ギガベース日誌　ACT06「SEA OF BLOOD」 01

すふん @suhn_Apotemno

「はい！榛名は大丈夫です！」 なんという事だろうか。あれほどの重度コジマ中毒を克服し、武器一体型特殊腕部追加装甲を装備した榛名の姿がそこにはあった。 今の榛名は文句のつけようもなく大丈夫である。 #ギガベース日誌

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「いいじゃないか」 「コジマのせいで髪が少し脱色してしまいましたが問題はありません。財団から提供されたレーザーキャノン一体型特殊腕部追加装甲により高速移動中の高火力攻撃を実現。アルゼブラ製フレアとアスピナ製チェインガンにより対空能力の大幅な向上に成功しました」 #ギガベース日誌

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「榛名、ちょっとそれ変形させてみてくれ」 「了解です！」 榛名の手に装備されたコジマキャノンがハンガーに格納され、上半身と腕部を覆う装甲が変形。武器のギミック部分そのものが大口径レーザーキャノンとなり、榛名の右肩から巨大な砲身がせりだした。 #ギガベース日誌

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「っべーこれやっべー！！」 こんなもの見せられたらもうたまらないのである。股間のコジマキャノンが現役だったら間違いなくいきり立っていただろう。 「戻します！」 「っひゃーすげーっ！！」 #ギガベース日誌

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「提督、私なんとお礼を言えばいいのか……」 「礼なら技術長に言え。俺はお前をより有用な兵器にしただけだ。それよりも、皆に見せびらかしてきたらどうだ」 「……はい！」 天使のような笑顔を見せ、榛名は工廠を飛び出した。間違いなく大丈夫だ。　#ギガベース日誌

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にしても、財団が作る兵器はまるで芸術品である。 天龍の武器腕ブレードといい、どうやったらあんなギミックでガシガシ動く兵器を思いつくのか。 それをぶっつけ本番で榛名にくっつける妖精もどうかしているが。　#ギガベース日誌

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「んで、技術長……ちょっといいか」 「ええ、何でしょう」 「妖精に個体ごとの名前ってあるのか？あるんならお前を名前で呼ぼうと思うんだが」 技術長は表情一つ変えずに唸った。 「う～ん……あるにはあるんですが、技術長でいいですよ。今まで通り」　#ギガベース日誌

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「教えろ」 「……ならば、大宮とお呼びください」 「そうか。で、大宮技術長。龍鳳の具合はどうだ」 大宮は再び唸った。 「まだ折れんのか」 「相当頑固ですね、あれ。薬物での制御はかなり厳しいかと」　#ギガベース日誌

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参った。せっかくあれだけの大騒ぎと被害を出しておきながら捕獲したというのに、コントロールできなければ意味が無い。 「俺本人が痛めつけて言う事聞かせてもいいんだけどなあ……女殴る趣味とか無いしリリウムの時みたいに殺しちゃうかもしれないしなあ……」　#ギガベース日誌

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「今さらっと恐ろしいこと言いませんでしたか」 「気のせいじゃないか？まあいい……ちょっと直接会ってみようか」 龍鳳が閉じ込められている部屋に入る。そこには、両手両足を毒性合金で拘束され、無残な姿で横たわる軽空母の姿があった。　#ギガベース日誌

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「よう、元気か？おなか減ってない？AMIDA饅頭食う？」 まずはフレンドリーに接する。俺はホワイト提督なのだ。ホワイトグリントにも乗ったし俺がホワイト提督じゃなかったら誰がホワイト提督なのか。 「……なめないで」　#ギガベース日誌

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龍鳳は俺を睨みつけ、血の混じった唾を吐きかけてきた。 「よくないなあそういうの」 「おぶっ……おえっ、ごぼおっ」 なめた真似をしやがったので腹を蹴り飛ばす。 「あーちょっと！駄目ですよ提督！今腹蹴ったら！」　#ギガベース日誌

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大宮が急に叫んだと思うと、龍鳳が顔を歪めて苦しみだした。 「あ？」 「うぼおっ、おごえっ、がっ、あがあっ、あっ！がああっ！！あああああああっっっ！！！！」 龍鳳の腹が裂け、中からレーザーブレードを握りしめた妖精が現れた。 「何事だぜ。死ぬかと思ったんだぜ」　#ギガベース日誌

