怪談BASARA #kaidan_bsr 第四夏目第三回 まとめ。

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かぎろひ @youkagiroi

「慶次さん、」「鶴ちゃんも一段と別嬪になったね。もしかして恋してる?」「キャ☆聞かないで下さいよー」「全く騒々しいヤツだぜ」「で、慶次さん、家にはいつ行きます?」「うーん、今日は遅いから明日かなぁ」 #kaidan_bsr

2014-08-17 03:51:04
かぎろひ @youkagiroi

そうして俺達は鶴ちゃんと別れて帰宅した。元親はついでだからと一緒にまつ姉ちゃんのご飯を食べて、その後俺と飲み明かした。「東京ってもんはいつもおっかねぇとこだな」「そこまで言うほどでもないよ」「俺もあっちにずっといたら頭がおかしくなるところだったぜ」 #kaidan_bsr

2014-08-17 03:53:21
かぎろひ @youkagiroi

元親……」「でよ、慶次」「何だよ、いきなり」「……鶴の字のヤツ、ねねの姉ちゃんの歳超えちまうな」「そういえばそうだな」「時の流れって酷なもんだぜ」「全くだ」「え、そのねね姉ちゃんだけどよ……お前には言おうか言わまいか迷っていたが今ちょうどいいから話すぜ」#kaidan_bsr

2014-08-17 03:57:19
かぎろひ @youkagiroi

「実は俺、ねねを見たんだよ」「元親……見たって……?」一瞬俺は元親が酔いすぎているのかと思った。「ああ、俺も最初は信じられなかったけどよぉ、見たんだよ。話はちいっと長くなるけど」「うんうん」「あれは俺がこっちに戻ってきた時だったな」「確か一昨年だっけ?」 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:00:39
かぎろひ @youkagiroi

「俺はその時野郎共と夜の見回りをしていたんだ」この町では防犯対策のために二十歳以上の男全員が順番を決めて町中を巡回する。「で、俺は佐之助と隣町の辺りを歩いたんだけどよぉ、ちょいっと気分が昂ってちまってな、あそこに行ったんだ。」「あそこって?」「あの沼だ」 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:05:19
かぎろひ @youkagiroi

「ねねの……」「そうだ、何で行ったかは今でも分かんねぇ。で、だ。そのまま沼の前を通り過ぎようとしたらよぉ、カサカサって音がしたんだ?」「キッ?」「で、音のした方に懐中電灯当てたら、黒い人影みてぇのがいたんだよ」それを聞いて俺チー鱈を取る手が止まった。 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:08:25
かぎろひ @youkagiroi

「え……?」「佐之助がみっともねぇ声上げたもんだからよぉ、そいつもビビっちまって逃げちまったのよ」「そうなんだ」「でも後で気付いたぜ。――あれは間違いなくねねの姉ちゃんだ」そう言う元親の目は真剣だった。「じゃあ、ねねは生きているのか?」「さぁな」 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:10:22
かぎろひ @youkagiroi

俺は寝ても元親の話が頭から離れなかった。当然だ。死んだと思われたねねが生きているかもしれないんだからさ。だけど元親の言うねねが何だか昔のねねじゃない気がしてしょうがないんだ。――そういえば、鶴ちゃんはどうなんだろう?あいつ、鶴ちゃんにも言ったのかなぁ。 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:12:25
かぎろひ @youkagiroi

次の日、俺は鶴ちゃんの家へ行った。そんで真っ先にねねの仏壇にお線香を上げた。「もう五年か」「そうなんですよ」「そういえば鶴ちゃん、お祭りはどうするの?」「もちろん☆」「俺も行くよ」「良かったら一緒に行きません?」「ああ、いいよ」「でも海賊さんはダメですよ」 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:15:51
かぎろひ @youkagiroi

「分かった、分かった^^;」「約束ですよw」「キキッ」そう言って鶴ちゃんは自分の部屋に戻って行った。俺は少ししてからこの家を後にした。「いよいよ明日が祭りか……」「キィ?」「夢吉、そんな顔すんなよ。祭りだぞ?もっとパーッとしようよ」「キキッ」「わかってる」 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:18:54
かぎろひ @youkagiroi

