ギガベース日誌 7月30日更新分

7月30日から31日にかけてのナカノレポートのまとめになります。
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すふん @suhn_Apotemno

イレギュラー量産計画についての調査書 フレッド・ナカノ #ギガベース日誌

2014-07-30 22:15:03
すふん @suhn_Apotemno

企業における軍事力は、そのコントロールを第一の要件とし、代替不能な個人にこれを委ねることは厳に慎まれるべきである。リンクス戦争以降、それは企業の共通認識であり、その結果として生まれたのが、巨大兵器『アームズフォート』であった。 #ギガベース日誌

2014-07-30 22:17:22
すふん @suhn_Apotemno

代替可能な多数の凡人によって制御され、ハードウェアとして安定した戦力を約束する。 アームズフォートは、正に企業の望むソリューションであり、事実としても、その戦力は平均的なネクストを遥かに凌いでいた。 #ギガベース日誌

2014-07-30 22:18:14
すふん @suhn_Apotemno

物量とパワーの戦争。 大多数のネクストにとって、ジャイアント・キリングはその名の通り奇跡の親戚に過ぎなかった。 『大多数』のネクストにとっては。 #ギガベース日誌

2014-07-30 22:19:04
すふん @suhn_Apotemno

アナトリアの傭兵。ジョシュア・オブライエン。アマジーグ。 彼等のような『例外』が再び現れた時、アームズフォートはその抑止力としてあれるのか、企業連は恐れていた。 そして見出された2つ目の答えが、『イレギュラー量産計画』である。 #ギガベース日誌

2014-07-30 22:32:19
すふん @suhn_Apotemno

秩序を破壊する、異分子の力。 彼等に対抗する為、アスピナ、オーメルを中心に立案されたこの計画は、彼等のような『イレギュラー』に匹敵する天才を人工的に生みだし、管理可能な形で量産するという極めて挑戦的な計画である。 #ギガベース日誌

2014-07-30 22:37:16
すふん @suhn_Apotemno

この計画は、とある科学者によって提唱された、先天的に優れた戦闘適性を持つ人間『ドミナント』の存在を前提とし、その人工的な再現と安定的な量産、そして完全なコントロールの実現を目的とするもので、複数のアプローチによる研究が行われた。 #ギガベース日誌

2014-07-30 22:39:45
すふん @suhn_Apotemno

1. デザインド(Designed) 被験者はいわば一種の強化人間であり、その手法は工学的なものと、生理・薬学的なもののハイブリッドをベースとした。 #ギガベース日誌

2014-07-30 22:41:22
すふん @suhn_Apotemno

最終形態としては、情報工学の手法を大胆に取り入れることで、 肉体のほぼ全てを機械化し、脳組織の大半をもコンピュータに置き換える事に成功。現カラードランク5『CUBE』が、この手法の被験者と考えられている。 #ギガベース日誌

2014-07-30 22:43:43
すふん @suhn_Apotemno

最も伝統的な手法ともいえる方法であるため、程度の軽重はあれど、一定数以上の実戦投入例が記録されている。 その中には、一種の特殊部隊としてデザインドのみで構成されたAC部隊も存在し、各地で神出鬼没に戦闘を繰り返すAC部隊『ゾディアック』との関係が疑われている。 #ギガベース日誌

2014-07-30 22:45:30
すふん @suhn_Apotemno

2. カルティベイター(Cultivater) クローニングによる才能の再現を主とする手法で、過去に名をなしたパイロットのクローンを生み出し、育成の過程において「特化した教育」(実質は洗脳)を行うことで、管理できる才能を育成を目指すものである。 #ギガベース日誌

2014-07-30 22:46:19
すふん @suhn_Apotemno

この手法はある程度の成果を収めたが、クローニング技術の不安定さ(主にクローンの反復による再現性の低下)による量産性の低さと、根本課題であるクローン個体の管理リスクの不徹底さが問題視され、頓挫した。 #ギガベース日誌

2014-07-30 22:47:14
すふん @suhn_Apotemno

2つの計画が頓挫した後、オーメルの上層部やアスピナの技術者達はこの計画の実現性に疑問を抱き始めていた。 それは、彼らの所業が、いわば神の領域を侵すものではないのかという、畏れによるものだったのかもしれない。 #ギガベース日誌

