「ファッキンドギーシット!」国連軍中佐、ジョン・エンブリー中佐は汚い罵声を上げ立ち上がった。黒い革製肘掛け椅子が床に倒れる。「何なんだアイツは!?二個分隊規模のクローンイ級がああも簡単に…」「だから言っただろうエンブリー=サン。クローンイ級程度では足止めにもならんと」 21
2014-07-05 21:32:06モニターの半分が切り替わり、日本軍人、モチオ・ツラバヤ大佐を映し出す。そう、彼らこそスエズ提督を陥れるはずのこの暗黒スポーツ賭博めいた計画を実行した張本人たちである!彼らの計画はちょっとした手違いで、偶然にもスエズに居合わせたケンペイ天狗に知られてしまったのだ。 22
2014-07-05 21:36:25このままでは二人ともケンペイに殺されてしまう。しかし彼らの予想に反して、ケンペイ天狗はなんと自らスエズ提督の代わりに走り出した!もしもケンペイがネオヨコスカへ時間内に到達すれば契約は完遂と見なされ計画は失敗、責任を取らされセプクする羽目になる。 23
2014-07-05 21:43:09「しかし断続的な妨害は後々大きな影響を与えるものだろうツラバヤ=サン?ニッポンで蝶が羽ばたけば中国でタイフーンだ」「そのためにあと何ダースのクローンイ級が必要だ?一介の英軍中佐の君が動かせる軍勢は高が知れている」エンブリーは唇を噛む。ツラバヤ大佐の言うことはもっともだ。 24
2014-07-05 21:48:18「だが、ケンペイ天狗を殺すか契約を失敗させなければどの道私たちはオシマイだ。そのためには最悪、越権行為も辞さない」エンブリーは俯き、絞り出すように決意を露わにした。「そう言うと思ってな。こちらが先に手を打っておいたよ」その声にエンブリー中佐はモニターへ顔を上げる。 25
2014-07-05 21:53:43画面に映るツラバヤ大佐は汗を拭う。その顔は覚悟を決めた一人のサムライの顔だった。「ワッザ…?ツラバヤ大佐、アンタまさか」「ドン・ハリマ=サンの名で海軍を経由し、アラビア連邦に駐留している水陸機動団のある部隊を動かすよう命令した」 26
2014-07-05 21:57:04なんたる越権行為!露見すれば当然死!これを帳消しにするには当然ケンペイを殺すか契約失敗の手柄を立てるしかない!「水陸機動団とはニッポンの海兵隊と言われる? 一体何の部隊を動かしたんだツラバヤ=サン?」 27
2014-07-05 22:01:58「今まさにアラビア連邦で活動している艦娘の中隊がいる」「水陸機動団の中隊か? 海軍の鎮守府ではなく?」「おそらく現在もっとも陸戦に秀でた艦娘たちだ。ケンペイを殺すか、不可能でも奴に多大な遅延を与えられるはずだ」ツラバヤ大佐は椅子に深く腰掛け、手を組み、不敵に笑った。 28
2014-07-05 22:08:44「そいつらの名は独立機動試験中隊。水陸では尊敬を、海軍からは揶揄を込めて、座礁艦隊と呼ばれている」 29
2014-07-05 22:10:42