黒猫シャノワールと別れと出会い

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

「コウちゃん、しっかり生きて。パパとママの分までしっかり生きて。生き抜くことってとても勇気がいることよ。でもコウちゃんならできる。ママを見つけてくれたんだもの。だからね、また来年、ママを迎えに来て」そう言ってコウの額にキスをして、あずきはゆっくり消えていった。#空想の街 #黒猫

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

考え事をしながら歩いていると、雨が降ってきたので店の軒下で雨宿りさせてもらう。#ヴィンディッタ　わっちはさっきからずっと同じことを考えている。コウが最後に言った言葉。『そっちに行けば』。わっちもそっちに行けば姉さまに会えるのだろうか…。#空想の街 #黒猫 @catnap_7

黒巣真音 @catnap_7

急いで #ヴェンディッタ に帰り、準備をした。丁度、涙雨が降り始める。クローズを、オープンにする為に、外に出た。と、軒先で雨宿りする人がいた。「……中、入る？」 @ce1039 その人は、びくりと肩を震わせた。#黒猫 #空想の街

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

考え事をしていたら急に話しかけられてビックリした。でも猫は水が苦手だから雨宿りさせてくれるならちょうど良い。世話になるかの。店内は静かで居心地が良い。浴衣がシワになるといけないから、背の高いカウンターの椅子に座ることにした。@catnap_7 #空想の街 #黒猫 #ヴィンディッタ

黒巣真音 @catnap_7

「バーだからカクテルメインだけど、お酒飲む？それとも、ソフトドリンク出そうか？」酒が飲めるかどうかわからない人には、ソフトドリンクも勧める。今日からきちんと店主をすると決めたから苦手な接客も思う限りきちんとしてみた。@ce1039 #黒猫 #ヴェンディッタ #空想の街

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

「酒をもらおうかの。なんでも良い。任せる」今はちょっと酔いたい気分じゃ。接客業をしておるこやつなら広い考えを持ってるかもしれん。人に聞いてみるのも知恵か。「なあ、お主よ。会いたい人に会えん時はどうすればよいと思う？」@catnap_7 #空想の街 #黒猫 #ヴィンディッタ

黒巣真音 @catnap_7

返事をしてディタ・モニを作る。グラスを差し出すと彼女は私の瞳を不安げに見つめた。「私もしばらくの間会いたい人に会えなかったんだ。けどそれは私の気持ちが、会いたいと会いたくないを行ったり来たりしてたからだった。あなたはどうなの？」@ce1039 #黒猫 #ヴェンディッタ #空想の街

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

「わっちは……」生きてるか死んでるかも分からん姉さまに会いたいと願ってもう何年が経つじゃろう。再会を諦めたこともあった。もし姉さまに再会出来た時、コウのように泣きじゃくることができるじゃろうか。それが不安なのかもしれん。@catnap_7 #空想の街 #黒猫 #ヴィンディッタ

黒巣真音 @catnap_7

「あったときが不安？何を言うか、何をするか、何が出来るか、わからないから？」彼女がまるで自分の様に見えたのかもしれない。ほんの数日前の自分に。けれど優しい言葉は言えなかった。優しさは、持ち合わせていない。淡々と言葉を紡ぐだけだ。@ce1039 #黒猫 #ヴェンディッタ #空想の街

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

「会いたい気持ちは変わらん」でも、姉さまもそうとは限らん。わっちらは長く離れすぎた。姉さまの考えが分からなくなってきた。あずきとコウは互いを思ってこの街で再会した。じゃあ再会できないわっちらは？姉さまはわっちをどう思っとる？@catnap_7 #空想の街 #黒猫 #ヴィンディッタ

黒巣真音 @catnap_7

「気持ちが変わらないなら、大丈夫だと思う。私は、会いたいのか、会いたくないのか、わからなくなってた、って言ったでしょ。けど #空想の街 で #ヴェンディッタ をやって行こうって思ったから、あえた。と思ってる。自分の気持ちがしっかりしてれば、きっと会えるよ」@ce1039 #黒猫

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

「本当に会えた者が言うなら間違いないのじゃろうな」想い続けること。忘れかけてたことじゃ。相談して良かった。最後に一つ。「死んだ者に会いたい時、自分も死ぬのは間違いじゃろうか…」なぁ店主よ。頼むから間違いじゃと言ってくりゃれ。@catnap_7 #空想の街 #黒猫 #ヴィンディッタ

