研究紹介19 小さな嘘つき:子どもの言語的な嘘の発達 Child Development Perspectives, 2013

子どもの嘘のミニレビュー論文です。
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欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

小さな嘘つき:子どもの言語的な嘘の発達 【Little liars: Development of verbal deception in children】 goo.gl/qgQe0h

2014-07-18 19:29:12
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今回は実証研究ではなく、子どもの言語的な嘘の発達に関するレビュー論文の紹介です。 レビュー論文とはいっても非常にコンパクトにまとめられており、読みやすい内容でした。

2014-07-18 19:29:22
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この論文では子どもの嘘の発達には、「意図性に関連する要因」と「社会的なルール(慣習)に関連する要因」の2つ要因が大きく影響していることを主張していました。

2014-07-18 19:29:30
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意図性に関連する要因は、心の理論に関連する要因です。通常、嘘をつく場合には、自分が知っている事実、相手が知っているだろう事実をしっかりと認識する必要があります。 そのため、心の理論の発達と嘘行動には密接な関連があることが多くの先行研究で示されています。

2014-07-18 19:29:39
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子どもの嘘の発達研究ではよく「魅力的なおもちゃ課題(勝手に名づけました…)」が用いられます。 この課題では、子供にとって非常に魅力的なおもちゃを部屋に置いておき、実験者がそのおもちゃを見ないように指示します。

2014-07-18 19:29:56
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その後に、実験者は部屋をしばらく留守にして、子供がそのおもちゃを見たかの行動を記録しておき、部屋に戻った後に「おもちゃを見たか?」と尋ねます。

2014-07-18 19:30:00
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この課題ではほとんどの子どもが魅力的なおもちゃを見てしまいますが、嘘をつくかどうかはの壁は2~3歳にあるようです。 2歳の子は約30%しか嘘をつかないのに、3歳の子は約60%も嘘をついていました。4歳以降の子どもは約70~90%嘘をつくようになります。

2014-07-18 19:30:09
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魅力的なおもちゃ課題を使った最近の研究はこちらです。 「幼児初期の嘘」 【Emergence of lying very young childeren】 goo.gl/ObDB65

2014-07-18 19:30:24
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また、嘘をつけることと、上手く嘘をつけることは別々に考える必要があります。 4歳以降の子どもは約70~90%嘘をつくようになっていましたが、遠回しに事実を質問するとかなりの子どもが、本当のことを言ってしまうそうです。

2014-07-18 19:30:51
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たとえば、「おもちゃを見た?」という質問に対して、「見てない」と嘘をついた子に、「ところで、どんなおもちゃだった?」と聞くと、「かっこいいロボット!」のように嘘をついたことを白状してしまうことになるそうです。

2014-07-18 19:31:01
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このテクニックには、7歳でも約50%くらいひっかかることが報告されています。 お子さんが嘘をついているかもと思った場合には、遠回しに聞いてみるとよいかもしれません。

2014-07-18 19:31:26
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心の理論の発達に伴い、嘘をつくことが可能になり、2次的信念が理解できるようになると、上手に嘘がつけるようになると著者たちは主張しています。

2014-07-18 19:31:40
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もう一つの重要な要因は社会的なルールに関連する要因です。これは、嘘をつくことは基本的に「いけない」ことだが、時と場合によっては許容される嘘があることを発達に伴って理解していく過程を示しています。

2014-07-18 19:31:47
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3歳くらいの子のほとんどは嘘をつくことがいけないことで、真実を話すべきであることを理解しているそうです。 しかし、理解しているからと言って嘘をつかないわけではなく、嘘をつかずに真実を話すことをしっかりと約束しないと嘘をついてしまうことが報告されています。

2014-07-18 19:31:56
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研究はこちらです。 「虐待された幼児における真実を話すための誘導:真実と嘘に関する約束と安心の効果」 goo.gl/nlpVM7

2014-07-18 19:32:12
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英文は"Truth induction in young maltreated children: The effects of oath-taking and reassurance on true and false disclosure"です。

2014-07-18 19:32:23
欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

相手のための嘘(white lie)は子どものころは否定的に捉えられていますが、大人になるにつれて肯定的に捉えられるようになります。 相手のための嘘は3-7歳くらいの子どもでもつくことが可能ですが、なぜ嘘をついたかをしっかりと説明できるようになるには時間がかかるようです。

2014-07-18 19:33:26
欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

さらに文化によって嘘の内容に関する許容性が異なることも報告されています。たとえば、中国では集団戦で相手に勝つためには嘘をつくことを厭わない傾向があるようです。 この嘘は"blue lie"と呼ばれています。

2014-07-18 19:33:56
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研究はこちらです。 「集団の利益という名目の嘘:発達研究」 【Lying in the name of the collective good: A developmental study】 goo.gl/LC9YJf

2014-07-18 19:34:11
欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

以上のように子どもの嘘を研究する場合には、意図性に関連する要因、社会的ルールに関する要因(文化含む)を考慮し、これらの交互作用についても研究していくべきだと著者たちは主張していました。 将来的な研究課題を6つ挙げていたので、興味がある人は本文をご参照ください。

2014-07-18 19:34:38
欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

最後に宣伝です。子どもの嘘に関しては文京学院大学の村井先生が編集した「嘘の心理学」に非常によくまとめられています。 執筆者は神戸大学の林先生です。また、司法場面の子どもの嘘に関して北海道大学の上宮先生が執筆しています。 子どもの嘘に興味がある方はぜひご覧になってみてください。

2014-07-18 19:35:46
欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

<宣伝!> 嘘の心理学(2013)。ナカニシヤ出版。 第7章 嘘と発達(林先生)。第8章 嘘と司法(上宮先生)。 【ナカニシヤ出版】 goo.gl/lvWqVZ 【Amazon】 goo.gl/dkl5qC

2014-07-18 19:36:25