とある人形と修理屋の話。

修理屋の店主レルムは、ある日の人形屋で、とある人形に出会ったのでした。 修理屋【夜想曲】(@Lelm_nocturne) 人形屋トゥルー(@Doll_True) 雑誌記者(@xxxCrudeSpirit
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修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

『やっほー、レルムちゃん。元気してた?』扉を蹴破り継ぎ接ぎの少年が店内に入ってきた。突然の物音に店主が奥からかけてきたのを見て少年がにこやかに挨拶した。

2014-08-11 01:31:15
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

「...何がやっほーだ、キチガイ殺人鬼野郎。何しにきやがった」蹴破られ散乱した扉に立つ男を見て店主はうっとしそうに言った『やだなあー、レルムちゃん。久々の再開なのにい〜歓迎してよね』

2014-08-11 01:33:51
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

「行き成り扉ぶっ壊しといて何様のつもりだ?...暦、何の用だ」『えへへ、そうそう名前で呼んでくれると嬉しいよ。まあ、簡潔に話すと...仕事貰いに来たよ♥』「...」仕事、という言葉に店主の表情が少し引き攣る。

2014-08-11 01:37:17
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

『いやあ〜人殺すにしてもさ合法的かつ懐も潤って...ってこんな都合のいい仕事他にないからさ♥』「...残念だが今、素材には困ってないんでね。扉の弁償代置いて、さっさと帰れよ糞野郎」吐き捨てるように言った

2014-08-11 01:40:33
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

『ええ〜酷いなあ。レルムちゃんが困ってるってきいて来たのにい』「...なんのことだよ」『人形の話だよ、オトモダチになりたいんでしょ?』「...!なんでお前がそれを...」『まあ風の噂だよ。それでさ、俺なら...それを叶えてあげれるよ?』手で狐の形を作りコンコンと動かす

2014-08-11 01:44:09
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

店主が少し反応する『おっ、ちょっと興味もった〜?あのね知り合いに物を付喪神にできる人がいるんだよねえ。普段は依頼受けないけど俺だったら、ひとつだけなら受けてくるらしいんだよ。変なことはしない、ただ少し...犠牲が必要なんだけど』

2014-08-11 01:49:43
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

「犠牲...?」『まあ、あれだよ。子供10人と家畜3匹。たったのこれだけ!子供は死んでてもいいらしいから、俺は人殺しができて報酬をレルムちゃんから貰う。レルムちゃんは人形とオトモダチになれる...悪い話じゃないでしょ♥』少し考え込むようしてに店主の少年は冷や汗を流す。

2014-08-11 01:53:30
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

『...まさか悩んでる?たった子供10人の命ごときに?変なの...別にそいつらが死んだってレルムちゃんには関係ないじゃんか。人なんて腐るほどいるし、それくらい殺したところでどうせ...世界が動くわけじゃない』継ぎ接ぎのある左目の白目が黒く染まり赤い瞳孔がギョロりと少年の方を向く。

2014-08-11 01:59:08
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

「俺は...お前みたいな殺人鬼とは違う」『そう?ざーんねん。じゃあこの話は無しだね』「...ッ!まっ...」『どうしたの?レルムちゃんは自分は清く正しく生きたいから人殺しなんてしないんでしょ?』黒白目の中の瞳孔が赤く不気味に光る「...俺は...」

2014-08-11 02:02:50
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

「...く...だ...」『んっ?』「...幾らだ」『...ふふ、流石♥値段は...これぐらいかなあ』継ぎ接ぎの少年は赤いねっとりとしたインクが入った万年筆を取り出し、くしゃくしゃの紙に値段を書き出した。「...さっさと持ってけ!」店主が棚から札束を取り出し、男へ投げ捨てた

