【第二部-弐拾五】穢れと祓いと五月雨と夕張 #見つめる時雨

第二部、完 夕張,五月雨,由良
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とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…穢れ」 艦娘と深海棲艦について、そして穢れと祓いの関係について、私は五月雨ちゃんに説明した。私は五月雨ちゃんの表情を伺いながら、疑問を残してると感じた部分については繰り返し説明した。五月雨ちゃんは興味深そうに聞き入っていた。でも、どこか察していたような感じもあった。

2014-09-06 23:10:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「それでね、艦娘には、自分が受けた穢れを自己祓いできる力があって…」 …力があって…そう、ある。今からそのやり方を説明しなければならない。でも、私の口は、そこで止まってしまった。 「…夕張さん?どうしました?」 思考が揺れる。何て…何て言おう…。

2014-09-06 23:15:26
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…五月雨ちゃんって、少女漫画とか…読む?」 五月雨ちゃんにどれくらいの知識があるのか。もしかしたら知識としては何となくもってるかもしれない。むしろ、それを期待した。 「…はい?んー…涼風が少年漫画が好きなので、私も一緒にそれを読んでる感じです」 …あてが外れた。

2014-09-06 23:20:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…じゃあ、五月雨ちゃんって、好きなひと…」 あ…この質問は…。 「え…?好きなひと…ですか?」 五月雨ちゃんの表情が、固まった。提督が言っていた。五月雨ちゃんは私がハグしたり、おでこにキスしたから、少しだけだけど祓うことが出来たと。それはつまり…。

2014-09-06 23:25:20
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…そう。好きなひと、いる…?」 …私は、そのまま何も知らない振りをした。それは私達の早とちりの可能性もあった。だから。 「……」 五月雨ちゃんはすぐには答えなかった。そうだよね、唐突だよね、こんな質問。唐突だったから…答えられないだけだよね。

2014-09-06 23:30:25
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…いま…せん」 五月雨ちゃんのその答えに、私は少しの安堵と…罪悪感を感じた。でも、私は話を続ける。 「…誰かを好きになったこと、ある?」 彼女はどうしてそんなことを聞くの?そう言いたげだった。だけど、答えてくれた。 「…あります」

2014-09-06 23:35:20
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…誰かを好きになったことはあるけれど今はいない。その言葉は一体どういう気持ちで言ったのだろう。…私はそのままの意味で受け取ることにした。 「…誰かを好きになった時って…胸が苦しくなったりしなかった…?」 「…そう…ですね。そのひとが近くにいると、とってもドキドキしま…した」

2014-09-06 23:40:20
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私はゆっくりと座椅子から腰を上げ、ベッドに座った。 「…五月雨ちゃん、体起こせる…?」 「…え?…はい」 五月雨ちゃんが、両手で体を支えながら私の方へ体を起こした。私は五月雨ちゃんを支えるように、肩を抱いた。 「あの…夕張さん…?」

2014-09-06 23:45:24
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私はベッドのリモコンに手を伸ばし、ギャッジアップしていたベッドを下げる。そして五月雨ちゃんの背後に移動した。…心臓の音がうるさい。冷静に、冷静に…。そう自分に言い聞かせながら、私は五月雨ちゃんを両手で抱きかかえた。 「え…あの…夕張さん…!?あの…」

2014-09-06 23:50:19
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「…自己祓いの仕方なんだけどね。さっき艦娘が高揚状態にあるときに力は生まれるって言ったでしょ…?でも艤装で攻撃する時とは違って自分を祓う場合は、自分で出して、また身体に吸収させる必要があるの…」 …五月雨ちゃんの背中から、彼女の熱が伝わってきた。…温かい。

2014-09-06 23:55:23
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…私は更に五月雨ちゃんに身を寄せ…密着した。そして、耳元で、囁くように言う。 「…私をね、五月雨ちゃんの好きだったひとだと思って」 「ゆ…夕張さん…」 「…違うの。今は、違うひと。五月雨ちゃんの、好きだったひと…」 「……」

2014-09-07 00:00:55
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…ドキドキしてる?」 「…はい」 「身体…熱い…?」 「…はい…熱いです…」 「…よかった…。きっと、大丈夫。でも…」 …言葉の通り、五月雨ちゃんの身体は熱くなっていた。…でも、これじゃ不十分…なんだよね…?

