効果的な「書くこと」の教え方

英語論文読書メモ。 「書くこと」を教えるいくつかのやり方についての実証研究のメタ分析。量的研究と質的研究を検討し、中高生に書くことを教える際に効果的な方法を探る。 書誌情報: Graham & Perin(2007) 'What we know, what we still need to know: teaching adolescents to write', Scientific studies of reading, 11(4), pp.313-335
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すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

やだ!コピーだけして読んでなかったGraham&Perin(2007)What we know, what we still need to know: teaching adolescents to write 読み始めたらめちゃ面白そうってかなぜ今まで読んでなかった!

2014-08-20 06:58:01
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

中高生対象の作文教授法について、実験的手法の調査のメタ分析に加えて質的研究のメタ統合もしますよ、って、ど真ん中じゃん…(´Д` )

2014-08-20 07:00:27
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

うおーこれレビュー組み立て直しか?いやいやまて落ち着け。

2014-08-20 07:07:03
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

やばい超おもしろいこの論文どうしよう

2014-08-20 07:22:42
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

Graham&Perin(2007)前半読んだ。前半は著者らが同年に発表したWriting Nextというプロジェクトの紹介。実験的または準実験的デザインの研究をメタ分析。様々なライティング指導の方法のエフェクトサイズ(効果量)を調べた。

2014-08-20 07:46:19
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

結果、最も効果が大きかった(0.82)のはstrategy instructionとsummarization instruction。前者は構想、修正、校正など書く時の方略を明示的に教えるもの。後者は情報を正確に伝える方法を教える。方略の中では自己調整モデルが効果大(1.14)

2014-08-20 07:50:06
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

次に効果的だったのはピアと協力して構想、下書き、修正と進めるcollaborative writing(.75)と具体的なproduct goalsの設定(.70)。後者は教員が課題の中で一般的ゴール(例・説得する文章)と具体的ゴール(意見表明とその理由、例、反論と反駁)を設定

2014-08-20 07:53:19
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

続いてまあまあのインパクトがあるのは、ワープロ使用(.55)とsentence-combining instruction(.50)=どうやって複雑な文を作るかの明示的指導。ワープロはスペルチェッカーなどのツールも含む。

2014-08-20 07:55:08
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

平気的な効果量(.32)が出たのは三つあって、書く前の活動、inquiry(調べ活動?)、プロセス・ライティング・アプローチ。最後のは個別の指導というよりはライティングプログラム全体を指す。Graves, Calkins, NWP, whole languageなど。

2014-08-20 07:58:03
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

これらのプログラムに共通する特徴は、書く機会をたくさん与える、実際の読み手に向けて書く、書くプロセスに取り組む、書き手に責任を持たせる、書くことをサポートする環境を作る、自己省察/評価、個別化した支援と指導(カンファランス・ミニレッスン)といったもの。

2014-08-20 08:00:17
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

(最初のストラテジ教授や協働作文なんかもプロセス・アプローチで使われるものだと思うんだけど、分析対象の研究としては別になっているので区別しているのだと思われ)

2014-08-20 08:01:50
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

ここで面白かったのが、先生がNational Writing Projectのトレーニングを受けていると効果量.45、受けていないと0.05で大違い。トレーニングを受けていない先生の場合を見ると、7~12年生ではマイナスの効果(-.05)だが4~6年生だとそこそこ(.27)

2014-08-20 08:04:05
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

ただ因果関係は確立されておらず、NWPの研修内容や何を学んで何を使っているかは不明、という但し書きつき。(でも面白い!先生の方がきちんとやり方を学んでいないでプロセスライティングやろうとすると、特に学年が上がるとうまくいかない、というのは、何かありそうな気がする、直感的に)

2014-08-20 08:05:42
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

残ったの平均的な効果の方法は、良い文章のモデルを示すこと(.25)で、文法の指導はなんとマイナス!(-.32) ちなみに文法学習がマイナスに働くというのはAndrewsら(2006)にも指摘があるそう。

2014-08-20 08:07:37
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

ここまでは「書くことを学ぶ」方法。「学ぶために書く」つまり教科学習に対するライティング学習の効果をはかった研究を見ると、効果量.23で、統計的にも有意。ということで、書くことは教科内容の学習を促進すると言える。

2014-08-20 08:09:10
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

まとめると、効果的な指導法は1)どのようにプロセスを進めて書くかを明示的・システマティックな指導を行うこと。(ただし文法指導は逆効果)2)適切な支援を与えることで足場かけScaffoldingすること。例えばピアサポート、ゴール設定、アクティビティ、モデル提示、ワープロ使用など。

2014-08-20 08:11:16
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

というわけでした。すげー面白い。このあとsingle-subject design studies, the study of exceptional teachers and schoolsへと続きます。こちらの紹介はまた後で。

2014-08-20 08:14:08
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

さっきの続き。まずサンプルの小さい研究に関する調査。対象の生徒は学習障害があるなどstrugglingだけど普通学級に通っている生徒。やはり書くことの教え方の効果をPNDではかり、結果はWriting Nextの調査結果をサポートするもの。(←てきとう!)

2014-08-20 09:27:53
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

次に質的研究のmeta-synthesisこれはちょっと面白かった。良い実践をしていると見られる先生と学校の質的研究(インタビュー等)を5つ選び、そこで書かれているテーマを抽出する。共通して現れているテーマを10個特定。

2014-08-20 09:29:36
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

1)書くことや書くことを教えることに時間を使う。書くことが教科を越えてある(across the curriculum) 2)長い時間をかけて生徒に多様な形式のライティングに取り組ませる。 3)書くことをプロセスとして扱い、構想・下書き・修正・校正を学び、書いたものを共有する。

2014-08-20 09:32:10
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

4)頭を使う課題を与え、つねに取り組んでいる状態にさせる(簡単なタスクで暇にさせない) 5)クラス、グループ、個人などいろいろな規模で教える 6)モデルを見せ、説明し、ガイド付きの支援を与える 7)必要十分なサポートを与えつつ、自己調整的な行動(できるだけ自分でやる)を促す。

2014-08-20 09:34:57
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

8)書くことに対する情熱をもち、生徒が努力し、自分を信じて、成功を学習の成果と思えるような、ポジティブな環境を作る。 9)生徒に高い期待をし、過去の自分を上回るように励ます 10)個々の生徒のニーズに合わせて課題や指導を調整する。

2014-08-20 09:36:58
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

このように質的研究のまとめもWriting Nextの結論(書き方を教える・プロセスを支援する)を指示する結果となった。ただし、これらはすぐれた教員・学校に共通する特徴であるものの、そのやり方が効果的であることが示されたわけではない。

2014-08-20 09:39:15
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

ここまでが「ライティングに関してわかっていること」そしてここから「さらに知らなきゃいけないこと」に入ります。

2014-08-20 09:40:26
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

でもこの論文のデザイン面白いな。質的研究のmeta-synthesisというのは初めて聞いた。実験的/統計的研究と質的研究を相互に補完するものとして組み合わせるのはいい方法だな。

2014-08-20 09:41:29