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全体的に非常に好みに合っていた作品なのだけれど、中でも一番上手いと思ったところはたんなる一目惚れにせずに丸々一冊かけてようやく四郎が未来への恋心を認識するところだろうか。
秘密を分け合う男同士の友情が確かなものになったからこそ、ふたりは絶対に男女の恋人にはなれないという、友情もののカタルシスと同時に悲恋もののカタルシスをぶつけてくるのは森橋ビンゴ先生の上手さとしか言いようがないでしょう。
この作品は単なる主人公からみた「未来への恋」という一方的な見方だけではなく、もっと未来から、あるいはその他のキャラから、様々なキャラの視点で読解をすることで、見方が一変してしまうという、複雑な作品である、ということです。
(´・ω・`)「全体的に見てみると、同性愛的な様相すら見せている作品になっているのが面白いよね」
(;`・ω・´)「たしかに、ヒロインの描き方が完全に男なんでBLっぽくなっちゃってます」
(´・ω・`)「この果てしなくややこしく、繊細な物語がどうなっていくのかに興味を持ったシリーズでした。オススメしときます」
またややっこしいお話を書いてくれましたねぇ森橋せんせー!
そうだよこれを待ってたんだよ!!
正直読み始めのころはこれがどうやったら恋愛ものになるのかと思ってたら……なる!なってる!!
この悶々としたもどかしい感じを書かせたらこの人は本当にうまいですね。
サブヒロインやモブではなく、なんちゃって女装や男の娘キャラでもなく、メインヒロインに据えたのはかなり思い切った判断だと驚かされましたが、変に誇張するのではなく、実際に性同一性障害者が抱えていそうな事情や、避け得ない問題を描くことでリアリティを出しつつ、同性としての友情と異性としての愛情で揺れ動く四郎の内面を繊細に浮き彫りにしていく描写がお見事でした。
1巻の最後、四郎は未来に対する気持ちを固め、そして、ある決断をします。
このラストシーンが名場面すぎる!
胸が痛くなる!
(帝王サウザーの気持ちも分かる)