【私的メモ】「フレッシュ・プリキュア」とはどんな物語だったか?

再放送の「フレッシュ・プリキュア」を見終わりました。  http://www.toei-anim.co.jp/tv/fresh_precure/ 放映を見ながら強く感じていたことをまとめました。 続きを読む
54
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

フレッシュプリキュア見終わった。これは「幸福に育った人間の物語」である。ヒロイン3人にはトラウマの描写も悲しいエピソードもない。幸福に育った人間がラビリンスという敵と戦う。そこが新しい。よくある不幸な過去を背負った主人公が悪を倒すのでない。幸福に育ったヒロインが幸せを広める物語だ

2010-11-14 15:34:45
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

一方4人目のプリキュアは悲しい過去を背負った人間として登場する。3人のヒロインの「幸せの力」によって4人目が救われるという物語、これがフレッシュプリキュアの大きな軸の一つであり、同じように、不幸な人々をひとりひとり救って行くのがこの物語の展開である。

2010-11-14 15:36:43
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

フレッシュプリキュアは、一連のプリキュアシリーズの中でも異色のシリーズであり、また、昨今のアニメの中でも特異な作品である。ヒロインの内面を掘り下げない、ヒロインは四ツ葉町で幸せに育った普通の女の子で、夢もあって毎日が楽しい学生で、満たされている。

2010-11-14 15:39:18
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

満たされた者をヒロインに置くということは、何かを探したり(プリキュア5)コンプレックスをバネにしたり(ハートキャッチ)、そういった欠けたものを満たそうとする力を物語をドライブする力として使わないということだ。自分たちの幸福、クローバーストリートという幸せな街を世界に広げようとする

2010-11-14 15:41:16
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

これは一つの挑戦であり、結果的に昨今のトラウマ-ドライブ-アニメ(主人公がトラウマや心の傷を抱えて、それを癒す物語)に対する批判ともなっている。だからフレッシュプリキュアの物語の構成は独特だ。まず幸せな日常の描写が入り、自分たちの街が幸せかを描いて、それが壊されるという展開になる

2010-11-14 15:45:16
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

全体としては、ラビリンス側が不幸であり、四ツ葉町が幸せである、という図式になる。四ツ葉町の幸せが世界に広がって行き、世界を救うという図式だ。ヒロインたちはいつも仲が良くて喧嘩もあまりなく、自分たちのあたりまえの幸せをみんなにわけ与えていく。

2010-11-14 15:48:02
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

こういった物語の構成はフレッシュプリキュアを企画する段階で、思い切って方向付けられたものであり、そうでなければ、ここまで徹底した方向を打ち出すことはできなかっただろう。「みんなで幸せでゲットだよ!」がフレプリの標語であるが、そういった方向を明確に示すものとしてヒロインの口癖である

2010-11-14 15:51:00
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

じゃあ、それでキャラクターを納得できたり感情移入できたりできるかと言えば、それは、やはり出来るのである。それは、もちろん、よくあるアニメのようにトラウマーコンプレックスによって一話の中でキャラクター付けをするスピードに比べれば、すごく遅い。 

2010-11-14 15:55:14
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

フレッシュプリキュアは長い物語であるから、一話一話で、淡い水彩画のような日常を重ねて行くことで、キャラクターが浮かび上がって行く。トラウマ、コンプレックスという強い色づけをせず、むしろ、一話から最終話までを通して、次第に見る人の心にヒロインたち、幸せな街という存在を植え付けて行く

2010-11-14 15:57:36
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

おそらく、そういった点は見る人によっては、わかりにくく、退屈であると感じることがあるかもしれない。自分は再放送の連続放送で見たのでそうは感じなかったが、フレッシュプリキュアが見せようとする世界は大きく包括的なものであり、それは15~20話程度で、ゆっくりと定着して行くものだと思う

2010-11-14 15:59:57
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

幸福なヒロインに対して四人目のプリキュアは対照として不幸な過去から再生し解放されることによって仲間になる。四人目のプリキュアは幸福に育った3人のヒロインとの対照を表現することで、幸せとは何かを描く役割を持っている。個人的には、四人目のプリキュアの心が解放される過程が非常に好きだ。

2010-11-14 16:02:43
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

フレッシュプリキュアで敵として描かれる不幸な人々は、何かを執拗に奪ったり、孤独であったり、罪の意識を持ったり、自分の考えを持たずシステムに支配されている人々である。プリキュアはそういったことを強く否定して幸福な道に戻そうとする。その過程で「幸せとは何か?」をくり返し反省・確認する

2010-11-14 16:07:56
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

フレッシュプリキュアは、00年代のような寒い時代に、どんな希望に満ちた物語を見せるか、を考え抜いて作られた作品だと思う。全体としてもブレがない。不幸の連鎖に対して、幸福な人々がそれを食い止めて、どうやって世界を再生させて行く、それがフレッシュプリキュアのテーマである。

2010-11-14 16:11:47
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

もちろんプリキュアのメインターゲットは子供なので、大人が見ていて、違和感を覚えるところもあるだろう。しかし、そういった面を除いては、フレッシュプリキュアは、大人から見ても、世界の現状に対する大きな問題意識と、その解決に向けての方向性を持っている。

2010-11-14 16:15:19
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

また、アニメファンから見ても、フレッシュプリキュアは随分と思い切った試みを実現し成功した作品だと感じる。物語が立ち上がっていくのが遅い物語であり、構成をメインにした物語でもなく、非常に詩的な物語すらある。見終わった後には、どんな作品より、世界観が心に染みる作品である。

2010-11-14 16:18:21
三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou

そういった物語に興味のある方は、ご覧になるとよいと思う。ひとまず、フレッシュプリキュアを見終わった最初の感想トークはここで終わる。 http://www.toei-anim.co.jp/tv/fresh_precure/

2010-11-14 16:19:43