【邪悪の樹】第一戦闘フェイズ――第三の樹

『智の剣』陣営『愚鈍』(@nowalu) 『理の盃』陣営『無感動』(@Az2_ady
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【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

鏡の中、されど目の前にある扉に触れるとスッとその中に導かれる感覚があった。 導かれた先の景色は真っ暗で、まるでリボンのような道が一本あった。 ずっとその先にまた扉があるのが見える。 「……あの先が、自分の戦う場所―――」 無機質な扉に耳を近づける。何も聞こえない。

2014-08-18 00:35:52
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

ドアノブを握ると、力を入れずともドアが自ら開いた。 と同時に強い風が吹きかけてきて、思わず目を瞑る。 ふと風がやんだような気がして目を開ける。そこには―――… 一面の、青々しい緑。草の波。 空は高く、雲一つない。 あの屋敷では絶対に味わえなかった景色。

2014-08-18 00:36:18
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「―――…これが、外。」 あの手紙に記されていた戦いに勝てば、これが手に入るのか。 もし手紙の主が意図的にこうして「外」というものを味あわせているのならば、なんと計算高いのだろう。 草の匂いを纏った風が、さらりと頬を撫でる。 …記憶なんてもうどうでもいいし、興味がなかった。

2014-08-18 00:36:44
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

彼女は空を仰ぎ、目を瞑る。 この「外」が欲しい。この「昂り」を知りたい。 スッと片手で顔を覆う。 そこには歪に笑う、顔。 心にすっぽりと空いた、この暗闇を、何もない虚無を、 「さぁ私を満たして!!!」 高らかに、彼女は嗤う。

2014-08-18 00:37:10
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

本の洪水の中に、その扉は静かに佇んでいた。 三と書かれたそれの目の前に、『愚鈍』は立つとニヒリと不気味な笑みを浮かべた。 「外、出る」 重く低い声は静謐な空間を少し揺らす。男の存在はこの部屋には異質だった。 自分でも分かっているのだろうか。居心地悪そうに頭を掻くと

2014-08-18 00:56:46
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

背中を丸めながらドアノブを握った。 「今度は、壊れ、ないよね」 鈍い光沢を主張する丸いそれを不安気に覗き込む。どうやら特別性のもので、不思議と自分の力でも壊せる気がしない。 「じゃあ、行こう」 さっきまでの心配はどこへやら。壊してしまうほどの力を込めて、ドアノブを捻った。

2014-08-18 00:56:50
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「お、おお……お?」 ぶわりと、風が舞う。そして、何かに背中を押されたように扉の向こうへと巨躯が転がり込む。 「あ、あで……」 頭を上げて、最初に飛び込んだ光景は綺麗な青い絨毯だった。 白い模様がぽつぽつと浮かぶそれは、屋敷から見ていた空の光景とは様相が明らかに異なっている。

2014-08-18 00:56:56
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「おお…………?」 続けて、足元の感触。何か得体の知れない感触に、慌てて自分が踏んでいるものを見るとそこには若き草の群れ。 そう言えば屋敷にこんな感じの絵があったな、と考えて。 「誰か、いる」 その匂いを嗅ぎ取った。 爽やかな風に乗って、微かに鼻に届く柔らかな香り。

2014-08-18 00:57:00
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「誰か、いーー」 声をあげようとして、『愚鈍』はびくりと跳ね上がった。 誰かの、声。しかも聞いたこともないようなトーン。 恐る恐る、声の方へ歩を進める。 興味半分恐れ半分。ここにきた理由は若干忘れつつある。 「おまえ、だれ」 少し歩くと、人影が映る。勇気を出して、声を掛ける。

2014-08-18 00:57:03
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

声が聴こえた気がして、その方へ向く。 一瞬そこに山があったかと思うほどの、大きな…… 「……異性。」 考えがそのまま声に出る。 そう、これが手紙に記されていた異性、男性。

2014-08-18 04:04:53
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

これが…これが男性というもの… 見たことのない程巨体で醜く、そして少し鈍そうに見える。 こんなので昂りを感じられるのだろうかと彼女は少し不機嫌になる。 …まぁいい、外へいけばもっと良いものがあるだろうから。 そして真っ直ぐ指をさし、先ほどの笑い声とはうって変わって冷たい声を紡ぐ。

2014-08-18 04:06:38
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「あなたの―――…敵。」 似合わない、相応しくない。この”外”は私のモノ。 だから、 「あなたを、殺します。」

