしくばつのわるそうな顔で瑞鶴を見つめている。 #診断小説

2014-07-01 00:53:50
鮎人 @ayuto68

数秒の重苦しい沈黙の後、瑞鶴は無言で走り去ってしまった。さらにその数十秒後加賀も失礼しますと消え入りそうな声でつぶやき、弓道場を後にした。残された提督はため息をついた後、どうしたもんかと考えながら執務室へと戻って行った。 #診断小説

2014-07-01 00:59:07
鮎人 @ayuto68

その日の夜、瑞鶴は同部屋の翔鶴に昼間の出来事を洗いざらいぶちまけていた。 「ほんとに信じらんない!いつもいつもネチネチネチネチ!しかも翔鶴姉の悪口まで言うなんて!!」 まだ怒りがおさまらないのか瑞鶴は顔を真っ赤にしながら憤慨している。 #診断小説

2014-07-01 01:06:10
鮎人 @ayuto68

「まあまあ瑞鶴、加賀先輩は私達のことを思って言ってくれてるんだから。」 「それはわかってるわよ!でも言い方ってものがあるじゃない!」 翔鶴は瑞鶴を落ち着かせようとするが、瑞鶴の怒りはなかなか鎮火しない。 仕方なく翔鶴は切り札をきることにした。 #診断小説

2014-07-01 01:14:02
鮎人 @ayuto68

「まったくもう、瑞鶴は加賀先輩のこととなるとすぐにムキになるんだから」 翔鶴がやれやれといった感じでつぶやくと、 「あ、な、む、ムキになんてなってにゃいもん!」 瑞鶴は思いっ切り動揺した。さっきは怒りで真っ赤だった顔が、今度は別の理由で赤く染まる。 #診断小説

2014-07-01 01:22:24
鮎人 @ayuto68

その様子に目を細めながら翔鶴は言葉を続ける。 「ねえ瑞鶴、実は今日の夕方提督がね…」 一方そのころ一航戦の部屋では加賀がうつぶせ、いや、より正確にはいわゆる土下寝の体勢で突っ伏していた。 「はぁ…またやってしまったわ…」 #診断小説

2014-07-01 12:10:15
鮎人 @ayuto68

昼間、瑞鶴や提督へみせていた毅然とした態度はなりを潜め、(´・_・`)←こんな表情で落ち込んでいる。 「あの娘が姉のことを悪く言われて怒らないはずなかったのに…」 「にゃんのはにゃひでひゅか(モグモグ)」 「!?」 いったいいつからそこにいたのか。 #診断小説

2014-07-01 12:20:45
鮎人 @ayuto68

「あ、赤城さん…戻られたんですね…」 加賀のルームメイトにして、鋼の胃袋を持つと噂される正規空母赤城がおにぎりを食べながら佇んでいた。 「いつからそこに?」 加賀が祈るような気持ちで赤城に問う。 「ひまはっひでふよ(今さっきですよ)」 #診断小説

2014-07-01 12:30:33
鮎人 @ayuto68

赤城はおにぎりを食べながら喋っているせいで言葉が聞き取りづらい。 加賀はほっとした。どうやら聞き取られたのは最後の二言だけだろう。 (これならさっきの独り言の内容があの娘のことだとばれはー) 「また瑞鶴と喧嘩したんですね。」 「ー!?///」 あっさりばれた。 #診断小説

2014-07-01 12:37:46
鮎人 @ayuto68

「な、な、な、なんで…///」 「だって加賀さんはいろんな人のことを叱りますけど、叱った後にそんなに落ち込むのは瑞鶴がらみの時だけですもん♪」 口の中の物も呑み込み、はっきりと、楽しそうに赤城が語る。 「そ、そんにゃことありましぇん…」 #診断小説

2014-07-01 12:43:15
鮎人 @ayuto68

どもりまくりのうえに蚊のなくような声で反論する加賀。 「ふふ、まあ本当は提督から聞いたんですけどね♪」 いたずらっぼく笑いながら赤城は種明かしをする。 「提督…後で爆撃してやる…」 あまりの羞恥で涙目になりながら加賀がつぶやく。 #診断小説

2014-07-01 12:47:43
鮎人 @ayuto68

「加賀さん、これ、みてください。」 赤城は一枚の用紙を恥ずかしさに悶えている加賀の眼前に差し出す。 「ー?はい。」 赤城の声に少し真剣さが増したのを感じとった加賀は姿勢を正しながらよの用紙を受け取る。 「これは…」 #診断小説

2014-07-01 13:00:11