その夜、俺は奇妙な夢を見た。俺は布団の上で寝転んでいると何処からか白い女が現れた。本当に真っ白。黒いのは髪ぐらいだったかな?そいつが俺の上に覆い被さってきてな、何かぶつぶつ言うんだよ。でも声が小さすぎて何て言っているか分からなかった。というかすげぇ冷たい。 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:21:25
かぎろひ @youkagiroi

何とかして顔を見ようと俺は髪を掻き分けた訳。そうしたらさ――、 「……ねね?」 そこで俺は目が覚めたんだ。 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:22:30
かぎろひ @youkagiroi

目が覚めたと同時に何かバタバタと人が走っている音がしたからさ、気になって窓を開けたんだ。そうしたら背の低い女の子――あれは、鶴ちゃんだった。鶴ちゃんが悲しそうな顔で走っていたんだ。どうしたんだろう、鶴ちゃん。俺は気になってしょうがなかった。 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:25:11
かぎろひ @youkagiroi

でも、昼に鶴ちゃんにメールで聞いてみたけど「何のことですか??」って言われちゃった。じゃああれは見間違いだったのかもな。でも何か引っかかったんだよなぁ。でも祭りの時に直接聞き出すのも無粋だからやめておくか。うん、そうしようと思った。 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:27:37
かぎろひ @youkagiroi

俺は夕方浴衣に着替えて鶴ちゃんの家に行った。「お待たせ、鶴ちゃん」「もう、遅いですよ~」「ごめん、ごめん……あれ、その浴衣……」「気付きました?これ、死んだ姉の浴衣です」「だよな」「私のはもう小さくて着れないから母が出してくれたんですよ☆」「似合ってるよ」 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:30:33
かぎろひ @youkagiroi

祭りと言ってもそんなに特別なものじゃない。他のところの祭りと同じように盆踊りもあるし屋台もたくさん建っている。俺と鶴ちゃんはとにかく今を忘れて楽しんでいた。心なしか夢吉が不安そうに見えたのは気のせいだと思っておく。 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:32:24
かぎろひ @youkagiroi

「慶次さん、私ちょっとお手洗いに行ってもよろしいでしょうか?」「うん、いいよ。前で待っててあげるよ」「いえいえ、そんなことしなくていいです。慶次は屋台で食べるなり射的をするなり楽しんでください☆」「でもこんなに人いるんだからさ……って待ってよ!!」 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:34:30
かぎろひ @youkagiroi

そうして鶴ちゃんは足早に何処かに行ってしまった。追いかけようにもこの人混みじゃとてもじゃないけど無理だった。仕方なく俺は夢吉と屋台を気ままに往復していた。途中で元親にも会った。元親は仕事仲間と一緒だった。「はぁ……」「キッキ」夢吉がポンポンと俺の頭を叩く。 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:36:27
かぎろひ @youkagiroi

「大丈夫だよ、大丈夫だって」俺は無理矢理笑った。けれどこの時の俺はどうしようもなく不安だった。あの夜の後だ。鶴ちゃんが気になってしょうがない。そうして歩いているうちに俺は神社の裏にいた。言い忘れていたが祭りは神社の境内でやっている。勿論屋台もその中だ。 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:38:43
かぎろひ @youkagiroi

その神社の裏というのがこれまた寂しい場所だった。俺も数えるほどしか行ったことない。何でここに来てしまったかは分からない。その時、俺は小さな祠を発見した。祠自体は荒れ果て苔が生え放題だったけどちゃんとお供え物があった。「こんなものがあったんだ……」 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:40:47
かぎろひ @youkagiroi

俺は長い間この町で育ってきたけどこれを見るのは初めてだった。祭りのことを忘れてじいっと見ていると後ろから声を掛けられた。「何をしておる?」俺は咄嗟に後ろを振り向いていた。「あ……アンタは……」「ふっ、東京に居すぎて我のことを忘れたか。たわけが」 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:42:42
かぎろひ @youkagiroi

「変わったなぁ」「貴様よりかはましだ」「ひっでぇな、毛利の兄さんは」「それより、そんなにそれが珍しいか?」「ん?ああ、初めて見たからな」「無理もあるまい。これを知るのは限られた者のみだからな」「え?」俺は何か嫌な予感がした。「貴様は羽衣伝説を知ってるか?」 #kaidan_bsr

2014-08-17 04:44:50
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