- kj8mousooo
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24 #サマーエイト 俺が高校に上がると、教室が別々になった。 正直、ホッとした。 これ以上一緒にいたら気持ちがバレて、きっと理性も保てなくなる。 そこらへんの女とは違うお前を 1人いじめしたくなる。こんな俺が。 でもやっぱり、さみしいなぁ… 虐められてへんかなぁ…
2014-08-22 21:04:5825 #サマーエイト そんな想いのまま俺は2年になった。 ーーーーそんなとき現れた。 【今日は転校生を紹介しまーす】 こんな島にめずらしなぁ…って教室じゅうがざわつく。 ガラガラっと入ってきたその女によってみんなが固まった。 サラサラの黒髪に細くて長い綺麗な手足…
2014-08-22 21:05:1026 #サマーエイト 大きな瞳には長いまつ毛がついていて。 男子はみんな「わー!」と目を輝かせた。 女子はそんな男子をみて呆れてる。 正直綺麗やと思ったけど、 そんな関わらんやろ思って 俺は窓の外をぼーっと眺める。 あ、中学生… 運動会の練習や… あいつどこやろ…
2014-08-22 21:05:1427 #サマーエイト おった… そこには、リレーの途中でバトンを落としてるお前の姿。 思わず頬杖ついて微笑んでまう。 それでも、負けじと前みて越せもできっこない男子を追いかけてる 今日の帰りは褒めたげよ 『足、早かったな』何て言ったら 「え?見てたの?!」って
2014-08-22 21:05:1828 #サマーエイト 俺のことまたバシバシ叩くねん。 なんて妄想。 いきなり現れた妖精のような女の子が視線を送っていたことにも気づかず 俺は目をそっと閉じたーーーー pic.twitter.com/2w0eWUphWu
2014-08-22 21:05:2229 #サマーエイト 早く迎えに行って、褒めたげよ… あの笑顔が見たくて、今日も 礼してすぐに教室を出る。 でも、〝おい!丸山!今日は祭の踊りの練習だぞぉ!!〟 その先生の一言で俺の高鳴る胸音が一気に下がる。 『はぁーい…』 あいつには連絡を入れといて。 席に戻る。
2014-08-23 01:25:3430 #サマーエイト 高校になったら、毎年神輿を担いだり、音頭を踊ったり中心となって大人たちに混じる。 だから、前のように一緒に並んでかき氷を食べたり金魚すくいしたりもできひん。 だから、あいつの家に行って誤ったねん。 『ごめんなぁ…』 言うて。違ったかな…ごめんねって。
2014-08-23 01:25:4131 #サマーエイト おばさんもおって照れ臭くて 『見とけよ!!』なんて 大きく胸を張ったけど、 ほんまにあの日、俺はお前のために神輿担ぐ勢いやった。 でもな…、 祭の前の日。 眠たい先生の声を横に その日も窓の外から外を見つめる。
2014-08-23 01:25:4732 #サマーエイト また走ってる… わ!!!こけた!! 『痛かったなぁ…』 小さかった俺なら走ってんねやろな。 そんな中、前の人からプリントが回る。 【進路調査】 そんなの眼中になくて、 また妄想が始まる。 転んどったやろ?何て言ったら…
2014-08-23 01:26:0233 #サマーエイト 「また見てたの!!!」 言うて、顔真っ赤にして… バシッと先生からの愛の鞭。 〝おい!!!ちゃーーーんと書くまで返さんからな!〟 『はーい…』 そうやった……将来かぁ… 俺、10年後どうなってんねやろ… そう言ってなんとか埋めた。
2014-08-23 01:26:1434 #サマーエイト 進路のことなんてすっかり忘れて、 今日はあいつの元へきちんと向かう。 何時もの海沿いを通って。 港を歩く。 はよ会いたい… 想いながら歩く先にはーーーー [あ!丸山君だ!!!] 綺麗な紙をなびかせたあの女。 『ど、どうもぉ〜』
2014-08-23 01:26:2235 #サマーエイト みんなのアイドルみたいな そんな人と俺が関わってええんかな… なんて思いながら、軽く会釈をして通り過ぎようとする。 [ね!この島紹介してよ!!!] 『え?』 俺…? 『いや…俺ちょっと…用事…』 [そうだよね…、いきなり過ぎたよね…]