2014-07-30 22:49:16
すふん @suhn_Apotemno

だが、当時の彼等に、まだそのような殊勝な心が残っていたのかどうかは、疑わしい限りである。 何故ならば、彼らが実施していたと思われる、第3、第4の計画の記録が残されているからである。 #ギガベース日誌

2014-07-30 22:50:42
すふん @suhn_Apotemno

3. ファンタズマ・ビーイング(Phantasma Being) 前述の2つのプロジェクトの失敗を踏まえ、両者の手法を組み合わせて立案された。 クローニングによって生み出されたもののうち、理想に近い試験体の意識、思考を完全に電子化するという計画である。  #ギガベース日誌

2014-07-30 22:52:23
すふん @suhn_Apotemno

電子化処置により、外部からの観察と修正を容易にすると共に、安定した複製の生産の実現を理論の完成に置いたこの計画は、いわば自我を完全にプログラムへと置き換えることを目指した、極めて意欲的な計画である。 #ギガベース日誌

2014-07-30 22:54:04
すふん @suhn_Apotemno

この挑戦は、プロジェクトの大本命と見做される一方で、その実現は困難を極めた。被験者の意識及び人格をほぼロボット同然な状態にまで調整し個性を消滅させてしまうと、著しい戦闘性能の低下が見られるなど、多数の問題も生じていた。 #ギガベース日誌

2014-07-30 22:58:00
すふん @suhn_Apotemno

幾多の障害と失敗の果てに、この計画は実現にこぎつけ、幾つかのテストモデルが実戦に投入された事が確認されている。それと同時に、致命的な失敗及び最悪の『イレギュラー』を誕生させてしまった事も。 #ギガベース日誌

2014-07-30 23:04:39
すふん @suhn_Apotemno

コロニー・アスピナ所属、リンクス戦争における英雄であった、ジョシュア・オブライエン。その理想試験体であった3978番クローン個体は研究施設を脱走し、リンクス『DfJ』としてカラードに参入。後に10億人もの人命を奪った『人類種の天敵』『黒い鳥達』の1人となった。 #ギガベース日誌

2014-07-30 23:42:04
すふん @suhn_Apotemno

これだけの犠牲を払い、アスピナ機関が壊滅しても、この計画が中止される事は無かった。 アスピナ崩壊によって流出した多数の技術や情報、生体データは、全企業、あらゆる組織がファンタズマ・ビーイングの生産を行う事を可能にしたのである。 #ギガベース日誌

2014-07-30 23:48:19
すふん @suhn_Apotemno

4. クリエイト(create) この計画が他の3つのプロジェクトと最も異なる点は、ドミナントの存在を下地としたデザインド、カルティベイター、ファンタズマビーイングとは違い、無からイレギュラーに対抗し得る人工知能、才能を生み出そうとした事にある。 #ギガベース日誌

2014-07-31 00:05:39
すふん @suhn_Apotemno

前身となる計画自体は国家解体戦争以前から各企業が挙って研究しており、クリエイトという名もその時代から引き継がれたものである。 膨大な数の完成体が実戦投入されたとの情報が残っているが、どういった形で完成を迎えたのか等の詳細については一切の記録が抹消されている。 #ギガベース日誌

2014-07-31 00:07:07
すふん @suhn_Apotemno

4つの計画の調査を終え、私は一つの仮説を記しこの調査書を締めくくりたいと思う。 黒いギガベースの提督、彼のようなイレギュラーに対抗し得る存在がいるとして、支配者達は次にその存在を管理もしくは抹消しようとするだろう。 #ギガベース日誌

2014-07-31 00:17:57
すふん @suhn_Apotemno

勿論、そんな事をできる訳がない。怪物を倒したものは、既に怪物以上の何かであるのだ。 人が人である限り、戦いは生まれる。そしてそれは果てしなくエスカレートし、続いていく。ならばその果てには、破滅しかないのか。  #ギガベース日誌

2014-07-31 00:20:24
すふん @suhn_Apotemno

私はこう考える。 この負の連鎖を断ち切る事ができるのは、彼等と同じ異分子の力を持ちながら、破滅へと流されず抗う事ができる者だけではないのかと。 #ギガベース日誌

2014-07-31 00:25:39