素敵なリボン。それが風船にかけられたリボンのことを指しているのだというのは #飴売 さんの視線でわかった。「雲で作られたリボンなんです」軽くて形を作りやすいく、どんな色にも染めやすい。 @Re_TnoiSa #空想の街 #雑貨屋
2014-07-06 09:43:42「雲の…リボンですか」どこで売っているのだろう。ふわふわと風船と一緒になびいている。「この街には綺麗なものがありすぎて驚いてしまいます」飴売りは静かに笑った。 #空想の街 #雑貨屋 #飴売 @saiki_verse_s
2014-07-06 11:45:03綺麗なもの、確かに。「たくさんの素敵なものに触れて、感動して。だから此処に私はお店を開いたんです」ものだけではなく人も勿論。 @Re_TnoiSa #空想の街 #雑貨屋 #飴売
2014-07-06 13:27:24「お店を開いていたんですか」驚きはあまりない。昨日の夜からきっとどこかにお店があると飴売りは思っていた。「ぜひ、いつか伺わせてください。貴女のお店に」 #空想の街 #雑貨屋 #飴売 @saiki_verse_s
2014-07-06 14:46:36「小さなお店ですが宜しければ。海の見える #雑貨屋 なんです」本当に良い場所にお店を開けたものだと改めて思う。差し出した名刺にはお店から見える海の景色。 @Re_TnoiSa #空想の街 #飴売
2014-07-06 15:45:00「#雑貨屋 さんだったのですか!」それも海の見える場所にあるとは!夏の花を連れた彼女に海…あぁ素敵な人に出会えたなぁ。飴売りは嬉しくて思わず笑ってしまう。「いつか、必ず!」 #空想の街 #飴売 @saiki_verse_s
2014-07-06 18:14:42小さなお客様
氷涼祭の出店を楽しんだ私は、帰ってきて少しの間だけ店を開ける。氷涼祭の日、夜遅い時間にやってくる一人のお客様。その人のために必ず開けておくことにしているのだ。 #空想の街 #雑貨屋
2014-07-06 06:50:53その人がこの店に来るようになったのは数年前だったろうか。いつもより遅い時間まで店を開けていたところに、ドアベルの音。ところが入口を見ても誰も居ない。風でも吹いたのかと不思議に思ってドアを閉めようとしたところ、見付けた。立っていたのは小さなお客様。 #空想の街 #雑貨屋
2014-07-06 07:01:04「まだ、やってますか?」小さなお客様は不安そうに言った。「大丈夫ですよ。何をお求めですか?」しゃがみ込んで視線を合わせる。「贈り物をしようと思って」お客様は俯き、その後で小さく自分に、と付け加えた。 #空想の街 #雑貨屋
2014-07-06 07:08:12自分への贈り物。素敵なことだと口元を緩める。「どうぞ、狭いですがご自由にご覧ください」お客様を店内へご案内。もちろん踏み台を用意することも忘れないように。 #空想の街 #雑貨屋
2014-07-06 07:14:17しばらくしてお客様が持ってきたものは、月の涙で作られた髪飾り。遠く離れた太陽を想って月が流した涙だ。「お包みしますね」「あ、自分のものなので……」断るお客様は慌てた様子。けれど。「では私からのプレゼントということで」 #空想の街 #雑貨屋
2014-07-06 07:21:10「ありがとうございます」照れ臭そうなお客様。手早く包装して、最後に虹を切り取って作ったリボンをかける。お気に召してくれると良いのだけれど。 #空想の街 #雑貨屋
2014-07-06 07:25:01お客様にお渡しすると、ぱっと笑顔になったのが分かった。良かったと胸を撫で下ろす。「また来年も、来て良いですか?」お代を払って必死な顔。「喜んで。来年もまたお待ちしてます」 #空想の街 #雑貨屋
2014-07-06 07:29:23お客様を見送って外に出る。営業中の札を準備中に掛け替えた。それにしても可愛らしいお客様だったと笑う。店の前を片付けていると小さな葉っぱが目に止まった。これは確か。 #空想の街 #雑貨屋
2014-07-06 07:37:08なるほどと納得する。この葉っぱは、自らの姿を変えるために使ったもの。可愛らしいお客様の正体は……。来年はそのままの姿で来ても良いと伝えるべきだろうか。 #空想の街 #雑貨屋
2014-07-06 07:41:47ぼんやりとそんなことを思い出していると、ドアベルの音がした。振り返れば姿は見えない。が、視線を下に落とすと可愛らしいお客様。「いらっしゃいませ」小さな狐が嬉しそうに店内へ駆け込んでくる。 #空想の街 #雑貨屋
2014-07-06 07:46:25氷涼祭の終わりに
白鴉が渡った後。静かに涙雨が降り始めた。今日はもうそろそろ店じまいにしよう。毎年の事ながらやはり寂しい。残った思い出を胸に、また来年。 #空想の街 #雑貨屋
2014-07-07 00:13:40外の看板を店の中に片付ける。風船の絵を描いた看板は、明日から違うものに変えなければ。次は向日葵が良い。仕立ててもらったあの浴衣のような、可愛らしい向日葵にしよう。 #空想の街 #雑貨屋
2014-07-07 00:18:13「あの」不意に掛けられた声。傘をさした青年がそこに立っていた。近所の常連さん。「すみません、もう今日は」「あ、いえ、良いんです。今日は欲しいものがあって来た訳ではなく」 #空想の街 #雑貨屋
2014-07-07 00:30:27