2014-08-23 01:26:3436 #サマーエイト なんか俺…めっちゃ悪いひとやな… 『あ、終わってから…終わってからなら向かうけど…』 そういうと、キラッキラの携帯電話を取り出して 俺のポケットの携帯を出されて 唖然としてる間に [よし!完了! 終わったら…連絡してね?] にこっと笑って戻された
2014-08-23 01:26:4337 #サマーエイト 『ごめん…遅くなった…』 そう言って迎えに行くと、 大勢の友達に囲まれたお前の姿。 その中には男もおって。 年上なのに歯痒くて。 『はよ行こ…』 手を引くと、驚いて、 「隆ちゃん…どうしたの?」 思わずハッとする。 『ごめん…』
2014-08-23 01:27:0038 #サマーエイト 「ふふっ。最近謝ってばっかりだね!」 あかん。見透かされてる。 『それより…それよりさ、 今日…転けてたな!』 ちょっと茶化して言ったのに、 ガチで顔赤くして、 「見てたの…?」 俺の妄想通り。 「でも嬉しい…」 え…
2014-08-23 01:27:1839 #サマーエイト その反応は想定外… ちょっと俯く顔に、思わず顔を近づける。 頬を染める愛しい顔に… そのとき ピリリリリ… 『あ、ごめん!』 鳴ったのは俺の携帯。 表示されたのは知らない女の名前… あ、さっきの… 「隆ちゃんのばか!!!」
2014-08-23 01:27:2840 #サマーエイト やってもうた… 俺の妄想っていつもそう。 100%実現することはない。 背を向け走った背中を追いかけず、 俺はその逆を行く。 『あ?もしもし……わかった…行きます…ーーーーー
2014-08-23 01:27:3741 #サマーエイト 電話の相手の元へ戻る。 さっきの場所から動いてへん… 『ごめん…もう夜になりそうやし…今度にせえへん?』 [え?] 少し残念な顔をして俺を見上げる。 いや…そんな顔されても… 『お母さんとかも心配されてんたゃう…?』 待たせといてひどいかな…
2014-08-23 01:45:5342 #サマーエイト [帰る場所なんかない…] え? 影で表情がよう見えへん… 『じゃぁ、わかった… 少しだけ…隣にいたる。』 同情なんかやない。 ただその先は聞けへんくて。 どうしたらええのかわからんけど… とりあえず彼女と50センチほど距離を開けて座る。
2014-08-23 01:45:5843 #サマーエイト [ありがとう……] 夕日があと少しで沈むってとき、 彼女は自ら口を開いた。 [私…モデルしてたの…でもね。 お母さんの言いなりで…。 楽しかった。撮られてる瞬間は。] オレンジに照らされた黒髪からでた瞳は潤っていて。 [そう、学校は真逆。]
2014-08-23 01:46:0244 #サマーエイト [わたし…虐められたからここに来たのよ…] そう言って吹っ切れるようにこっちを見た笑顔。 でも、目からは涙が流れ落ちて。 俺はただただそれを見るしかない。 [おばさんの家に逃げるようにね…] 俯いて泣きじゃくる腕には、 たくさんの傷が見えた。
2014-08-23 01:46:0945 #サマーエイト 『この島はそんな嫌なもの、ひとつもない。』 [え…?] 俺は無責任なことを彼女に言った。 そんな傷を俺は背負ったこともないのに。 『1人やないで…みんなおる…』 [お願い…助けて…、 わたしのこの汚れ切った心を…]
2014-08-23 01:46:1346 #サマーエイト 50センチの距離はあっという間になくなり、 彼女が泣きじゃくって俺に抱きつく… 俺はその背中を突き放せなくて。 沈む夕日を見た後、 誰にも見られてませんようにと その背中を受け入れてしまったーーーーーーー
2014-08-23 01:46:1947 #サマーエイト 彼女side 隆ちゃんとはあれから顔も合わせてない。 『もう叶えられへん…』 なんて言われても、頼んでもないよ…別に… 少し強がりながらも、1人さみしく歩く帰り道。 今日もまた、 潮と魚の匂いが混じった港町を通る。
2014-08-26 01:32:5448 #サマーエイト 〝おかえり〜〟って いつもならおっちゃんたちが 言ってくれるのに、今日は船の淵に座り込んで深刻な雰囲気。 そんなおっちゃんたちの背中にそっと近づくと… 〝…ほんま隆を縛りたくないんだけどなぁ。願うしかないかもなぁ。〟 隆がどうかしたのかな…
2014-08-26 01:33:06