瑞加賀(?)診断小説

初めての診断小説です。一応瑞加賀ってことになってます。
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鮎人 @ayuto68

そこにはいくつもの線と艦娘たちの名前が書かれている。 おそらく線は艦娘たちの動きを表しているのだろう。そして、お世辞にも上手いとは言えない字が所狭しと書き込まれていた。 (こっちは空母みたいね。それでこれが戦艦で…) しばらく用紙を食い入るように見つめていた加賀。 #診断小説

2014-07-01 18:35:46
鮎人 @ayuto68

「なかなか良い作戦じゃないですか?」 赤城が問いかけると、 「そうね、悪くない作戦だと思います。」 いつものクールな表情に戻った加賀は、でも、と続けた。 「これを書いたのが誰かは知らないけれど、もっと綺麗な字を書けるようにしなければ駄目ね。 #診断小説

2014-07-01 18:40:32
鮎人 @ayuto68

それに文体もバラバラで軽い感じがします。提督にこの作戦を提案するつもりだったならもっと正しい書き方をしなくては。書き手の未熟さのせいでせっかくの悪くない作戦に悪印象を付与してしまいます。それから…」 赤城はクスッと笑い、 #診断小説

2014-07-01 18:51:09
鮎人 @ayuto68

(「これを書いたのが誰だか知らない」だなんて、ごまかし方が下手なんだから♪) 「…なんですか赤城さん?」 笑顔の赤城が自分の顔を見つめているのに気づいた加賀が不思議そうに訊ねる。 「なんでもありません♪あ、それより加賀さん、提督から言伝があったんです。明日の…」 #診断小説

2014-07-01 18:57:17
鮎人 @ayuto68

水平線から登る朝日が鎮守府の出航場を照らす。この出航場から艦娘たちは演習や深海棲艦の討伐に出撃する。そこには今九つの影があった。一航戦、五航戦、金剛姉妹、それに提督である。 「それじゃすまんが金剛、ちょっと向こうで待っていてくれるか?」 #診断小説

2014-07-01 19:09:20
鮎人 @ayuto68

「提督ー、目を離さないデって言ったのニー!…と言いたいところですけド、何かわけありのようデスネー。OK、私達は少し離れていることにしマース。比叡、榛名、霧島、いきますヨー。」 提督の意図をくみとった金剛は妹達を引き連れて提督達から少し離れる。 #診断小説

2014-07-01 19:17:08
鮎人 @ayuto68

「さ、瑞鶴」 「加賀さん」 金剛達が離れたのを確認した赤城と翔鶴は、ここについてから互いに気まずそうにしていたそれぞれのパートナーを少し強引に向かい合わせる。 「ち、ちょっと翔鶴姉、おさないでよ。」 「赤城さん、これはいったい…」 #診断小説

2014-07-01 19:25:05
鮎人 @ayuto68

向かいあわされた二人はやはり昨日のことがあるせいか視線をあわせない。 が、数瞬の沈黙を打ち破ったのは以外にも加賀だった。 「昨日赤城さんからこんな紙を見せてもらったの。」 用紙を瑞鶴の前でひらひらとふる。 「…?あ、それは…」 瑞鶴もそれがなんなのか理解したようだ。 #診断小説

2014-07-01 19:30:36
鮎人 @ayuto68

「これを書いたのが誰だか知りませんが…」 昨日赤城に言ったことと全く同じ出だしだ。 「字は汚い、文体もばらばら、書き手の未熟さがにじみ出ています。」 にべもなく加賀が告げる。 「…っ!」 (誉められるとは思ってなかったけど、作戦についてふれてもくれないなんて…!) #診断小説

2014-07-02 08:35:40
鮎人 @ayuto68

深海棲艦の動きが活発化したと鎮守府で発表があった日から、瑞鶴はかねてより頭に浮かんでいたこの作戦をずっと煮詰めていた。少しでも鎮守府の力となるために、もう二度と負けないために。 (それなのに、先輩は…!) 作戦について批判すらしてくれない。つまり、 #診断小説

2014-07-02 08:42:35
鮎人 @ayuto68

(私の考えは無価値だっていうの…!?) 昨日おさまったはずの怒りが再びこみ上げてくる。寝る間も惜しんで練り上げたじぶんの努力の結晶を、全否定されたと感じた瑞鶴。激情に駆られるままに顔を上げ、目の前で澄ました顔をしている艦娘に自分の思いをぶつけようとー 「…でも、」 #診断小説

2014-07-02 08:56:04
鮎人 @ayuto68

した瞬間、加賀から予想だにしていなかった言葉が発された。 「作戦自体は悪くはありません。試してみる価値があると思います。」 (ー!?) 意表を突かれた瑞鶴はまじまじと加賀の顔を見つめてしまう。 「…なんですか、人の顔をじろじろと、あなたはデリカシーもないのですか」 #診断小説