2014-08-18 04:06:57
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

敵。 目の前のーー華奢かつ柔らかそうな身体で自分よりも遥かに小さい生き物から発せられた言葉が、頭の中をぐるぐると周る。 「てき、テキ……敵?」 洞窟のような仄暗い瞳で相手を見据え、その言葉をなんども繰り返す。 「敵は、ころ……す」 『愚鈍』の中で、何かがカチリと合わさった。

2014-08-18 12:38:51
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「お、おで……殺す。おまえ!殺す!」 突如呻き出す山のような巨体。大きな足で足元の草を踏み潰しすり潰す。 「お、おおおおおおで、こ、殺す」 それまで猫背だった、『愚鈍』の背がピンと伸ばされる。大きな山は更にそびえ立つようにして、目の前の青い髪へとその身を向ける。

2014-08-18 12:38:55
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「俺、お前、殺す」 目の前の女の腰周りほどはあろう大きさの拳を握ると、頭の高さまで持っていく。 そして、相手の翡翠の瞳を見据えながら。 「死ね」 振り下ろす。

2014-08-18 12:48:21
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

冷たい目で彼女もその山を見据えたまま。 まるで風を受けた羽根のようにふわりと、最小限にその拳をかわす。 ―――この程度か。 分かりきった動き、簡単に読めてしまう行動。 相手の拳が彼女の代わりに地面へと突き刺さる。 その拳の威力は、地面を見れば自ずと分かる。

2014-08-18 18:09:27
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「乱暴ですね。」 …一撃でもくらうわけにはいかない。 かわすことなんて簡単だ。 だが時間が経つにつれリスクは高まっていく。 彼女が自分の右手に手を添えると、そこには先程までなかった中指示指二本の長爪が出現する。

2014-08-18 18:09:47
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「見えなければ、大人しくなりますか?」 地面に突き刺さった拳から、腕へ、駆けのぼる。 そのまま黒い前髪に隠れ見えないその奥の瞳目掛けて、その長爪を突き立てる。

2014-08-18 18:10:04
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「おおぉっ!!!」 小さな風が唸り、顔を向けると異様な光景。 何か、棒のようなものが瞳に迫っている。 「ぐおおおおお!!」 慌てて首を横に傾ける。風を裂く音が耳元を過ぎり、それは首を掠め真紅の水を滴らせる。 「かぁっ!!!!」 地を揺るがすような声を上げると、地面に刺さった腕を

2014-08-18 20:19:02
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

引き抜く。 「おおおおおおおおっ!」 そのまま身体を捻り、腕を華奢な身体へと振り回す。 大木のような腕が圧力となり敵へと迫る。

2014-08-18 20:20:03
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「…っ!!」 迫りくる腕をいなし、なんとか直撃を避け、そのまま相手の拳の威力を利用して背後へ飛び移る。 予想していたよりも、ずっと速い反射。 そしてやはり力が強い。いなすのに使った手がしびれる。 「ふふ、あははは…っ!!」 これだ。 油断すればきっと私は死ぬ。 生きるか死ぬか。

2014-08-19 00:26:52
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「ぐ、ううう」 女が、ぴょんと軽やかに後方へ舞う。 やはりその身のこなしは攻撃を当てるのには難儀しそうだ。 「当てれば、良い」 しかし『愚鈍』には、どうにかしようという策もなければそれらを考えられる頭もない。 「禍罪、発動……」 大きく、何者も飲み込みそうな口から息が漏れる。

2014-08-19 00:58:34
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

それは深く重く、まるで野獣の咆哮のようだ。 「『鈍痛』、俺の能力」 息を吐き終えると、再び女の方へと瞳を向ける。今度は長髪を掻き上げ、素顔を露出させる。 奈落の底のような仄暗い瞳も、ゴツゴツの肌も、普段は隠れている場所だ。 「俺は、痛みに『鈍くなる」

2014-08-19 00:58:41
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

着ていたノースリーブのシャツを破り捨てる。中から現れたのは山盛りの筋肉を纏う上半身。 それを大木のような腕で殴りつける。 地鳴りのような音が響くが、『愚鈍』はぴくりとも動かない。まさに不動の山のように聳えている。 「俺に殴られたら、お前に、鈍い痛みが襲う」 ニイィと笑みを作る。

2014-08-19 01:00:55
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

いかにも、「ここまで教えてやったのだ」という様子だ。 戦いの中で高揚してきたのだろうか。何処と無く嬉しそうに見えなくもない。 「俺は、『愚鈍』。来るなら……来い」 腕を上げ、迎撃の体勢。飛び込んできた相手を掴まえる用意だ。

2014-08-19 01:01:03
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