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「おや、提督。ごきげんようなのだぜ」 「総員集合！！オペレーション・イッスンボウシが失敗したぞーーー！！」 どうやら体内からこいつを痛めつける作戦中だったらしい。悪いことをした。 「ようやるわ」 「カミカゼの系譜なんだぜ」　#ギガベース日誌

すふん @suhn_Apotemno

妖精の正体はわかっていないがやはりあの戦争で散った英霊あたりが妥当な説なのだろうか。 「にしても折れねえなあ。薬もあんまし効いていないようだし」 「どっかにいませんかね……艦娘を洗脳するプロとか……あ」 いた。それも、このギガベースの中に。　#ギガベース日誌

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「んで、俺に頼んだと」 「艦娘を痛めつけたりする事に関してはプロだろう。お前の異常性癖が世の為人の為に役立つ時が来たのだ」 「世の為なのかわかったもんじゃないがね、いいさ、やってやる」 バリーは快く承諾してくれた。流石我が友人。　#ギガベース日誌

すふん @suhn_Apotemno

トーラス本社前軍港。 到着するや否や艦娘共は蜘蛛の子を散らすようにギガベースから飛び出し、トーラス本社領域内の施設へと駆け込んでいく。 「加賀、お前もか」 「新発売のVIキットを何としても手に入れなければならないので」 #ギガベース日誌

すふん @suhn_Apotemno

「へぇ。今度は何が出たんだ？」 「シルバーバレットとパラメットとビッグバレルです」 耳を疑った。金に余裕がある企業はこういう真似ができるのか。 「全部買うの？」 「もちろん」 #ギガベース日誌

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加賀の部屋には全塗装はおろかウェザリングやリアルコジマ塗装まで済んだVIシリーズが立ち並んでいる。 「お前以外に買う奴いるのか？」 「トーラスの艦娘部隊とかがよく買ってますね」 物好きもいるものだなあ。 #ギガベース日誌

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売り場へ急ごうと敷地内でオーバードブーストを吹かしやがった加賀を、見慣れない警備ロボットが取り囲んだ。 「おい銀翁、あれはなんだ」 「あれか。日本の製薬会社が作った警備ロボットとか聞いたな。テスト運用を目的にうちにおいてるんだが……あっ」　#ギガベース日誌

すふん @suhn_Apotemno

加賀は容赦無くコジマブレードを振るい、4脚警備ロボをスクラップへと変えた。 「よっわ」 「だな」 それにしてもなんで製薬会社如きが警備ロボットなんざ開発したんだろうか。慣れない事をするからああなるのだ。　#ギガベース日誌

すふん @suhn_Apotemno

「そういえば、聞いてくれよ。うちの利根が平戸島でヴァンツァーに真っ二つにされた」 「お前の艦娘が、ヴァンツァー如きに？死んだのか？」 「生きてるよ。ジェネレーターは無傷だったからな」 銀翁と雑談を交わしながら本社中枢へ向かう。　#ギガベース日誌

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「北上と瑞鳳と大鳳もボロ雑巾みたいになって加古と摩耶はレイプされて帰ってきた。深雪も死んだし、戦力増強せにゃならんな」 「あの深雪が？」 銀翁が驚くのも無理はない。海軍解体戦争、キサラギ研究所奪還、マザーウィル撃破作戦を乗り越えたあいつが死んだのだ。 #ギガベース日誌

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「正直俺も主任も何かの間違いかと思ったがね。嘆いても仕方ない。今どうにかして代わりになる戦力をかき集めてる」 「何ならトーラスからいくらか出すぞ。勿論条件付きだがな」 「条件？」 #ギガベース日誌

すふん @suhn_Apotemno

「なぁに、簡単な話だ。まずはこれを見てくれ」 銀翁から渡された端末に目を通す。どうやら最新のカラードランクのようだが、明らかにおかしい点がいくつかある。 「リリウムもどきめ。いつまで1位に居座る気だ」 「違うそこじゃない」 #ギガベース日誌