とある人形と修理屋の話。
- Lelm_nocturne
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『…そっか、ごめんね』青年に微笑む『分かってんなら、さっさと人形とってこいグズ!』『はーい♪』ぴょんっと立ち上がりゆったりと歩いて出掛けていった。
2014-08-11 16:02:46再び修理屋へと足を向けた暦はカルムと面をあわせます。
「…レル…ム…」『はぁ〜い♪ちゃっーす!おむかえにあがりましたぁっ♥…って誰だアンタ。レルムちゃんは〜?』「…ッ!?」まだ直ってない扉の代わりの布を暖簾のように託しあげ少年が入ってくる。そこに立ち尽くしていた大男と鉢合わせした。
2014-08-11 18:58:23「…お前…こ…そ…誰だ…」『俺はァ〜スーパーイケテル殺人鬼さん暦くんだよ♥覚えてね〜』「…殺ッ…!?…何し…に…来た…」警戒するように鋭い眼差しをむける。
2014-08-11 19:02:48『何しに来た…って最初にいったじゃない、迎に来たの。野暮ったいよ〜もう、あっレルムちゃん♥』「…早くないか?」『そんなことないよお、ほら早く行こ?』奥から人形を抱えて出てきた少年に手を差し出す。躊躇せずその手をとった。
2014-08-11 19:06:33「…」呆然と立ち尽くしていたが、少年が『暦』といったのを思い出した。どういう事なのだろうか?でもレルムはあの人形を抱えていた…ということは…!なんとなく整理がつくが何もできなかった鈍感な自分に無性に腹が立った。
2014-08-11 19:11:44「カルム…悪いことしたかな」『カルム?ってさっきの大男クンかな?あんなんほっとけばいいじゃ〜ん、ねえ?レルムちゃん♥』「ほっとけないから心残りなんだよ…お前には理解不能だろうがな」吐き捨てるように言った。
2014-08-11 19:41:01そしてある教会に着いたのでした。
『さぁ〜て…ついたよ?』「…ここか」『いいところでしょ、人寄り付かないから安心なんだよね〜♪』人形ごと少年をおろす。目の前には荒れた庭にクモの巣が張った墓地、その中に佇む寂れた教会が広がっていた。とてもじゃないが…人は寄りつかないだろうという外装だ。
2014-08-11 19:48:24『遅い』『ごめんねえ〜?ほのちゃん、だから足踏まないで…契れちゃう♥』『相変わらずキモイなお前…おう、レルムか』「こんばんは…洸」顔を合わせると青年の表情が少し和らぐ。
2014-08-11 19:54:24『で…それが例の人形か?』「うん」『…借りるぞ。すぐ終わる』青年は人形を借りると教会のステンドグラスの前に置いた。子供の目玉をつまみながら家畜の腹を切り裂き中から赤黒い宝石のようなものを取り出した。
2014-08-11 20:00:21『ほのちゃん食いしん坊さんだなあ〜、もう既に6人しか残ってないじゃない』『五月蝿い気が散る黙れ屑』『はあーい♪』縫合跡のある少年は死体を穢らわしいそうに見つめた。
2014-08-11 20:04:15「…で、どうするの?それ」青年の手の内の宝石を見つめた『これはな…これを人形に飲ませると…付喪神にすることができる。が、所詮は呪物だからな、失敗すれば…持ち主は死ぬ』「...!?...死ぬって...」『それくらいしなければ、こんなことできないってことだ』
2014-08-11 20:15:32「いいよ…」少年が冷や汗を流しながら返事をした『了解だ』青年は躊躇せず人形の口に宝石を入れる。宝石が赤く光ったが、すぐに光は消えた『あっれえ、これだけなの?なんか地味だな〜』青年の肩に手を載せながら縫合跡のある少年がのぞき込む。
2014-08-11 20:20:39『五月蝿い…俺も初めてだから知らねえよ』「…」少年が人形に近づいて頬を撫でると目を見開いた「…暖かい…」『本当!?俺も触りだっ』『黙れ』青年が溝うちに蹴りを入れた。
2014-08-11 20:33:17「…!…え…見える、動ける…話せる?」人形の少年が目を開くと手を動かしたり声を出したりしていた。とても綺麗な透き通った声で、確かに人間のものだ。驚きに少年が声を失った。
2014-08-11 20:37:16「レルム?レルムなのか!レルムが儂を動けるようにしてくれたんじゃな!」キャッキャっと子供のようにレルムと手を取り合ってはしゃいでいる。しかし綺麗な夕焼け色の瞳や白い肌は人形の素材のままだ。
2014-08-11 20:42:04『うーん、俺らの仕事はもう終わりだねッ!』『そうだな…』「あ、ありがとうございました…本当に」「お主らも協力してくれたのか?感謝するぞ!さあ家に帰ろう」少年の手を引いて嬉しそうに出ていった。
2014-08-11 20:47:35帰り道、身体が動くという感動に耽る人形の少年と帰るべき場所へ向かうのでした。
「これが動くということか!足もレルムが直してくれたおかげで歩けるぞ」まだ慣れていないのか動きは危なっかしいが確かに歩いたり跳ねたりしている。
2014-08-11 20:54:22「カルムとは…あの言い争っていた人かのう?目を開いてなかったから見えなかったが」「…どこいったんだろ…というか君、人形の時の記憶があるのかい?」隣で休むことなく動き回る少年をみた。
2014-08-11 21:34:03「あるぞい!というか今も人形じゃしな、ずっと…ずっと待ってたんじゃ。儂を買った軍人さんを…でも、迎えにはこなかった。そこにレルムがきたのじゃ!感謝しておるぞ、レルム!見た目こそ、こんなんじゃが…レルムより年上じゃしな!」一瞬瞳が寂しげな色をしたがすぐに微笑む。
2014-08-11 21:38:05