∞教習所シリーズ連載∞

2014年9月に連載した教習所シリーズ連載をまとめました。 テーマ曲♪きっと大丈夫/嵐
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∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞1∞ 「……」 就活のため、仕方なく来た教習所。 誰も知らない。土地勘もない。 「…調子乗ったのばっか」 周りは遊びに来てるような奴だらけ。 「さっさと取って帰ろ…」 目の前にある入校の資料に早々と書き込む。 とにかく、 この場から一刻も早く抜け出したい。

2014-09-15 22:07:23
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞2∞ 「えー、今日適性検査が終わったら、早速車に乗ってもらいます」 げ、乗るの… 初日は学科だけかと思ってた…… 手元の資料を見ると しっかり模擬と所内の文字。 「…はぁ」 どうしよう。 不安と緊張で少し胃が痛くなる。 「では、説明を終わります」 本当帰りたい…

2014-09-15 22:12:14
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞3∞ 「じゃあ、乗っていきましょう」 初日の最後。 とうとう本物の車に乗る時が来た。 「はい」 エンジンは無事かけられた。とりあえず発進も出来た。 「ギア、変えてみようか」 「えっ、はい…」 ……ガクン。 「エンストしたね。もう一度エンジンかけて」 「はい…」

2014-09-15 22:14:48
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞4∞ 結局… 「落ち着こうか、慌てるからエンストするんだよ」 「すみません…」 「じゃ、早めに発進しようか。横待ってるから。」 エンストはしまくり、 他の車にも迷惑をかけ… 「不安しかない…」 カサ… 「あ」 教習手帳が手元から落ちる。 『はい、……あ』

2014-09-15 22:19:20
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞5∞ 手帳を拾って渡してきたのは 背の高い、好青年っぽい男の子。 『自分…さっきエンストしてたよな』 そう言って少し笑った。 …なに、こいつ。 「初めてなんで」 『俺、さっき横におった車の。』 あ、さっきの… 「それは、すみませんでした」 とてつもなく恥ずかしい…

2014-09-15 22:21:49
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞6∞ 『女の子やのにMTとか、勇気あるなぁ。なんで?』 「就活、ちょっとでも有利になるかなって」 『そうなんやぁ、ほなお互い頑張ろな?』 そう言って去っていく。 手に持った教材から名前が見えた。 「大倉、忠義…」 ちょっと失礼な人だったな… 好青年っぽいとか思ったけど。

2014-09-15 22:24:40
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞7∞ 翌日。 「昨日、乗ってみてどうでした?」 「かなりエンストしました…」 2回目の本物の車。 「最初は大変だよねー。でもすぐ慣れるよ」 「はい」 実際エンストは1回だけ。 思ったよりも上手く行った。 「ありがとうございました」 車を降りて顔を上げる。 『あ』

2014-09-15 22:27:45
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞8∞ 「あ…」 目線の先にいたのは、 大倉君。 『また一緒やってんなぁ』 「みたいですね」 ドアを閉めて、大倉君が小走りで来た。 『今日は?大丈夫やった?』 「…まぁまぁ」 あんまり絡みたくない。 そんな気持ちが顔を伏せる。 『よかったやん。あ、このあとは?』

2014-09-15 22:30:42
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞9∞ 「自習する」 『ほんま?俺も自習。』 まじか… 『なぁ、一緒に飯食べへん?』 「え…」 断りづらい雰囲気。 どうしよう。 『1人で食べるより誰かと食べた方が美味いで?』 「…うん。」 なんだかんだ、丸め込まれてしまった。 『ほな、弁当取りにいこ。』

2014-09-15 22:34:55
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞10∞ 『はい、これな』 箱に積まれたお弁当を二つ取って、 一つを渡しながら席を探す。 『ここ空いてるやん、座ろ?』 言われるがまま、 大倉君が取ってくれた席に座る。 『いただきますー』 何を話せばいいのか全く思い浮かばない。 目の前のお弁当に目をやった。

2014-09-16 22:05:59
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞11∞ 「あ。」 私が唯一食べられないもの。 『どしたん?』 「…大根……」 『…嫌いなん?』 こく、と頷くと 大倉君が大きな口で笑う。 『大根が?珍しっ!めっちゃ可愛いやん』 「でも、食べられないのはこれだけだから!」 つい、ムキになって弁解する。 『ええよ』

2014-09-16 22:11:58
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞12∞ え…? 『ちょうだい、俺食べたるやん』 そう言って身体がこっちを向く。 「…じ、じゃ…」 箸を使って隣の弁当箱に移そうとすると ぱくっ 「へ?!」 『ん。』 私の箸を咥える大倉君。 「ちょ、っ…//」 『あはは、顔赤っ』 私の顔を見て、尚余裕の笑顔。

