おれとくめるへん(黒青ルート)

以前つぶやいていた金赤ルートのつづき…でも、ないか…な… まあ要するにおれとくいがいの何ものでもないだろう
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みつごう @imoxmiso

正確には恐怖より快楽の方が勝っていました 汚ぎる君が俺がはじめてだからと言い聞かせるように抱くので鬱ちゃんはしあわせだったのです けれども、どうしたって身体に染み付いてしまった記憶は消せません いれられた時に漏れそうになる悲鳴を鬱ちゃんは必死で噛み殺します

2010-11-17 02:39:28
みつごう @imoxmiso

これは、あんな奴等でなんかないのに ぎる君なのにどうしてこんなにこわいんだと鬱ちゃんは震えます 外で押し倒された瞬間がフラッシュバックして気分が悪くなるのにきもちよくて…、それでもたまらなくひとりぼっちな気がしました ただ目の前の温もりにしがみつくことしかできません

2010-11-17 02:44:54
みつごう @imoxmiso

それから毎晩鬱ちゃんは汚ぎる君に抱かれるわけですが、いつもどこかであの忌まわしい体験がついて回るのです 鬱ちゃんはぎりぎりのところで耐えていましたが、もう限界でした とうとうあの銀の包みに手を伸ばしてしまったのです

2010-11-17 02:49:36
みつごう @imoxmiso

それは以前鉄塔で暮らしていたときに屑に餞別だと渡されたおくすりでした おかあさんと別れてからはただの一度も服用していません 丁寧にたたまれたそれを慎重に剥がしていくと真っ白な粉があります これを飲めば、飲んでしまったらと二通りの考えが頭をよぎりましたが鬱ちゃんは前者を優先しました

2010-11-17 02:56:18
みつごう @imoxmiso

なかばすがるように鬱ちゃんは一気に飲み干しました ああ、まるで毛細血管がぶちぶちと音をたててちぎれていくような感覚です 久しぶりのおくすりの強烈な刺激に鬱ちゃんは恍惚としました ぼんやりと霞む頭のなかで優しく「鬱ちゃん」と呼ぶ声がするのです それは心なしかおすとの声に似ていました

2010-11-17 03:02:55
みつごう @imoxmiso

鬱ちゃんはおかあさんと完璧なる離別を果たし、汚ぎる君と二人で生きるつもりでした しかしその実たまらなくさみしかったのです 鉄塔の中の暮らしは異質ではあれ、ひどく居心地の良いものでした ですから口に含んだおくすりの幻聴であったとしてもおかあさんの声なのだとすがりたかったのでしょう

2010-11-17 03:11:39
みつごう @imoxmiso

おくすりは鬱ちゃんにとっての精神安定剤でした 摂取すればおかあさんが現れて抱きしめてくれるのです それを飲めば嫌な体験だって忘れることができたし何より汚ぎる君の前で取り乱すこともありませんでした

2010-11-18 10:35:31
みつごう @imoxmiso

毎晩汚ぎる君との交わりの際には必ずおくすりを飲み行為に及びました そうするともうきもちよくてたまらないのです 与えられる快感は鬱ちゃんの悲しい記憶に蓋をしてくれました そんな鬱ちゃんのようすを汚ぎる君は素肌で感じていましたが何も言えません

2010-11-18 10:42:32
みつごう @imoxmiso

ぞわり、と破滅へのカウントダウンが始まるのを鬱ちゃんは待っていました おかあさんへの寂しさはおかあさんと同じところまで堕ちないとぬぐえなかったのかもしれません それくらい鬱ちゃんは自分のことがきらいで、そんな自分を無条件で求める汚ぎる君がいとしくてでもとても愚かだと思っていました

2010-11-18 10:50:58
みつごう @imoxmiso

ある日のことです いつものようにおくすりに手をのばそうとすると汚ぎる君に手を掴まれました 「いた…」とつぶやいても離してもらえないので鬱ちゃんはいらいらしてきました 汚ぎる君のことはだいすきでもおくすりの邪魔をするのならば別です

2010-11-18 10:55:41
みつごう @imoxmiso

離して、と言えど汚ぎる君は唇をぎゅうと結び手に力を込めるのです 「鬱ちゃんだめだよ…」と優しくささやかれ胸は一層苦しくなりました でも目の前にはおくすりが、おかあさんに会うための免罪符が転がっているのです 鬱ちゃんが抵抗しようとする前に汚ぎる君は押し倒しました

2010-11-18 11:04:35
みつごう @imoxmiso

「恨んでくれていいから」と汚ぎる君はかすかに微笑んで言うのでした こういう顔をさせたくてここに来たわけではないのに… おくすりが目の前にある以上鬱ちゃんがまともに物事を考えられるわけがないのです 汚ぎる君の愛撫が進むにつれ次第に快楽とは違う種類の喘ぎが漏れました

