不知火に落ち度はない その15

yamoto @yamoto

はじめに。 【不知火に落ち度はない】 艦これ二次創作 みたいなネタ帳的タグ #不知火に落ち度はない 感想・考察類は #落ちぬい ファンアート・画像ネタなどは #落ちぬい絵姿 でお願いします。 ってことでどうぞひとつよろしゅーに。

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晴天なれど波高し。 本日の深海棲艦指数は20。 絶好のレジャー日和を迎えている。 このまま任務を投げ、ちょっくら山に行楽に行っても許されるはず。 「司令、何かまた妙なことでも？」 隣のちびっ子ドーベルが睨み上げてきた。 やっべばれた。 #不知火に落ち度はない

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「何も考えてませんよ？ ほら、ナビよろしく」 「次の道は真っ直ぐです。登山路が近くにありますが、真っ直ぐです」 お前エスパーですか。 軍用車は指示された道を真っ直ぐ進む。 今日はこれから別鎮守府にちょっくらご用で外出。 留守番は代打、陽炎である。 #不知火に落ち度はない

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ラジオからのＢＧＭは「浪漫飛行」 このまま空に飛んでいきたいマイハート。 こんな行楽日和に仕事をするのがいかんと思いますよ？ 「所で今日行くところ説明したっけ？」 「司令が朝『やっべ忘れてた！』って言ったのをお忘れですか？」 そうだっけ。 #不知火に落ち度はない

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つまりこのまま素知らぬ顔で、ちょっとキャンプに行ってもばれないわけだ。 「その後行く場所だけの説明をされ、地図を手渡されています」 朝の俺に問う。そこで今日はキャンプ地に向かうと何故言わなかった。 おかげで不知火のナビは一切逸れねえぞ。 #不知火に落ち度はない

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「流石に基地名だけじゃ、わかんねえよな」 これも仕事だ、しかたねえ。 お前に面白鎮守府の一つの形を見せた方が良いだろうしな。 煙草を口にくわえ、気分を入れ替える。 「小耳には航空戦力の増強を図っているとか」 「だいたい合ってるし──ついたらわかる」 #不知火に落ち度はない

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「司令」 何かね。質問かね？ 「不知火がナビの際は、喫煙をご遠慮下さい」 はい。 軍用車は高速道を進む。 目的地まではおおよそ2時間。禁煙パイプを次のＳＡで買うことに決めたのだった。 #不知火に落ち度はない

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ケッコンカッコカリというシステムがある。 ありゃ要するに、艦娘との契約のようなものらしい。 艤装と同じで、艦娘へのリンクを提督と繋ぐと説明にあった。 ただし、一定以上に艤装に「馴染んでいる」ことが条件なのだとか。 あと、欠陥のあるシステムでもある。 #不知火に落ち度はない

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第一に、リンクは常時接続。 四六時中居場所がわかり、思考やらが流れ込んだりするそうである。 思考のプライバシー侵害である。 第二に、名前。 これのおかげで、もんのすげえ風評被害度が増した。 艦娘に手を出しましたって扱いになる。まじひでえ。 #不知火に落ち度はない

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おかげでよっぽどの信頼関係でもなけりゃ、このシステムを使いたがる提督は居ない。 一度使うと、艤装解体まで解除できないらしいしな。 さらに複数ともリンク接続可能という画期的な作りらしい。 下手すりゃ、廃人があっさりできると思うわけだが。 #不知火に落ち度はない

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なお、システム開発者も結構なロマンチストでな。 第一世代艦娘とのちょっとしたロマンスから発想を得たらしい。 あの艦娘が誇らしげに、薬指の指輪を報道の前に見せて言った。 「これがあるから離れた地でも、提督と繋がっていられるのです」 #不知火に落ち度はない

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その報道後の結婚者数は思いっきり伸びたそうだが、それはさておき。 そんなところから着想を得てこのシステムを開発した奴はよっぽどの変態だと思う。 それが日本の開発者だから始末に負えねえ。 変態技術国家日本万歳。 さて、閑話休題── #不知火に落ち度はない

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「相変わらず壮観だな、お前のソレ」 「何度も言ってる通り、必要なものは何でも利用する主義ですので」 応接室。 銀縁眼鏡をかけた、七三分けの男がそう返す。 そいつの左手には、それぞれ一つずつ、計4つの指輪が填っていた。 #不知火に落ち度はない

