竜の贈り物【FF6二次創作】

振り分け用アカウントを使ったライブツイートのテストです。
0
みなみ @minarudhia

@furiwake その日の夜は昼から一転変わって澄みきった星空に変わっていた。今だに湿った土の臭いが鼻をつき、草の青臭さを一層引き立てている。

2014-07-15 00:24:45
みなみ @minarudhia

@furiwake それを除けば天気の崩れやすいこの山の近くで見る星空の美しさは格別だ。そう思いながら筋骨逞しいその躯を泉に浸らせているのは、モンク僧のマッシュである。今の彼は束ねた髪を解き、軽く鎖骨の辺りに水をかけつつ手でぬぐった。

2014-07-15 00:28:17
みなみ @minarudhia

@furiwake 修行の後の汗流しに、山の麓にある小さな泉は最適の場所だった。むろん今も彼はその為に泉を使っていた。…ただし、泉を使っていたのは彼だけではないが。

2014-07-15 00:32:05
みなみ @minarudhia

@furiwake ぱしゃ。微かな光を真珠色に照り返しながら、水中を優美にうねるは白銀の竜。…とはいえ、大型の馬と同じほどの体躯はしなやかさも相まってマッシュがこれまで見てきたドラゴンと比べれば小柄で大人しめな印象を受ける。

2014-07-15 00:40:53
みなみ @minarudhia

@furiwake 見た目も、後方に向かって生えた角を除けばほとんど何も“飾り”の付いていない四脚の獣に近い風貌。全身を覆う鱗は見た目や美しさから想像できない程に硬いのに、その硬さからは考えられないほど手触りが良い。犬ほどの大きさだったなら、愛玩目的で飼われることになっただろう。

2014-07-15 00:45:54
みなみ @minarudhia

@furiwake 事実、その鱗を狙われて狩られてきた歴史がある事をマッシュはこの竜から伝え聞いていた。ただし、この竜…今マッシュが様々な経過を経て生活を共にしている竜には、そう易々と狩られはしないと自負するほど強い力もあると知っている。

2014-07-15 00:49:36
みなみ @minarudhia

@furiwake そんな竜が何をしているかというと、その鱗を古いものから新しいものに脱ぎ替えるためだった。泉の縁に溜まった古い鱗はキラキラと光を跳ね返している。マッシュは、その一枚を指先につまみ上げ、透かすように見つめた。「……ホントに綺麗なもんだな」

2014-07-15 00:57:28
みなみ @minarudhia

@furiwake 「何が?」ぱしゃり。水面から顔を出し、ぷるぷると首を振って白銀の竜はマッシュの方を向いた。「ああ、この鱗の事。いつ見ても綺麗だなって」数枚で軽く一万ギルはするとロックから聞いている。

2014-07-15 01:02:33
みなみ @minarudhia

@furiwake 「…マッシュ、良かったらあげる」「え?」「取っておきの一番いい一枚を。ちょうど、生え変わる頃合いだし…」言いながら、雌竜は自分の右足に口を付ける。…いや、牙を軽く鱗の縁に引っ掛けた。「…ッ!」「おい、それ、生え変わったばかりの!」

2014-07-15 01:07:51
みなみ @minarudhia

@furiwake 生え変わったばかりの鱗を抜くのは、人間でいうなら生爪を剥がすようなものだ。まもなく鱗の付け根から血が滲みだし、小さな音と共に無理矢理引き抜かれた鱗は親指の爪を一回り大きくしたような一枚だった。「フィスト、お前そんな…痛いだろ」

2014-07-15 01:14:38
みなみ @minarudhia

@furiwake 「…大丈夫、これくらいなら」「じゃないだろ、俺だっていくら修行してようが痛いものは痛いんだ。ちょっと待ってろ」言いながらマッシュは泉から這いでていった。薬箱を取りに小屋へ走った彼を見て、フィストは慌てて顔を伏せ、水面に頭を突っ込んだ。…痛みはとうに忘れた。

2014-07-15 01:19:02
みなみ @minarudhia

@furiwake マッシュ自身忘れている。………今の彼が、一糸纏っていない状態であることに。彼が戻ってくるまでの間しばらく、白銀の雌竜はモンク僧の逞しい裸を脳内から閉め出すため水面にそのまま顔を沈めていたのだった。 *終わり*

2014-07-15 01:24:59