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宮田節子の「朝鮮民衆と「皇民化」政策」(未来社)読了。 今回はこの本の内容を基に、日中戦争~太平洋戦争期において朝鮮人が大勢軍に志願した事に関して「日本への愛国心から」「白人との戦いである大東亜戦争に共感したから」としているリビジョニストの主張に反論しようと思う。
2014-08-29 17:00:32内務省警保局保安課の「特高月報」には次のような流言が書かれている。 「何方が勝っても我々には関係がない。」(慶南、古物商、昭和13年7月分) 「日本が自民族の為他民族と戦って居るのに、我々植民地民族に何の関係がある。」(無職、昭和12年9月分)
2014-08-29 17:01:09また太平洋戦争勃発後の流言として朝鮮総督府警務局保安課の「高等外事月報」には次のような事例が書かれている。 「日本人は朝鮮を奪ひたる上、 満州を取り又支那を侵略して居りて今次事変を東洋平和の聖戦なりと謂へるは口実にして、
2014-08-29 17:01:42朝鮮における志願兵制度は1938年2月22日の「陸軍特別志願令」の公布によって始まるのだが、このように日本の戦争を支持していない(上記で紹介した以外にもこの手の流言は多数存在する)にも関わらず、なぜそんな大勢の朝鮮人が軍に志願したのか。
2014-08-29 17:02:12第1の理由は朝鮮総督府の官吏による強制が挙げられる。軍への志願者数は「愛国熱のパロメーター」であり、志願兵制度は「萬一にも之が失敗に終る如きを見んか、それは半島将来の由々しき大問題たるのみならず、上は陛下の思召にも悖り、
2014-08-29 17:02:36過去数十年に亘る半島の粒々辛苦の努力をも水泡に帰する。」(梅田要大佐「志願兵制度の現状と将来への展望」)事が出来ないため、官吏達がこぞって朝鮮人に志願を強制していたのだ。
2014-08-29 17:02:51このような公権力による強制は第81回帝国議会で問題となり、政務委員の田中武雄は「色々事実の真相を調べて見たのであります、必ずしも絶対にさう云ふことがなかったとは申し上げ兼ねまするのでありまして、一部遺憾な事例もあるやうであります、
2014-08-29 17:03:05併し将来は左様なことのないやうに、適正に運営して参りたいと斯様に存じて居ります、」と強制の事実を認め、新聞紙上等に志願者数を余り書くことは(官吏の競争意識を煽る事になるので)既に自粛したと発言した。
2014-08-29 17:03:17第2に志願兵とその家族に対しては「軍事扶助法、入営者職業保障法等関係法令ノ励行」(朝鮮総督府時局対策調査会報告事項)を中心とした国からの支援がなされた事がある。また同資料には「傷痍軍人竝ニ軍人遺族ニ対シテハ煙草切手等の売捌等ノ如キ許可認可営業ニ付可成優先的取扱ヲ為スコト。
2014-08-29 23:30:51このため貧困層がこぞって志願兵制度を頼り、更に1939年には大旱害が起こったため、1939年度の12528人から翌年の1940年度には84443人にまで志願者が増加する事となった。
2014-08-29 17:17:43志願者の出身道を見ると全南(1939年度には1536人)や慶道(同年1266人)といった「細農」が多い地域ほど志願者が多い事が確認出来る。(「志願兵制度と将来への展望」「『朝鮮』昭和14年1月号」「昭和14年後半期朝鮮思想運動概観」から)
2014-08-29 17:05:42戦争の長期化に伴うインフレ、土地調査令や産米増殖計画による小作農の増加、1939年の大旱害、世界恐慌…これらが原因で朝鮮の農村は極限状態に置かれ、日本の戦争に賛同しているわけでもないのに志願する事を余儀なくされたのだ。
2014-08-29 17:06:15次に当時の支配者側の朝鮮人に対する認識について紹介する。 「常に朝鮮人の寄って立つべき内地人が朝鮮人よりも二足も三足も先に向上して、朝鮮人を導き、又朝鮮人も内地人に対し感謝の念を持
2014-08-29 17:06:34(朝鮮人に対する徴兵制に施行に対して)「我が人的国力ノ消耗ヲ極力回避」するために「外地民族ノ活用(をする)」(大東亜戦争ニ伴フ我カ人的国力ノ検討)
2014-08-29 17:06:55「吾人は彼等(朝鮮人)に対して、優越感を有して居ることは素より必要であるけれども、夫れは胸裏脳底に収めて、萬事に遅れて居る彼等を誘導誘掖して、早く同水平面に持ち来らしむる方面に使用すべきであり、
2014-08-29 17:07:28当時の支配者側ですら日本人を朝鮮人の上位に位置づけており、また「大東亜戦争ニ伴フ我カ人的国力ノ検討」から陸軍当局が朝鮮人兵士を「弾除け」程度に思っていた事が伺える。自民族を平然と見下している国家に対してどんな愛国心を抱くというのか。
2014-08-29 17:07:54一般の日本人の認識についても「(朝鮮人は)義務の履行よりも権利の獲得に敏感なその特性よりして」(「思想月報」95号15頁)とあり、ほとんど今のネット右翼の認識と大差無い。
2014-08-29 17:08:14最後に内鮮一体を朝鮮人の側から煽った玄永燮の著書「朝鮮人の進むべき道」にある記述を紹介する。 「朝鮮人が完全な日本民族となって、内鮮の区別がなくなる時、この差別はなくなるだろう。」(29頁)
2014-08-29 17:08:44親日派ですら内鮮一体を煽った理由は差別からの脱出だったのである。当時、本気で日本人の戦争・支配に賛同していた朝鮮人はどれほどいたのだろうか。
2014-08-29 17:08:56