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こいつが、いわゆるその重婚者。 そして俺達の生き残りの一人であり、同じ提督へと進んだ男。 「ぬいぬいもお元気そうで」 「ご無沙汰しています。ええと──」 「仲間内ではギンブチで通してます。あの時はお話しする機会がありませんでしたね」 #不知火に落ち度はない

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柔らかい口調で言うが、こいつの中身は冷血眼鏡だ。 ぬいぬい、と平然と口に出来るのがその証明である。 「車椅子──お使いだったんですね」 「今日は義足をメンテナンスに出していまして」 こいつの失った部分は、両足。 あと髪の毛の色。真っ白だ。 #不知火に落ち度はない

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「粗茶ですが」 「こいつはどうも」 そして、秘書艦が出してくれた茶を頂く。 こいつの秘書艦は翔鶴。 同じく真っ白な髪の毛がお似合いの二人も見え、その薬指にはしっかり指輪が填っていた。 こいつが最初に「ケッコン」した艦娘である。 正妻ってやつ？ #不知火に落ち度はない

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「それでギンブチ。電話で済む話でもねえから面出したんだが」 「ええ。旧知の貴方に頼みがありまして」 「頼みってのは頭下げるもんじゃね？」 「頭は貴方より階級が上になってから幾らでも下げますよ」 うっわー。相変わらずな奴。 お前の秘書が頭下げてんぞ。 #不知火に落ち度はない

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「単刀直入に言いますと、貴方の所の蒼龍・飛龍をお借りしたい」 「藪から棒だな」 茶うめえ。 「はいそうですか、ってレンタルできるもんでもねえだろ」 「そこを何とか」 なあ、不知火。なんとか言え。 「何故借りたいのでしょうか、ギンブチさん」 #不知火に落ち度はない

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「協力申請なら正式な書類でしかるべき場所へご提出下さい。不知火はそうとしか、言えません」 「正式な書類は後ほど。ただ、『一時移籍』という形を取りたいのです」 おいおい、随分とめんどくさい話になったな。 協力じゃなく、移籍とは。 お前あいつら欲しいの？ #不知火に落ち度はない

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「オススメしねーぞ。どっちもすっげワガママだ」 「現状、こちらの隊には、赤城、加賀、瑞鶴、そして翔鶴が居ます」 ですが、それでは足りないのです。 ギンブチはそう話を続ける。 「この間、大熊猫提督の査察がありまして」 あ、話が見えてきたぞ。 #不知火に落ち度はない

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「不知火の推測ですが。連合艦隊のお話ですか？」 「ご名答。話が早くて助かります」 翔鶴が、少し苦い顔をした。 案外気ぃ弱そうだし、この秘書艦。 龍田の相手はしんどかろう。 「南雲機動部隊の再結成を計画しています」 そうきたか。 #不知火に落ち度はない

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なんか絵図が見えてきたぞ。 龍田の描く計画っつーのはもしかして……あれか？ 「ミッドウェーみてぇだな」 「おそらくはそうなのでしょう。我が隊からは空母機動艦隊を借りたいと言ってましたから」 とんでもねー。あの腹黒ピエロ何考えてやがる。 #不知火に落ち度はない

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「大規模作戦にしてもやりすぎだろ」 「そちらは──第二水雷戦隊を貸せと来ましたか」 はい。正解。 丁度揃ってるからな。 愉快なビーバーから、ちっこいドーベルマンまで。 あと、二水戦の大ボスも。 こないだキモ冷えたばっかだっつの。 #不知火に落ち度はない

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「水雷戦隊を貸せ、と言われたよ。あとメスゴリラ」 「マドンナもですか。それは随分ですね」 不知火の眉がぴくんと跳ね上がった。 いや、そこ反応するところ違うから。 だから無言で変なオーラ出すのおやめくだされ。 #不知火に落ち度はない

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「不知火は覚えてますから」 ぼそり。 俺の視線に気づいた不知火が呟く。 ひえー！ ひえー！！！ 超根に持ってたー！！？ あかん、この空気あかん。 早く、話を進めよう。 #不知火に落ち度はない