2014-09-16 22:16:31
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞13∞ 「だって…今!」 『はよ食べよーや、自習のパソコン取られるで?』 あ…そうだった。 あわてて次のおかずを掴んで口に運ぶ。 『…間接キス。』 聞こえた先を見れば 頬杖をついて笑う大倉君。 「…ガキみたいなこと言わないでよ//」 『あ、また顔赤なったぁー』

2014-09-16 22:23:19
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞14∞ 「うるさいな」 『ええやん、可愛いと思うで?』 終始、大倉君のペース。 『ほら、自習するんやろ!行こや』 正直悔しい。 「誰が一緒にするって言った?」 体制立て直し。 余裕の顔で言ってみる。 「自習って1人でしないと集中出来なくない?」 そう吐き捨てた。

2014-09-16 22:31:05
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞15∞ ………… 『ほら、パソコン1個しかないやろ?』 ちくしょう。 『大人しく一緒に自習しよや』 また大倉君の思惑通り。 「…一緒にいても喋んないからね。」 『はいはい。』 椅子だけ拝借して パソコンの前に肩を並べた。 『先ええよ』 「いいよ、大倉君からで」

2014-09-16 22:38:26
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞16∞ 『ええの?ほな』 そう言ってパソコンを操作する。 新しい問題が出るたび "何これ""わからへん"の繰り返し。 結果は 『うわ、めっちゃ低い俺!』 50点満点の、36点。 「ひく…」 つい零れた私の一言。 『あ、言うたな!言っとくけどめっちゃムズいで!』

2014-09-16 22:43:32
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞17∞ 「いいから代わってよ」 『俺より点数低かったら罰ゲームやで!』 そんな言葉を無視して、 私もパソコンを操作しはじめる。 結果は… 『うそやん…』 「46点。合格ラインだってさ?」 立場逆転。 やっと余裕で笑ってみせた。 『…笑えるやん』 「……え?」

2014-09-16 22:51:37
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞18∞ 『島田駅1人でおった時からずーっと眉間にシワ寄っててさ、なんかずっと難しそうな顔してたけど』 うわ、そんなとこから見られてたんだ… 『笑いーや。笑顔可愛いねんから』 そう言って、ぽんっと頭を撫でられた。 『…すぐ顔赤なるな。おもろいわー』 「う、うるさい!」

2014-09-16 22:57:17
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞19∞ その時、チャイムが鳴った。 『俺これから車やわ』 「…うん」 『ほな、またな』 荷物を片して、大倉君が去っていった。 大倉君の手が触れた頭が、 余韻で少し感覚が残ってる気がする。 「何なのもう…」 半クラッチで進むような、 いじらしくてもどかしい感覚…

2014-09-16 23:02:43
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞20∞ 『あ、また1人で弁当食べようとしてる。』 お昼時。 「…ぼっちで悪かったね」 『俺誘えばええやんかー』 後ろから大倉君が声をかけてきた。 「からかってくるからやだ」 『そんなこと言うなってー』 そう言ってまた、 弁当を二つ分持った大倉君。 『食べよ?』

2014-09-17 22:10:06
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∞21∞ 「…もう」 結局、また大倉君に引っ張られる。 『今日は何食べたらなあかんの?』 弁当箱を開きながら、 にやにや見つめてくる。 「だから、大根以外は食べれるってば」 『そっか、じゃーよかったわ』 ほんとむかつく。 なのに… なんで、気になってる私がいるの…?

2014-09-17 22:15:33
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞22∞ 今日は、早めに授業が終わった。 「帰ろ。」 教習所を出る前に、 ほんの少し大倉君の姿を探してしまう。 「…なにやってんだろ」 寮へ向かうバスに乗り込んで、 いつものお茶を流し込んだ。 「海、行こう。」 寮のすぐそこにあるビーチ。 気晴らしに行ってみよう。

2014-09-17 22:20:04
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞23∞ 波音が響く。 解体されていく海の家。 少し先には波を待つサーファー。 「来たぞ…海っ!」 履き替えたサンダルで走り出す。 1人で波と追いかけっこして 流木を拾って。 「…何書こう」 気づくと進んだ筆…… pic.twitter.com/9QZ3sru5fe

2014-09-17 22:25:50
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∞24∞ 「…何書いてんだろ」 相合い傘なんて、 らしくもない。 「あー早く大きい波来てよ…」 さっさとこんなの消してほしい。 さっきからずっと 大倉君がふと過っちゃって。 でも、あんな失礼なやつ好きになるはずないし… 「ほんと… "目障りだけど気になる"…」

2014-09-17 22:30:50
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞25∞ 結局、何の気晴らしにもならないまま 海を後にした。 「朝ごはんの材料、買いに行こ…」 料理してる間だけ、 全部忘れて楽しくなる。 「どうしよっかな…」 特売の野菜を眺めて、 朝ごはんのイメージを膨らませた。 「最初から、こっち来ればよかったや…笑」

2014-09-17 22:36:07
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