ドナルド・フェイゲン『ナイトフライ』から聞きとる「相互行為の(再)構成」

Hiromichi HOSOMA氏による一連の書き込みを、備忘録としてまとめました。
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細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

久しぶりにナイトフライをききかえしたら、なぜかポルノグラフィティの「ミュージック・アワー」を思い出してしまった2014年。ドナルド・フェイゲンの声の芝居性に耳がいくようになったせいだろうか。

2014-08-11 22:17:28
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

ようやく手に入れた冨田恵一「ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法」が、無類におもしろい。基準0からあらためて捉え直す、幻想の摩天楼ならぬ幻想の相互行為としてのグルーブ。セッションで起こる相互行為のどこをどうばらばらにしてどう組み立て直すか。知らないことが山ほど書いてある。

2014-08-11 22:24:45
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

ああ、またナイトフライきこう(今度は正坐して)。

2014-08-11 22:25:45
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

冨田恵一「ナイトフライ」を読んだあとにきくと、やたらと解像度があがってる。よき本はとおめがねのごとし。

2014-08-11 22:34:17
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

曲にのって相手との決まり文句のやりとりをこなしながら、ふと曲のグルーブから離れて、そのときそのときの相手へのくすぐりへと逃れていく不敵な口調、マウント・ベルゾーニっていうときのドヤ声が、改めて浮き出すように感じられる読後感。

2014-08-11 22:41:58
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

サウンド・ロゴとコーラス、ということも考えさせられる。ナイトフライのコーラスはまるで点在するサウンド・ロゴのように歌のあちこちで語りを裏打ちする。スウィートといったら「ミュージック」というように。SDのコーラスはすべてサウンド・ロゴなのではないか。マキシンは長大なロゴか。

2014-08-11 22:48:08
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

til the sun comes through という持続は、いまやまるでサウンド・ロゴと語りをにじませていくスカイラインのよう。

2014-08-11 22:49:40
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

1950年代、生の会話を放送で流すことが禁じる法に対してとられた苦肉の策が、いったん電話をテープに録音して、それを何秒か遅らせて放送する方式。これをブロードキャスト・ディレイといったり、セブン・セカンド・ディレイと言った。 en.wikipedia.org/wiki/Broadcast…

2014-08-11 23:49:27
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

生の会話に含まれるヤバいやりとりはディレイの間につまみとられうるのでご承知おきを、という、ビッグブラザー的なシステムを、メロディから逸脱した思わせぶりな「語り」でさっとまくしたてているのだが、ここでスムーズなバックが突然電話のかけ手を抑圧するようにカウントし始めるのだな。

2014-08-11 23:59:01
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

「ナイトフライ」に見られるのは、メロディはオフィシャル、語りはコンフィデンシャル、という対比。そして、ブルースの12小節がもともと掛け合いを産む時空間だったことを考えると、これは掛け合いなきブルース、相手に有無を言わせないDJ、冷酷なウッドブロックのカウント。

2014-08-12 00:19:43
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

DJの幻想としてのリスナー。主題となる番組のタイプはまるで違うけど、なぜかコンシューミング・スピリッツのことも思い出す。ドナルド・フェイゲンきいてクリス・サリヴァンのあの作品を連想する人っているのかな。

2014-08-12 02:57:44
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

「ナイトフライ」の後半にもらされる懐古は、もしかしたらseven second delayの間にエディットされたことばなのかもしれない。そして、フェイゲンの声に遅れて女声コーラスがskylineの到来を告げ、delayのない世界が現れる。そこから別の夜明けへワープするコード。

2014-08-12 12:32:30
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

The confession of Lester the Nightfly sounds like eliminated words from "the seven second delay". Delay disappears when the chorus join in.

2014-08-12 12:41:32
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

ドナルド・フェイゲンの「ナイトフライ」にぴんとくる訳があんまり見当たらないので訳してみた。"a race of men in the tree"は正直これでいけるのか自信がない。 12kai.com/wp/?p=2878

2014-08-13 12:18:19
リンク Fishing on the beach ナイトフライ Nightfly (D. Fagen) こちらレスター・ザ・ナイトフライ どうも「バトン・ルージュ」さん ラジオの音量を下げてくれますか 音声を7秒ほど遅らせて放送しております、ご承知おきを なるほど、けしからん人種のおかげで木が変になりそうだと 法規制すべきだと お電話ありがとう 今夜ずっと、こんなお電話お待ちしてます インデペンデント・ラジオ局 WJAZ ジャズと、あなたとのおしゃべりを...
ひびのけい @hbnk

@kaerusan 「ラリパッパの男たちが走り回ってる」ってことだと思います。「ディレイ」は放送事故防止用の送信遅延でしょうが、何と訳したらいいのか……。

2014-08-13 12:41:13
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

@hbnk あ、そうか。それでようやく納得がいきました>ラリパッパ。それで「法規制すべき」って話になるのだな。ディレイのことは、あまり説明せずとも当時は「セブン・セカンド・ディレイ」でわかったんでしょうね。

2014-08-13 12:43:42
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

最後の三行の「ai」の音の変遷が、ナイトフライのドラマなのだが、日本語に置き換えるのは難しい。一行目は繰り返す「ai」の夜。Tonight the night is mine。それはLate "line"となって一つの夜を貫き、日の光によってsky"line"へと変化する。

2014-08-13 12:30:53