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弁護士中所克博 @K_Nakajo
第二東京弁護士会の会報「二弁フロンティア」7月号・8月号に「医療事件の代理人に求められる弁護水準とは」という特集記事が掲載されている。廣谷章雄判事の基調講演「新『審理運営指針』の趣旨と肺葉」は示唆に富む。通常事件にもそのまま妥当する。読めない方に向けて要点を連投する。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【その1】訴訟提起前の準備を十分に行う必要がある。医療事件では、事実の把握が不十分であるとか、医学的知見の検討が不十分だと困る。極端な例では、カルテすら入手せず提訴する代理人もいる。医療訴訟を提訴するからには、代理人自身も医学文献の精査や協力医との接触が必要である。
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【その2】訴状は、弁護士の提訴前の準備活動の集大成である。準備活動が不十分であれば、必然的に訴状の内容も不十分になる。その結果、読みにくく未整理の訴状になってしまう。提訴前の十分な事前準備が不可欠である。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【その3】医療事件の場合、訴状の中心的な記載は、①注意義務違反、②因果関係、③損害の3点である。それらしい記載はあるものの、実際に主張整理をしてみると注意義務違反の評価根拠事実として十分なものが書かれていないというのでは困る。3点以外の事情を書く際は、意識して書き分ける。
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【その4】簡潔な記載が大事である。目安は10頁くらい(廣谷判事の場合)。読み手の思考順序を意識し、事案の概要を書いて全体を見せて争点になりそうな点を指摘し、医学的知見を示した上で、それを踏まえた注意義務違反の主張を展開すると読み手が理解し易い訴状になる。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【その5】訴状を提出する際は、当然に基本的な医学文献を挙げる必要がある。これがないと、その主張がどの程度の医学的知見に基づくものなのかが分からないからである。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【その6】争点整理では、診療経過一覧表を作成し、診療経過等の事実関係を整理する。その目的は、①裁判所と両当事者とが共通認識を持った上で、事実関係における対立点を明確にすること、②重複やボリュームがあり、逐一原典にあたり辛い電子カルテの下で効率的な争点整理を実現すること等にある。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【その7】前医や後医の診療内容もしっかり把握し、主張しておくことが必要である。これについては、文書送付嘱託を行ってカルテ等を入手したうえ、尋ねたい点があれば書面尋問するというパターンも比較的多い。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【その7】医学的知見として、医学文献、ガイドライン、添付文書などを提出する。その際、証拠説明書の立証趣旨欄をフルに活用しなければもったいない。各文献で立証したいポイントがある筈だから、それを簡潔に立証趣旨欄に記載しておくと非常に有効である。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【その8】協力医の意見書は、事実に即した医学的知見であるから有効度が高いが、提出するか否かは代理人の判断に委ねている。審理運営指針にはなるべく早く出せとあるが、本音を言うと、争点がある程度煮詰まった段階である(準備に要する時間を見越し、早めに提出するか否かを確認しておく)。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【その9】匿名の意見書の扱いについて。形式的証拠力の問題があるうえ、誰が書いた意見書なのか分からないときは、どう評価すれば良いのかも決められない。あえて提出するときは、代理人の報告書に添付するなど工夫して、形式的証拠力に疑義がない形で出すのが無難である。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【その10】医療事件で専門委員を利用するのは、①争点整理が漂流しそうな事案、②専門委員から一定の見解を得て、想起に若いができそうな事案である。これらの事案では、適切な専門委員が専任されれば、非常に有効に医療訴訟の進行が図られると思われる。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【その11】争点整理の最後に主張整理書面を作成する。最近は、裁判所が主体的に主張整理書面を作成することも少なくない。その場合でも、代理人になるべくコミットして欲しい。
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【その12】和解によって解決できる事案の多くは、尋問実施前に和解ができる。和解で解決される事案のうち、約7割は尋問前の和解である。和解ができるときは、争点整理手続中に一定の心証を得、それを踏まえて和解を勧告するという展開がかなり多い。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【その13】近時の医療訴訟の審理はかなり早く、提訴後約1年が目安である。争点整理に充てる期日も概ね5回くらいである。したがって、意見書を提出するのであれば、4回目くらいには提出の必要がある。そうであれば、随分前の準備の着手が不可欠となる。代理人はスピード感を認識する必要がある。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【その14】尋問は裁判所へのプレゼンだと思え。網羅的尋問や枝葉にこだわる尋問をする代理人もいるが、何のための尋問かよく分からない。明確に目的意識を持って尋問をするべきである。何をアピールするために主尋問をするのか、反対尋問をするのかについて、明確な目的を持ったうえで行うべき。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【その15】東京地裁では、原則としてカンファレンス鑑定を実施している。これは、3名の鑑定人が事前に鑑定事項に対する意見をまとめた簡潔な書面を提出した上、口頭弁論期日に口頭で鑑定意見を陳述し、鑑定人質問に答えるという複数鑑定の方式である。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【その16】カンファレンス鑑定は、闇雲には行わない。①集中証拠調べをしてもなお心証を掴めないとき、②一定の心証は形成しているが、事案の性質に照らして念のため鑑定をした方が良いと思われるときに行っている。鑑定になりそうなときは、早期の準備が必要になる。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【その17】医療訴訟における和解率は、現状では概ね50%くらいである。和解で解決が図られる場合は、前述したとおり、その約7割が尋問前に和解解決が図られる。和解ではなく判決になるとき、認容・一部認容の割合は約25%である。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【その18】以上、廣谷判事の基調報告の要点を指摘してみた。同判事は、「現状よりも高いレベルの医療訴訟を実現したい」と述べている。それに対し、「高いレベルを追及することは、証明の程度を不用意に高く要求することになっては本末転倒だ」これが私の意見である。近時、むむむという事案が多い。
弁護士中所克博 @K_Nakajo
【さいご】提訴前の事前準備は極めて重要。準備の出来不出来の如何で、訴訟の勝敗がほぼ決まるといっても過言ではないと思う。①丹念な事実の調査と証拠の収集、②十分な法的分析とクリアーな法律構成、③読み手の思考にフィットした理解し易い訴状の作成、これが事前準備のポイントだと思う。
田舎の元外科医 @inakashoge
最高裁判所HPから。「医事関係訴訟委員会について」。「6. 医事関係訴訟の現状」審理期間や認容率などの各種データあり。 courts.go.jp/saikosai/iinka…

コメント

田舎の元外科医 @inakashoge 2014年8月11日
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