井口(@nied_inok)先生の土砂災害の"きっかけ"講座

地滑りを研究されてきた井口先生(@nied_inok)が土砂災害がどのような誘因で起こるのかを過去の事例を交えてTweetしてくださいました。 実例を交えて、専門外の方にもわかりやすく解説してくださっていますのでまとめさせて頂きました。 「土砂災害は風水害の中に入れておけば良いだろうという安易な考え方では~」とのTweetは色々と考えさせられます。
自然 土砂災害
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T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
大部分の日本の国民も官僚も、雨や地震などの明確な誘因によってしか災害は起きないと思いこんでいます。で、災害を分類する際に、そういった原因別に災害を分けて考えようとします。ほとんどの災害はその範疇にはいるので、あまり問題は起きませんが、ごく一部の土砂災害は明確な誘因なしに起きます
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
土砂災害が起きるのは雨や地震のせいだと考えている人が大部分だと思いますが、土砂災害の真の要因は重力です。当たり前過ぎるので、ほとんど意識されていません。雨や地震は斜面をすべらせようとする重力の手助けをしているに過ぎなくて、時と場合では明瞭な誘因がなくても起きる場合があります。
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
そういう、明瞭な誘因なしに起きた災害が、時たま誘因主体の分類から抜け落ちてしまう場合がありますが、気付く人は少ないです。
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
この問題はずーっと以前から気になっていますが、あまり改められていないので、ついもったいぶった書き方になってしまって申し訳ありません。 災害史の年表から抜け落ちている代表的な土砂災害は1985年の地附山地すべり(死者26名)と1996年の豊浜トンネル岩盤崩落(死者20名)です。
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
今あげた代表例の他にも、1980年の富士山吉田大沢の落石災害(死者12名)、1987年の層雲峡岩盤崩落、1989年の越前海岸岩盤崩落など結構あります。
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
例えは悪いかも知れませんが、土砂災害は斜面の物質が重力に耐えて頑張ってきたのが、年とともにだんだん弱ってきて、ちょっと強い雨や地震が来た時に耐えきれなくなって落ちてしまう。それにも耐えてきた斜面が人が老衰で亡くなる様に、ある日ぽっくり逝ってしまうイメージだろうか。
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
土砂災害というのは、崩れる物質が平地より高いところにあるために、起きるわけです。そして一度起きて崩れ去ってしまえば、同じ物質がまた崩れることはない。崩れた跡に残った斜面が次は自分の順番だとそこで踏ん張るわけです。いつまでそこで頑張れるかはやってみないと分かりません。
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
次に崩れるのを待つ斜面は、先に崩れたのと似た物質なので、似たような挙動を示しますが、全く同じではないので、必ずしも再現性があるわけではありません。だから土砂災害の発生予測は難しい面が大きいのです。(書いてきたら話がそれてしまった)とにかく土砂災害は他と異なる要素がたくさんあります
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
話は逸れる一方ですが、先ほど斜面を擬人化しましたが、人間の人生を見ているのに似ていると思える時もあります。元々は山の奥の方に居たのが、やがて自分より上や前面にあった斜面がいなくなり、自分が最前線に担ぎ出され、雨や風に打たれて何とか頑張っても、やがて力尽きて消え去って選手交代に。
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
そういった斜面がどうやって出来てきたかなども考えると、さらに時間のスパンが長い話になる。出来てすぐに崩れる若い地層もあれば、プレートに乗って運ばれて、一旦は地下深くまで引きずり込まれ、そして持ち上げられて、やがては地表に顔を出し数十年か数百年で姿を消す。その最後の瞬間が土砂災害
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
土砂災害に対してあまり理解されていないので、何とか上手く伝えられないかと、まとまっていないが擬人化したりのたとえ話はいろいろ普段から模索している。ほかにも考えていることは沢山あるが、疲れてしまったので、止めます。ごちゃごちゃ書いて申し訳ありませんでした。たくさんRTしてもらい感謝
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
斜面の擬人化と言えば、今日はもう書かないけれど、斜面を患者、地すべり研究者・技術者を医者、斜面を不安定化させる様々な誘因を病気や怪我に例える説明の仕方もあった。これは高知大の先生の受け売りだが、私的には分かりやすい例えだと思う。
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
斜面を本当にちゃんと見ようと思えば、新米の研修医では無理で、長年多くの患者を見てきた名医でないと、ちゃんとした診断は下せないと思う。それにMRIなどの検査機器は医学界ほどは進歩していない。多くの場合まだまだ対症療法にとどまっているという感じだろうか。
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
【お断り】これまでの話はあくまで専門外の方に向けて書きなぐったものです。私は災害・防災という側面からしか斜面を見ていないので、何人かの専門家のフォロワーの方々からは顰蹙もので、赤面の至りですが、つい筆がすべってしまったものと、ご容赦ください。
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
要するに、土砂災害を風水害の中に入れておけばいいだろうという安易な考え方では、地附山地すべりや豊浜トンネルの岩盤崩落のような災害を落としても気がつかない羽目になってしまうので、きっちりと独立して扱うべきですよ、ということが言いたかったわけです。土砂災害の誘因はいっぱいありま~す。
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
土砂災害の誘因に関して大雨地震融雪くらいは誰でも思いつくだろうが、忘れてはならないのが人為的改変。これは結構ある。そのほか火山の熱水変質とか山体地下へのマグマの貫入などの火山活動長雨による地下水の上昇河川による斜面末端の浸食など、斜面を不安定化させるあらゆるものが含まれる
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
土砂災害が発生するには斜面が不安定化すれば良いわけだから、何も一つの誘因だけが原因になるわけではない。柔道ではないが、合わせ技によって斜面が不安定化すれば起きるのだから、人為+融雪だとか雨+地震だとか、マグマの貫入で不安定化したところに弱い地震が加わって発生したこともある。
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
最初にあげた、豊浜トンネルの岩盤崩落にしても、直前の誘因は外からは見えない「凍結融解」だろうといわれている。でも、このあとすぐに第二白糸トンネルでも同様の岩盤崩落が続いて起きている。その調査した知り合いの研究者は崩落の2年半ほど前に起きた奥尻地震で揺すられたことが遠因と考えている
T.INOKUCHI / 井口 隆 @nied_inok
土砂災害の発生をボクシングのノックダウンに例えると、何度もパンチを受けて、ダウン寸前のふらふらになった状態で、最後の何らかの一撃を受けるとついにダウンしてしまう。もちろん本当に強烈な一発を受けてダウンしてしまうこともないわけではないが、私が知る限りは知らない。

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