まずこの『バウドリーノ』、登場人物の名前と関連地図が別刷りのペーパーで挟みこまれている。すごく…、便利です…。まあ登場人物は自分でメモればいいんだけど、地図は便利。とくにコンスタンティノープル(現イスタンブール)の地図。
2010-11-12 21:49:28「1 バウドリーノは書きはじめる」。「正書法」「マカロニズム」「イタリア語における言語問題」を文体だけで表現する、という文学変態ぶりを発揮してくれるエーコ先生。さすがにトバしすぎです。読みやすく翻訳されていて私がホッとした。
2010-11-12 21:59:59「2 バウドリーノはニケタス・コニアテス」に出会う。『バウドリーノ』全体は12-13世紀のヨーロッパを舞台にした歴史小説という体裁でもある。ニケタスも実在したビザンツ帝国の歴史家。で、主人公(架空の人物)は「うそつき」属性。「語りと虚構」をめぐる舞台がががが。
2010-11-12 22:28:11「3 バウドリーノは子供の頃に書いたことをニケタスに説明する」。この章の半分はドイツの神聖ローマ皇帝とイタリアの自治都市の関係を中世史に疎い私に説明してくれるやさしさで出来ています。
2010-11-12 22:38:05「4 バウドリーノは皇帝と話し皇妃に恋する」。この章の半分も(略)。プレスター・ジョンって、原語読みにシフトしつつある昨今の世界史教科書ではひょっとして違う名前で載ってるのかな。
2010-11-12 22:45:58「6 バウドリーノはパリに行く」。103頁5行の「幸福の島々」って何だろうと思って調べた。どうやら聖イシドルスの『語源』に出てくる「Fortunatae Insulae」みたいやな。
2010-11-13 20:58:13「7 バウドリーノはベアトリスには恋文を〈詩人〉には詩を書かせる」。「ラテン語風刺詩(タベルナリア)」って知らなかった。それらしいスペルで検索してもヒットしない。うーん、なんだろう。直訳すると「居酒屋風」にでもなりそうだけど。エーコの創作?
2010-11-13 21:17:40「8 バウドリーノは地上楽園を想像する」。114頁12行の「悪魔の故郷について」ほかはラブレーの『パンダグリュエル』からの引用。『バウドリーノ』全体を貫くラブレーとフォレンゴ(16世紀のマケロニ詩人)に対する敬意を表出したものか。
2010-11-13 21:32:19「9 バウドリーノは皇帝を叱責し皇妃を誘惑する」。「サルウェ・ムンディ・ドミネ(めでたし、世界の君主)」。これは12世紀の詩人Archipoeta(本名は不明。「古い詩人」という意味)のものと題名がいっしょ。エーコは作者不詳の作品をバウドリーノに横取りさせまくってるわけだ。
2010-11-14 20:52:33「10 バウドリーノは三賢王を見つけシャルルマーニュを列聖する」。151頁17-18行。東方の三賢者がラヴェンナのモザイクでは半ズボン穿いてる、という話だけど、これ最近「ディテールで見る世界の名画」的な本で見たな。書名が思い出せないぐぐぐ。
2010-11-14 21:05:28Wikipediaのこのページ http://ht.ly/39syc の「Teodora e le sue dame」の画像を拡大してみても「膝丈」かどうかはわからない。ラヴェンナの別の教会にある大きなマギの絵は、はっきりと長い裾のズボンをはいてますな。→...
2010-11-14 21:15:33これでした。http://ht.ly/39sAK (サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂)。なんか登山リュックかついで旅行した時のことを思い出してきた。ここ行った後、バスでサンタポリナーレ・イン・クラッセに行ったんだ。郊外の田園地帯にポツンとある。あそこはオススメ。
2010-11-14 21:19:03「11 バウドリーノは司祭ヨハネのために宮殿を建てる」。166頁13行、「イエス伝(トーレドート・イエシュー)」って全然知らなかった。http://en.wikipedia.org/wiki/Toledot_Yeshu
2010-11-14 21:43:08「12 バウドリーノは司祭ヨハネの手紙を書く」。184頁10行、「天から落ちた石」(lapis ex coelis)をくりぬいて聖杯にした、という話。どうやらこれは賢者の石とかエリクサーみたいなもんらしい。うーん、どういう文献に出てくるんだろう。
2010-11-14 22:04:14「13 バウドリーノは新しい町の誕生を目のあたりにする」。215頁14本「どうすれば八本脚の獣になれるか…」まあセックスのことだけど、プラトン『饗宴』に出てくる、男女が結合した状態の動物のことも言ってるのかもしれん…と思ったが、中世人が『饗宴』はちょっとアナクロニズムかも。
2010-11-15 21:31:23「14 バウドリーノは父親の牝牛でアレッサンドリアを救う」。中世の戦争の機微が面白い。近代戦への移行って、戦争の動機において名誉が占める領域が減っていくことなのかなーと思った。
2010-11-15 22:16:03「15 バウドリーノはレニャーノの戦いへ」。272頁6-7行、「鳩」「ツバメ」「鶴」はよくわからない表現。「鳩」→「ツバメ」は渡り鳥になった、ということかな。しかし鶴は…「恩返し」? …まさかね。
2010-11-15 22:36:31「16 バウドリーノはゾシモスにだまされる」。うーむ、とくにコメントすることが見つからない。「ゾシモス」で検索したら3世紀に同名の錬金術師がいたことを知った。http://www.geocities.co.jp/technopolis/9866/grecs.html
2010-11-15 23:06:31「17 バウドリーノは司祭ヨハネが手紙を買いた相手が多すぎることを発見する」。む、なぜバウドリーノは「コスマスの地図」が必要だと信じ込んでいるんだっけ?
2010-11-16 17:38:28