2014-07-02 09:01:49
鮎人 @ayuto68

普段ならカチンとくるセリフだが、 「え、いや、だって、その…」 いまだに加賀の言葉が信じられない瑞鶴は驚きのあまり言葉が出ない。 「勘違いしないでください。試す価値はあると言っただけです。使えるとは一言も言っていません。」 加賀が言い訳のように付け加える。 #診断小説

2014-07-02 23:20:19
鮎人 @ayuto68

「加賀さん」 不器用な相棒を促すように赤城が声をかける。まだ言わなきゃいけないことがありますよね?言葉にはださないが、その表情ははっきりとそう語っていた。 「そ、それから…」 加賀が躊躇いながら言葉を続ける。 (?) #診断小説

2014-07-03 08:41:43
鮎人 @ayuto68

瑞鶴はこんなにしおらしい加賀を見るのは初めてだった。 (いつもは憎たらしいほど無表情なのに…) 戸惑いながら加賀の次の言葉を待つ。すると、 「昨日は、その、すみませんでした。翔鶴のことを悪く言ってしまって…」 あっけにとられる瑞鶴。 #診断小説

2014-07-03 08:46:23
鮎人 @ayuto68

「それからあなたの作戦を頭ごなしに否定してしまって…、本当に申し訳ありませんでした。」 加賀は頭を下げた。 「い、いやその、私こそ怒鳴ってしまってごめんなさい!そもそも私がもっとちゃんとしてれば作戦も翔鶴姉も悪く言われなかったわけで、だから、あの、その…」 #診断小説

2014-07-03 08:52:09
鮎人 @ayuto68

しどろもどろになりながらかえす瑞鶴。 「と、とにかく、先輩、まずは顔をあげてください!私、昨日のこともう怒ってませんから!」 「…本当に?」 恐る恐るといった風情で加賀が顔を上げる。 (!!、先輩可愛い…!) 少し下がった目尻と、潤んだ瞳。 #診断小説

2014-07-03 08:58:47
鮎人 @ayuto68

普段の加賀からは想像できない小動物のような庇護欲を駆り立てられる表情に、瑞鶴は思わずドキッとしてしまう。これがギャップ萌というものなのであろうか。 「と、とにかくこの話はこれでおしまいです。はい!おしまい!終わり!」 赤くなった顔をごまかすように大声で話す瑞鶴。 #診断小説

2014-07-03 09:04:00
鮎人 @ayuto68

「そう、あなたがそう言うのならいいのだけれど。」 いつもの調子に戻った加賀だが、心無しか表情がやわらいだように見える。 「よし、これで一見楽着だな。」 赤城、翔鶴とともに二人を見守っていた提督は、話がついたと判断すると、 「おーい!金剛、終わったぞ!」 #診断小説

2014-07-03 09:11:12
鮎人 @ayuto68

離れて談笑をしていた金剛姉妹に声をかける。 「ようやくフィニッシュしたようですネー。待ちくたびれてしまいましたヨ。」 「申し訳ありません。金剛、比叡、榛名、霧島。」 「時間とらせちゃってごめんなさい!」 加賀と瑞鶴が揃って頭を下げる。 #診断小説

2014-07-03 09:16:00
鮎人 @ayuto68

「フフ、冗談ですヨ。ノープロブレムネ!」 「お姉様のおっしゃるとおりです!」 「はい、榛名も大丈夫です。」 「演習出発予定時間の五分前、なんら問題ありません。」 四者四様の答えを返す金剛姉妹。 「よし、それじゃあー」 #診断小説

2014-07-03 13:47:54
鮎人 @ayuto68

演習に参加する艦娘、加賀、瑞鶴、金剛姉妹が揃ったのを確認した提督が出発の号令をかけようとしたその時、 「提督」 加賀が発言した。 「ん?どうした加賀?」 「今日の旗艦を私から瑞鶴に変更していただきたいのですが。」 #診断小説

2014-07-03 13:56:31
鮎人 @ayuto68

演習のメンバーと旗艦は前日に参加メンバーに伝えられ、消灯の二時間前には掲示板などに張り出される。今回の旗艦は加賀と記載されていた。 「俺は別に構わんが…、金剛達はどうだ?」 「空母のエースが何も考えなしに旗艦を代わるとは思えないしネー。私もかまいませんヨー。」 #診断小説

2014-07-03 14:01:12
鮎人 @ayuto68

「お姉様の言うとおりだと思います!」 「はい、榛名も大丈夫です。」 「問題ありません。」 二人ほど先ほどと全く同じ返答をしている気がした提督だったが気にしないことにして、瑞鶴へと向き直る。 「というわけで瑞鶴、今日の旗艦はお前だ。」 #診断小説

2014-07-03 14:04:23
鮎人 @ayuto68

「ええ!?そ、そんな急に言われても…」 唐突に旗艦を任された瑞鶴はテンパりながら加賀に視線を向ける。 (先輩、どうして急に?) まだ昨日のことを気にして?それとも何か別の考えがー 「瑞鶴」 (!!!) いつ以来だろうか。加賀に自らの名を呼ばれたのは。 #診断小説

2014-07-03 14:11:37