アイドル・アンド・ハリセン・ライブ#2

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物とは一切関係ない、「アイドルマスター ミリオンライブ」の二次創作小説。 なお、ありさは、@heads_shihobot とは、一切関係ありません。偶然ツイートを見て纏めています。…ほんとに関係ありません! #1 → http://togetter.com/li/701861
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ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「「イイイイイイイヤアアアアアアアアアア!」」一撃必倒の意思を込め、両者の手が振り下ろされた!カラテ粒子を纏った拳が陽炎めいて大気を歪める!……超常の風が止む。二人は相手の手を凝視する。シホの視線の先にはグー。そして、シズカの視線の先には……パーだ。 15

2014-08-04 22:20:09
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

ドクン。両者の主観時間が鉛めいて鈍化する。アイドルアドレナリン過剰分泌がもたらす異常集中現象だ。ゆっくりと二本の手が動き、それぞれの得物に向かっていく。ここでシズカが内心でほくそ笑む。彼女はジツによるニューロンのブーストを得て、更なる停滞した時間の中を幻視している。 16

2014-08-04 22:25:07
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

シズカは確かに目撃した。目の前で泳ぐように腕を突き出しているシホが、ほんの僅かに出遅れたことを!それは0コンマ1秒にも満たぬ隙かも知れない。だが、アイドルのイクサではその一瞬が命取りだ!ショッギョ・ムッジョ!(しょせん演技派気取りのヴィジュアルタイプ。この私の敵ではない!) 17

2014-08-04 22:30:09
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

ナムサン!このままシホはイポンのチャンスを失ってしまうのか!?この機を逃せばシズカのジツに絡め取られ、じわじわとスタミナを奪われ敗北あるのみ!無慈悲にも鈍化した時間の流れが戻る!シズカの手は既にメットを掴み胸の位置まで…「イヤーッ!」 18

2014-08-04 22:35:07
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

振り下ろされるハリセン。持ち上げられるヘルメット。下がるハリセン。上がるヘルメット。ハリセン。ヘルメット。ハリセン。ヘルメット。ハリセン。ヘルメット。ハリセン。ハリセン。ヘルメット。ハリセン。ハリセン。ハリセン。ヘルメット。ハリセン。ハリセン。ハリセン。ハリセン!パ ァ ン 19

2014-08-04 22:40:09
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

乾いた音が室内に響く。「……エ?」シズカの目が驚きに見開かれた。おお、見よ!振り下ろされたハリセンは、ヘルメットを握り締めた彼女の艶やかな黒髪の上に乗っているではないか!そしてコンマ1秒の間を置いて衝撃が脳を揺らす!「ンアーッ!?」 20

2014-08-04 22:45:07
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

(ありえない!一体何が…!?)シズカはシホの出遅れを目撃したはずだった。しかして現にイポンを取られたのは己の方だ。まるでハリセンが急加速したかのように見えた。パニックに陥るが、ジツの名残か冴えわたるニューロンが答えを浮かび上がらせた。「…ライアールージュ・ジツ」 21

2014-08-04 22:50:07
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「ライバル倒すべし。慈悲はない」厳かに言い放ち、シホはハリセンを下ろした。然り、彼女のジツは己の仕草を一瞬だけ偽る力を持つ。ハリセンはシズカの観るほんの少し先を行っていた。永続的ではないがアイドルのイクサでその隙は致命的となる。実際シズカは勝利を確信し油断した。インガオホー!22

2014-08-04 22:55:07
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「『切り札を最後まで見せるな』。師父の教えです」「誰ですか、師父って…」額の汗を拭いシズカは嘆息したが、自信過剰になって相手の思惑に乗った己のウカツを責めはしなかった。負けたが、全力を尽くした。よいイクサであったという満足感があった。「さ、オカシは貴女の物よ」 23

2014-08-04 23:00:15
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

シホはしばらく思案した後、シズカとミライに言った。「折角だから、オカシは皆で食べない?」「いいの?」「別に、オカシが欲しかった訳じゃないから」「オカシヤッター!」ミライは諸手を上げて喜んだが、シズカは不服気であった。 24

2014-08-04 23:05:08
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「私は」「シズカ=サン。よいイクサでした。ヘンに拘る必要は無いのでは?」自分と同じ様に汗を滲ませたシホに促され、シズカは躊躇った。そこへミライが声を掛ける。「シホ=サン、シズカ=サン、ユウジョウ!だね!」「そうね。ユウジョウ」「……ユウジョウ」 25

2014-08-04 23:10:08
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

シズカも渋々といった様子で頷いた。これぞアース・アフター・レインのコトワザ通りか。三人のアイドルは和やかに微笑み合った。それは夕暮れの河原で殴り合った後のヤンクめいて、実力でぶつかり合った者たちのみ通じるゼンの極致と言えよう。「それじゃあオカシ取って来るね!」 26

2014-08-04 23:15:05
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

ミライが戸棚に駆けていくのを見遣りつつ、シホとシズカは視線を交わした。「次はこんな風には行かないから」「ええ、望むところよ」口数は少ないが、そこには確かなライバルへの尊敬と信頼が込められていた。何かと諍いが絶えない二人だが、互いに良い競争相手だと認め合っているのだ。 27

2014-08-04 23:20:10
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「えへへ~!はい!」ミライが和風の箱を持ってきてタタミに置いた。高級感溢れる装いに期待が募る。「さ、どんなオカシかな~?」涎を垂らさんばかりに満面の笑みを浮かべたミライが勢い良く蓋を開けた。その中にあったのは……タイヤキ。アイドル達が凍りつく。 28

2014-08-04 23:25:04
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「……あ」咄嗟に逃走を試みたミライのアイドル判断力は実際見事であった。しかし、それを阻むようにエントリーする者あり!「イヤーッ!」「ンアーッ!」顔面をアイアンクローめいて鷲掴みにされ宙吊りになるミライ。アンブッシュ者の手は万力のように掴んで離さない! 29

2014-08-04 23:30:09
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「…サヨコ=サン」そのアイドルは、眼鏡の奥の目をマグロめいて暗く濁らせて呟いた。「そのタイヤキ、私のですよね…?」「ち、違うんです!これには訳が合って…!」「アイエエ!決して盗ろうとしたのでは…」シズカとシホは震え上がり言い訳を並べる。「…アバッ」その眼前でミライは瀕死! 30

2014-08-04 23:35:02
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

サヨコは二人の言い訳を聞き流し、眼鏡を外すと丁寧に懐に仕舞い、言った。「…モンド・ムヨ」「「アイエエエエエ!?」」 31

2014-08-04 23:40:06
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

どんよりと澱んだ曇天に悲鳴が響き渡る。だがその程度ことは、このネオサイタマではありふれたチャメシ・インシデントに過ぎないのであった。 32

2014-08-04 23:45:05
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

【アイドル・アンド・ハリセン・ライブ】終わり

2014-08-04 23:47:02