2014-09-07 00:05:25
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「っ…!?」 私は、五月雨ちゃんの可愛らしい耳に、そっとキスをした。五月雨ちゃんの身体が僅かに跳ねる。 「…五月雨ちゃん、ごめんね…まだ足りないの…。もっと、もっと熱くする必要があるのよ…」 「もっと…?」 「そう…もっと…」 「どうするん…ですか…?」

2014-09-07 00:10:24
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…ここ、自分で触ったこと…ある?」 私は五月雨ちゃんの手に触れ、その場所へ導いた。 「…え!?そ、そんなところ…」 …最初の予想通り、彼女はそれに関しての知識は欠片ももっていなかった。でも、もう勢いに任せることにした。でも、ああ…罪悪感と背徳感ではちきれそう…。

2014-09-07 00:15:28
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「そんな…汚いです…」 「ううん。五月雨ちゃんのココは汚くなんかないよ。これはね、身体を綺麗にする行為なの。ココを触るとね、綺麗になっていくの…」 …私は間違ったことは言っていない。心の中で繰り返す。何度も、何度も。

2014-09-07 00:20:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「いっ…痛…」 「…そこはまだ少し刺激が強すぎるかな…。もう少し下の方…」 「んっ…ぁ…ふ…」 「そう…その線に沿って…ゆっくり…」 「やだ…夕張さん…これ…変です…」

2014-09-07 00:25:20
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…ココを触りながら、好きなひとのことを想って…」 「…ゆ、夕張さん…私…」 「大丈夫…こわくないよ…」 私の腕の中で小刻みに震える五月雨ちゃん…。いつの間にか、私の息も熱くなっている。五月雨ちゃんの口から漏れる切なそうな声が、私の脳を溶かしていく…。

2014-09-07 00:30:29
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「夕張さん…夕張…さん…」 「…最後だけ、少し手伝うね…」 濡れているか確認しなきゃ…。ごめん…触るから…。 「ふぁっ!あ…あぁ…」 しっとりとした感触が、中指に触れる。…よかった。これで、大丈夫…なのよね?

2014-09-07 00:35:20
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「ん…ぁ…」 五月雨ちゃんが辛そうにしている。初めてだから、酷く中途半端な状態になってしまっているのだろう。…私は五月雨ちゃんの耳に甘噛みをした。そして… 「ふぅ…あっ…ゆうばりさ…んっ…すき…」 …五月雨ちゃんの一番敏感なところを、きゅっとつまんだ。 「ひっ…」

2014-09-07 00:40:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…ぐったりとした五月雨ちゃんを抱く。私は彼女の髪をそっと掬うと、さらさらと手から流れていった。…五月雨ちゃんの顔色は火照ったように赤く染まっていた。次に目が覚めたら、今度こそ元気になってるよね。…私は五月雨ちゃんをベッドに寝かせ、静かに部屋を去った――

2014-09-07 00:45:28

―後日

とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…工廠の裏にある木でできたベンチ。これは私が余った木材で何となく作ったもの。作った当時は特に欲しかったわけではなかったけれど、今はさざ波の音を聞きながら静かにいられる私だけの特等席になっていた。この場所は五月雨ちゃんも知らない。…でも、由良には見つかっちゃったことあったっけ。

2014-09-07 21:00:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…五月雨ちゃん…五月雨ちゃん…。私、あのコになんてことを…。あのコを助ける為?そんなの…言い訳にしかならない…。だって私は…あのコの想いに気づいていながら、そうであって欲しくないと願って、でも…それは正しかった。あのコは私の事が好きだった。それなのに…私…。

2014-09-07 21:05:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

胸が締め付けられるように痛い。でも、あのコはもっと痛かったと思う…。ごめんなさい…ごめんなさい…五月雨ちゃん…。私、これからどうすればいいの…?貴女を深く傷つけてしまった私は、どうすれば償えるの…? 「……」 膝を抱えて涙を堪える。でも、それは止めどなく流れていった。

2014-09-07 21:10:20
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…やっぱり、ここにいた」 工廠の裏口の扉が開く音。そして、馴染みのあるこの声。…由良。 「五月雨ちゃんが貴女のこと探してたわよ」 「…ダメ、今はとても会えない…」 …由良は私の隣に座り、小さな溜息をついた。 「…五月雨ちゃんから、話は聞いてる」

2014-09-07 21:15:21