【超常科学NVL OCCULTIC;NINE】Twitter連載
だから、今どきの女子高生の制服を着ているりょーたすを見ると、新鮮な気分になる。 そして改めて気付かされるんだ。 「日本中の全ての中学高校は、女子制服の乳袋化を義務付けるべきでしょ」 「ガモターン?」 と、りょーたすがおもむろにポヤガンの銃口を僕へと向けた。
2014-07-28 22:46:10「今、エッチなこと考えてたでしょー?」 「あ……」 「いしーっしゅ!」 りょーたすはこういうとき、容赦しない。 「いてててて! ポヤガン! ノー!」 絶叫したら、りょーたすは撃つのを止めてくれた。
2014-07-28 22:46:55「ガモタン、遅れたくせにエッチなこと考えてたなんて~。早くしないと、視聴覚室が逃げちゃうよ」 「し、視聴覚室は……逃げないでしょ。だって視聴覚室だし」 僕は這いつくばったまま、息も絶え絶えにそう答えた。
2014-07-28 22:47:39「足が生えた教室なんて、ぼ、僕が見たいぐらいだっつーの」 「視聴覚室じゃないよ~。逃げちゃうのは、視聴覚室にいるみゅうちゃんだよ~」 それなら最初からそう言って。
2014-07-28 22:48:17でも確かにりょーたすの言う通り、みゅうポムが視聴覚室にいるとは限らないんだよな。こうしている間に帰っちゃうかもしれないし。 というわけで僕はよろよろと立ち上がると、りょーたすと一緒に校舎内へと戻ることにした。
2014-07-28 22:48:54視聴覚室は、この中央館の四階。屋上から階段を降りてすぐだ。 「それにしてもさー、まさかみゅうポムが同じ学校の生徒だったなんて、盲点だったよ。りょーたすはよく気付いたね」 「えっへん☆ りょーたすはこう見えても、細かいところまで鼻が届く子なのです」 「……?」
2014-07-28 22:49:44「ぽや? 鼻が? 鼻が……んー、むぅー」 りょーたすは自身の小振りな鼻の頭をポリポリと指で引っ掻きながらしばし考え込み、やがてパッと表情を輝かせた。 「利く! 鼻が利くの!」 「あ、それな! ま、とにかくお手柄だったよ」
2014-07-28 22:50:28あの後、実際に調べてみたら、なんとうちの高校には『占い研究部』っていういかにもな部があることが判明したんだ。その活動場所が、中央館の視聴覚室だったってわけ。 そこから『みゅうのニっコニコ生占い☆』が放送されている可能性が高い。
2014-07-28 22:51:01それを確かめるための突撃調査であり。 運がよければ、あのみゅうポムと会えるかもしれないんだ。 「うわ、なんか胸がドキドキしてきた! ドキムネ! ドキがムネムネ!」 階段を降りながら、何度か深呼吸する。
2014-07-28 22:51:55そんな僕を待とうとせず、りょーたすは先に階段を降りきり、廊下を曲がっていってしまった。僕も後に続いて廊下に出て――そこで「ゲッ」と思わず声を上げてしまった。 視聴覚室の前に、十人ほどの生徒たちが集まっていた。
2014-07-28 22:53:40しかも高校の生徒だけじゃなく、中学のガキまで何人かいる。うちの学校は中学と高校は同じ校舎を使っているから、ここに中学生がいても不自然じゃないんだけど。 男が五人、女が六人。 全員が知り合いって感じでもなさそう。
2014-07-28 22:54:14四つのグループに分かれているようで、中学生女子三人組、高校生男子二人組、高校生男子三人組、高校生女子三人組。全員が全員、少し声を潜めながら視聴覚室の中の様子を控えめに窺っていた。
2014-07-28 22:54:46いったいなんの集まりだろう。 占い研究部の部員の皆さんかな? でも、だったら中に入らないのはなんで? それとも、みゅうポムに占ってもらいたい連中が並んでたりする?
2014-07-28 22:55:26視聴覚室のドアは閉まっている。もう放送が始まっているんだとしたら、完璧に出遅れちゃったわけだけど。 「あ、いたー。かわいいー☆ こら! ガモの助侍ぃ、いたよ~☆」 と、僕を差し置いてりょーたすが視聴覚室のドアに張り付き、そんなはしゃいだ声を上げた。
2014-07-28 22:56:19ぐぬぬ、ズルいぞりょーたす。抜け駆けするなんて! そして僕は侍ではないってば。 他の生徒たちの目を気にしつつも、僕はりょーたすにならって、ドアの窓越しに視聴覚室の中をのぞき込んだ。
2014-07-28 22:56:57「ぬぉぉぉーーー! あれはまさしく僕らのアイドル、相川みゅう!」 てっきり本番中かと思ったけど、そうじゃなかった。
2014-07-28 22:57:23視聴覚室のカーテンは開け放たれたままだ。中では、四人の女子が机を囲んでミーティングのようなものを行っていた。机の上にはスナック菓子が開けられているし、四人のうち三人は表情も和やか。いかにも女子高生の雑談っていう感じ。
2014-07-28 22:58:03ただ……その中の一人だけが、浮かない顔をして手元のカードに視線を落としている。 それが、相川みゅうだった。 『みゅうのニっコニコ生占い☆』では前回、前々回と彼女は相談者から泣かされている。そのせいで元気がないのかもしれない。
2014-07-28 22:58:47少し心配だったけど、そんなことよりも―― 「りょーたす! ホントにいた! すげえ! 本物!」 「何万人っていう人が、ここから放送されてるみゅうちゃんを見てるんだね」 相川みゅうは、僕と同じ学校の生徒だったってことでFA。
2014-07-28 22:59:39本名はなんて言うんだろう? 何年生なんだろう? っていうか、どうして僕はこの学校に入学してから約二年、こんなにほどよい美少女の存在に気付かなかったのか!
2014-07-28 23:00:05……しょうがないか。僕ってクラスメイトの名前すら覚えてない有様だし。ニート神だし。きっと学校ではすでに噂になっていたんだろうな。自分の情弱っぷりが情けないよ。
2014-07-28 23:00:33みゅうポムは、ドア越しにのぞき込んでいる僕に気付く様子はまったくなくて、他の女子に心配そうに話しかけられていた。それに対して、さっきまでの浮かない顔を引っ込め、取り繕うように笑顔で応えている。 うむ。なんていい子なんだ。他の部員に心配をかけまいと、気丈に振る舞ってるんだ。
2014-07-28 23:01:20それはともかく、『みゅうのニっコニコ生占い☆』は今日も放送するのかな? 何日周期で放送するかの法則性は特にないみたいだけど、時間帯は決まって午後六時頃から一時間弱に限定されていた。今思えば、その時間になると学校が閉まっちゃうからなんだろう。
2014-07-28 23:02:19ただ、そうすると僕がみゅうポムに話しかけるためには、七時過ぎまでここで待ってなくちゃいけなくなる。 相川みゅうが同じ学校の生徒ってことは確認できたから、とりあえずの目的は達したわけだけど。
2014-07-28 23:02:53