【腐】悪魔主従スザルル

やよい @841mob

「すまない、ナナリー」翼を漆黒へと変えた兄は最後にそう言って天界から去ってしまった。行かないでと叫び、伸ばした手は届くことはなく、その傷は深くナナリーの胸に残った。何故あんなに優しかった兄がその身を地に墜としたのか、何故自分を置いていってしまったのか真実を知らねばならない

やよい @841mob

数百年の間少しずつ解放してきた地獄への扉、それを使いナナリーは一人、地獄へと足を踏み入れた。ここに居るであろう兄から直接真相を聞くために。地獄の最下層へと向かう。しかし。「止まれ」そこに一つの影が立ちはだかる。それは傲慢なる王の番犬。嫉妬の姿だった。#悪魔主従スザルル

やよい @841mob

「ここから先へは通す訳にはいかない。帰れ」射るような深い緑の瞳を向けてくる人物に息を飲む。「お願いです。そこを通してください。その先には会わねばならない方がいるのです」最初からお願い、などと何と弱腰か。自分達悪魔の間では信じられない態度だった。#悪魔主従スザルル

やよい @841mob

だがそれよりも何よりも「会わなければばならない方？」この先に存在するのは自分を除けばたった一人。己が主とする悪魔の王。すっと少女が自分を見据えて口を開く。「貴方方が王とする人物。傲慢、その方に私は会わなければならないのです」#悪魔主従スザルル

やよい @841mob

そう、真っ直ぐな瞳で告げる少女に瞬間嫉妬の心がざわりと騒いだ。こうして傲慢に会おうとこの地を訪れる者達は少なくはない。だがこの少女その輩たちとは何かが違うのだ。ぎりっと自然と剣を握る手に力が篭る。#悪魔主従スザルル