ラバウル少佐日誌:ジ・少佐艦隊ズ編後編

少佐と艦娘達の和気藹々としたコメディ短編です。 何とか短編で終わりました。
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檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

午後7時00分。 この時間になると、間宮食堂ラバウル支店は急激に人が捌ける。 理由は……。(1) #ラバウル少佐日誌

2014-07-14 19:40:21
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「やあ、間宮君」 眼鏡を掛けて、白い海軍服を着たデブの男はニタリと卑しく笑む。 間宮と呼ばれた女は、張り付いた笑顔を崩さない。 だが、握り締めた手が震えている。(2) #ラバウル少佐日誌

2014-07-14 19:46:17
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「そう嫌がる事ないじゃないか。デブは一食抜いたら死ぬ。私は頼んでいた通りのものを頼む」 「畏まりました、少佐……」 間宮は深々と頭を下げる。 艦娘内でも『少佐の艦隊』に所属する艦娘と、関わりを持とうとする者はいない。 ……『子』は『親』に似ているが為に。(3) #ラバウル少佐日誌

2014-07-14 19:53:48
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「さて……」 少佐は何人かの艦娘と円卓を囲む形で席に腰を落ち着けると、先ず出された水を一口飲んだ。 「では、昼の会議の続きをしようか。と、言っても、結論は出きっているようなものだったな」 「そうね」 提督の左隣に座る、やや濃い青色の着物姿の女が即答した。(4) #ラバウル少佐日誌

2014-07-14 20:07:04
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「何処かの意気地無しが踏み留まってるせいで、これ以上具体的な話が出来ませんから。あなたも私に同意見でしょう、長門」 対角線上に座っていた海自の礼装姿をした長い黒髪の女に、彼女は微笑み掛けた。 「いや……私は今のところ、提督の判断の肩を持ちますよ、加賀さん」(5)#ラバウル少佐日誌

2014-07-14 20:15:52
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「私に意見するの?自衛官上がりの『雑種』が」 加賀はさらりと彼女に吐き捨て、水で少しばかり口を湿らせた。 「艤装の記憶の影響か、或いは赤城の為かは知りませんが、ここ最近あなたはやや冷静さを欠いている。自覚して下さい、加賀さん」 「黙りなさい私は冷静よ」(6) #ラバウル少佐日誌

2014-07-14 20:22:49
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「加賀!」 円卓を殴りつけ、長門は立ち上がる。 「それで私を脅したつもり?」 対する加賀は静かに言うが否や、懐から拳銃を取り出し、両手で構えて銃口を長門へ向ける。 「殺処分が御似合いよ、暴れゴリラ」 「今のあなたに、提督を従わせる訳にはいきません……!」(7) #ラバウル少佐日誌

2014-07-14 20:27:59
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「は、はわわわやめて下さい二人共!」 声を上げたのは、特III型駆逐艦娘の制服を着た、茶髪の少女だ。 「電も長門さんに賛成なのです」 「ああ、うむ」 「でも加賀さんの気持ちも分かるのです!」 「……」 「なので、司令官さんに話を聞くのです!」(8) #ラバウル少佐日誌

2014-07-14 20:35:12
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

電が指差した先、円卓の対角線上に座る『司令官』こと少佐は、 ステーキを貪り食っていた。 「むむ……やはり、少し火を通し過ぎているのではないか?」 「それ以上レアに致しますと、食品衛生上危険が危ないですよ……」(9) #ラバウル少佐日誌

2014-07-14 20:42:08
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「ううむ……あれ?このザワークラウトよく浸かってるな。どうしたんだ」 「元帥さんのところのレーベちゃんから、御指導御鞭撻を受けまして」 「ほう、流石は本場の上等なドイツ少女だ。ウチのレーベは料理下手だから、そうはいかんな」 「……加賀さん」「ハァ……」(10) #ラバウル少佐日誌

2014-07-14 20:51:15
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

二人は座り直すと、目の前に置かれた食事を静かに口へ運び始めた。 「げえっ、何ですのこれ!?殆ど生肉じゃありませんこと!?」 「えー?そっかなー。案外あたしはイケるカンジだけどぉー」 そして少佐の円卓から少し離れた席では、素っ頓狂会話が交わされていた。(11) #ラバウル少佐日誌

2014-07-14 20:57:51
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

午後11時。 漸く任務も粗方終わり、少佐は逆五芒星がプリントされたパジャマを着て、執務室に布団を敷いていた。(13) #ラバウル少佐日誌

2014-07-14 21:09:28
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「さて、と……」 部屋の電気を消し、窓を開ける。 「うげっ!蒸し暑っ!」 そして慌てて閉める。 「……」 部屋にいるのは、彼だけである。 だが、天井へ向かって、彼は虚しい笑みを見せながら、ぼやく。 「私は、今度こそ死に場所を見つけられるのだろうか……」(14) #ラバウル少佐日誌

2014-07-14 22:06:06
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「やめようよ!そういう事言うの!」 真暗な部屋の天井から、聞き覚えのあるやかましい声が響いた。 「……私のプライバシーは、無いのか?」 「大丈夫!提督はそのまま寝てていいよ!」 「寝れるかボケ!」(終わり) #ラバウル少佐日誌

2014-07-14 22:29:18