2010-11-18 11:11:32
みつごう @imoxmiso

おかあさんおかあさんと泣きわめく鬱ちゃんを汚ぎる君はまるで宝石を扱うように丁寧に抱きました 一度として自分の名前を呼ばないかわいそうな鬱ちゃんをただただきもちよくしてやるのが唯一の贖罪だったのです

2010-11-18 11:15:58
みつごう @imoxmiso

どんなに鬱ちゃんを愛してもおかあさんに勝てるわけがないことは分かっていたつもりでしたが汚ぎる君はえぐられた気分でした おかあさんを奪われた鬱ちゃんはおそらく自分のことを恨んでいるはずです 自分さえあの鉄塔に乗り込んだりしなければ鬱ちゃんは少なくとも寂しい思いをすることは無かったと

2010-11-18 11:21:05
みつごう @imoxmiso

. @irocoi69 @entzauberung したがって鬱ちゃんがおくすりに逃げるのをなんとか阻止して均衡を保たないと確実に堕ちるとこまで堕ちてしまうと汚ぎる君は思ったわけです 背中にがりがりと爪立てられてちりちりと汗が滲みるのを苦い気持ちで受け止めて抱き締めるのです

2010-11-18 11:31:01
みつごう @imoxmiso

方向性が定まったので黒青めるへんつづき▽ おくすりが、おかあさんに会うためのおくすりが欲しいと泣きわめく鬱ちゃんは快楽を与えることでようやく静かになりました 疲れはてて眠る鬱ちゃんの寝顔は目は腫れているものの、ひどくおだやかなものです 汚ぎる君は少しほっとしました

2010-11-19 15:04:19
みつごう @imoxmiso

もしこの子におかあさんや、おくすり、生への執着が無くなってしまえば命を手放すことなど容易く想像できました 自分はおかあさんにも鬱ちゃんの一番にもなれないのだと汚ぎる君は噛み締めます それでも、鬱ちゃんとふたりでいられるならばどんなことだってやってやると思っていました

2010-11-19 15:08:06
みつごう @imoxmiso

次の日のことです 鬱ちゃんは大分はやい時間にぱちりと目を覚ましました それはとても珍しいことです いつも汚ぎる君がキスするまで決して自ら起きることなんてありえないのに、その時はまるで最初から定められたことのように目を開けたのです

2010-11-19 15:11:00
みつごう @imoxmiso

鬱ちゃんは意識がはっきりしている内にやらなければいけないことがあったのです このまま汚ぎる君に甘えれば、きっと堕ちていくだけだということは重々承知だったのです 抱き締める汚ぎる君の手をそっと抜け出し、ベッドから外へと這い出しました いま、やらなければもうチャンスはないのです

2010-11-19 15:16:05
みつごう @imoxmiso

鬱ちゃんはそれからきっかり一時間後に帰ってきました ベッドに潜り込むと汚ぎる君に「どこいってたの?」と抱き寄せられました その声音にびくりと震えながら「ちょっとそこまで」と鬱ちゃんは答えます 白々しいのは分かっていましたが上手い返事が思い付きません

2010-11-19 15:20:04
みつごう @imoxmiso

「そう…」と納得する汚ぎる君は鬱ちゃんを背中からぎゅうっとしました 外へ出たせいで冷えた鬱ちゃんの身体を温めるように抱き締めるのです 鬱ちゃんはもう無性に汚ぎる君が愛しくて愛しくてたまりません 振り向き、口づけると「ぎる君…」と吐き出しました

2010-11-19 15:25:06
みつごう @imoxmiso

だいすき、と伝えると虚を突かれたように汚ぎる君は黙ります そしてにっこりと笑って俺も、と言うのです この笑みは鬱ちゃんの一番安心するものでした おかあさんや屑に向けられる歪んだ愛情はひとえに安心させてくれるものでしたが、汚ぎる君ほど心地よい存在なんて知らなかったのです

2010-11-19 15:29:46
みつごう @imoxmiso

全部吐き出してしまいそうになるのをこらえながら鬱ちゃんは汚ぎる君の唇を奪います そうしていないと余計なことまで口走ってしまいそうで怖かったのです 「ぎる君をちょうだい」と鬱ちゃんは言いました 「心配しなくても俺は鬱ちゃんのものだよ」と汚ぎる君は笑います

2010-11-19 15:33:22
みつごう @imoxmiso

@obakamame それからの鬱ちゃんと汚ぎる君の行為は今までで一番こころの通じあったものでした 汚ぎる君の触れる場所すべてが性感帯のように熱く火照るのです それは汚ぎる君も気付いていましたが敢えて何も言いませんでした しあわせな、時間だったのです

2010-11-19 15:39:25
みつごう @imoxmiso

時計の針が午後11時を指したときです 二人はベッドの上で口づけあっていましたが、鬱ちゃんはそっと唇を放して汚ぎる君を見つめます するりと、汚ぎる君の目に巻かれている包帯に手を掛けてほどきはじめました 「鬱ちゃん?」と汚ぎる君は不思議に思います

2010-11-19 15:45:15