2014-08-11 02:07:54
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

『ひぃーふぅみいー...おっけい!じゃあ交渉せーりつ、また材料が揃ったら迎に来るね。多分、明日の夜には揃うだろうけど』そういって赤く光るナイフを取り出し愛しげに見つめた「でていけ...」『はーい、じゃあまた明日♥』男は手を振って、外へ出ると屋根に飛び乗りそのまま闇へ溶けていった。

2014-08-11 02:12:34
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

『所詮、人の命なんて家畜以下だよ。傲慢で自分が常に正しいと錯覚する...だから逆に、レルムちゃんみたいに、それを自覚してる子は共感が持てるなあ〜♪...さて、と...Let'sショータイム♥』そういうと背中から蜘蛛の足のような何かが飛び出し、裕福な屋敷の子供部屋の屋根を貫いた。

2014-08-11 02:18:46
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

「...情けない...でも...これで......よかった...のかな」少年は壊れた扉を見つめ外から入る冷気に身を包まれながら、罪を犯した罪悪感と人形と友達になれる幸福感に苛まれながら立ち尽くしていた。

2014-08-11 02:21:41

こうして朝が訪れましたが、従業員のカルムは目の前に広がる光景に唖然としました。

修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

「レルム...?...おは...ッ!?」屋根裏の寝室から出てきた大男が目を見開く。目の前には破壊された扉と入口近くに倒れている少年がいた。

2014-08-11 05:44:41
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

「...レルムッ!......寝て...る...」気持ちよさそうに寝息をたてる少年を抱き上げて継ぎ接ぎだらけのソファーに寝かせた。もう一度入口付近へ行くが、やはり扉は壊れたままだった。

2014-08-11 05:46:56
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

「...なに...が...!...こ...れは......」呆然と光景を見つめていた大男が何かに気付く。それは血のような赤いインクでくしゃくしゃの紙に書かれた何かの値段のようだった。

2014-08-11 05:49:08
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

「...なん...の...値段...?...それに...この...インク...血......!?」人よりも鼻が利く獣人の大男は血生臭い匂いに顔をしかめる。争った形跡はないため、恐らく強盗ではないだろう。だとすると何なのか...少年が起きるまで扉の代わりに布をはり応急処置をした。

2014-08-11 05:53:13

大男は少年を問い詰めましたが、何も答えようとはしませんでした。

修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

「...レルム...」「何だよ今朝から、何も知らないってば!扉も直したし、何も取られてないし...どうせ酔っ払いかなにかだろ。俺は作業中に寝ちゃっただけだしさ」「...これ...何...」大男が少年に血で値段が書かれたくしゃくしゃの紙を取り出した。少年の顔が青ざめる。

2014-08-11 14:09:26
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

「...知らない、客か誰かが落としてったんだろ」「…でも…こ…の…『koyomi』…って…誰…?…」紙の隅に書かれたサインを指差す。「…この…店…は…客の…サイン…は…とって…あ…る…だろ…この…名前…無かっ…た…」店のサイン帳をパラパラと捲るがそれらしい名前はない。

2014-08-11 14:17:32
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

「…怒ら…ない…か…ら…」「何でも無いっていってるだろ」「…嘘...」「…あったとしてもカルムには関係ない。これは…俺の問題だ」大男の手から紙をひったくり破り捨てる。そしてそのまま使われていない部屋に鍵をかけ閉じこもった。

2014-08-11 14:22:10
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

「…」目の前には足のない日本人形が簡易ベッドに寝かされている。少年は木箱を作業台代わりに人形をベッドに座らせ足の修理をはじめた。

2014-08-11 14:24:10
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

「…これ何の素材でできてるんだ…?…まさか」部屋の中にある地下室からとってきた『люди;японец』と書いてある箱から何かの皮を取り出し人形の足に合わせるとピッタリと合わさった。

2014-08-11 14:46:41
修理屋【夜想曲】 @Lelm_nocturne

「その、まさかかあ…とんでもないね君」人形に呆れ半分で話しかけるが当然返事はかえってこない。

2014-08-11 14:48:42
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