黒巣真音 @catnap_7

空になったグラスを下げた。「死、は全ての終わりだ。終わってしまったら、会いたいと思うこともできない。そもそも、あなたには、死を選ぶ勇気はある？あなたに、死の何がわかる？」殺す側だったけれど死にかけたこともあった。死は怖いんだ。 @ce1039 #黒猫 #ヴェンディッタ #空想の街

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

死は終わり…か。確かにそうじゃな。きっと店主も死に向かい合ったことがあるのじゃろう。だからこそ重みがある。わっちに姉さまとの関係を終わらせるという選択肢はない。ならわっちは生き続け探し続けなければならん。@catnap_7 #空想の街 #黒猫 #ヴィンディッタ

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

終わらなければきっと会えるじゃろう。再会したとき何を言うか。再会したとき姉さまがなんと言うか。そんなことを悩むのは再会してからじゃ。「ありがとう」素直にその言葉が出た。再会できるかどうか。そんなこと悩むだけ無駄じゃな。@catnap_7 #空想の街 #黒猫 #ヴィンディッタ

黒巣真音 @catnap_7

「感謝されるようなことは言ってないよ」赤い髪の女は優しく微笑んでいた。彼女は気付いていないが #ヴェンディッタ の店主としての顔になっていた。「感謝するくらいなら、まだのもうよ。これ、オススメだから」ディタ・スペシャルが二杯、用意されていた。@ce1039 #黒猫 #空想の街

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

「そうじゃな。久しぶりに美味しい酒が飲めそうじゃ。あ、さっきのが不味かった訳ではないぞ？気分的にじゃ。楽しい相手が隣にいればなおさらじゃな」そう言ってわっちはグラスを持って、店主の方に傾けた。「それぞれの想い人に」@catnap_7 #空想の街 #黒猫 #ヴィンディッタ

黒巣真音 @catnap_7

「そして、私たちの出会いに」私も軽くグラスを傾けた。まさか、ここ数日で出会った人たちのおかげで、ここまで、私が変わるなんて思わなかった。だから、その人たちも含めての、乾杯だ。ただ待つだけの場所でなくなった #ヴェンディッタ が愛しいと感じていた。@ce1039 #黒猫 #空想の街

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

この街は孤独じゃったわっちにいつも居場所をくれる。絵本屋。仕立屋やうさ耳娘っ子。みじんこ。そしてまたここに新しい出会い。この街は温かい。わっちは溢れそうになるものを誤魔化すため話題を変えた。「あっちにあるのはなんじゃ？」@catnap_7 #空想の街 #黒猫 #ヴィンディッタ

黒巣真音 @catnap_7

「ダーツだよ。ダーツしたことある？」言いながら、カウンターを出た。もちろん、手にはダーツを持って。今なら、案外、気持ち良くダーツを、投げられるのかもしれない、と思った。@ce1039 #黒猫 #ヴェンディッタ #空想の街

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

「それを投げるのかや？わっちはやったことはない。別の待ちの酒場で見たことがあるの。でもこんなに立派ではなかったがな」あの時は男たちが騒がしくやっておったが、よく見ると結構おしゃれじゃな。興味を惹かれわっちも後をついていった。@catnap_7 #空想の街 #黒猫 #ヴィンディッタ

黒巣真音 @catnap_7

「そう。これをあの的に投げる。投げる場所はここ」スロウイングラインに足を置く。「リラックスして」身体を揺する。「構えて。集中して投げる」閉じていた目を開きブルを見据える。怖いことはない。#空想の街 では誰も私を殺さない。だから私も殺さない。@ce1039 #ヴェンディッタ #黒猫

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

ふむふむ。なるほど店主だけのことはある。構えが様になっててしなやかじゃ。「集中するのは苦手じゃな…。でもリラックスは得意じゃ。なんせ猫じゃからな」店主に気を許してポロっと言ってしまった。でも別に隠すことでもないしいいじゃろ。@catnap_7 #空想の街 #黒猫 #ヴィンディッタ

黒巣真音 @catnap_7

彼女は驚きもしていない。怯えてもいない。良かった。「集中するのが苦手な人は多いね、確かに。でもそれも慣れだよ。……って、え？ね、こ？」 思わず振り返り彼女を見た。まさか私が驚かされることになるなんて。けど、どうみても、人間だ。@ce1039 #ヴェンディッタ #黒猫 #空想の街