∞教習所シリーズ連載∞

2014年9月に連載した教習所シリーズ連載をまとめました。 テーマ曲♪きっと大丈夫/嵐
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∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞100∞ 『明後日卒検受かったら、死んでも呼び止めろよ』 「はい!」 村上教官が手を差し伸べる。 『2人で帰るんやで』 ぐっと私を引っ張り立たせた。 『ほな、早よ部屋戻り』 「はい。」 …あ。 「教官」 『ん?』 「ありがとうございました」 私はもう、迷わない。

2014-09-23 21:52:22
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞101∞ …卒業検定当日。 「うぇ…やばい」 緊張で吐きそう。 たしか仮免の時もそうだった。 でも… 「受からなきゃ」 受かって大倉君に伝えなきゃ。 『まーた緊張しとる』 背中をトン、と叩かれた。 「村上教官!」 『なんて顔してんねん』 と言って笑う。

2014-09-24 21:05:31
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞102∞ 『俺が教えたんやから、絶対受かる』 両肩を力強く叩いて目線を合わせた。 『信じろ。2人で帰るんや』 「…はい!」 背中を押されて、控室へ向かう。 仮免の時と順番は変わらない。 大倉君は1番で、私は3番。 「では3番の人。」 「はい」 うん。きっと大丈夫。

2014-09-24 21:09:45
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞103∞ 控室を飛び出して 辺りを見渡す。 慌てて階段を降りて、 自動ドアをくぐり抜け叫んだ。 「大倉君!!」 足がゆっくりと止まった。 『…どしたん』 …やばい。 卒検より緊張してる…。 「…あの日の、返事。」 ひとつ深呼吸。 ゆっくりでも、ちゃんと伝えよう。

2014-09-24 21:16:01
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞104∞ 『答え…出てたやん』 大倉君の表情が曇る。 「私あの時、何も言ってない」 『一緒やろ…』 「ええから聞けアホ!」 聞いてもらわないと、始まらないの! 「……ごめん」 『…何』 ドキドキしてる。 声が詰まりそう。 負けないように、大きく息を吸った。

2014-09-24 21:20:02
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞105∞ 「私、大倉君が好き。」 やっと言えた、素直な気持ち。 胸のどこかがすっきりする。 「最初は嫌な奴って思ってた。 無神経で、すぐ本音を突いてきて。」 でも… 「でも、いつも大事な時に声をかけてくれるのは、大倉君だった」 "大丈夫" って笑いかけてくれてた。

2014-09-24 21:23:44
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞106∞ 「大倉君じゃなきゃダメなの…っ」 突然 ぐいっと引っ張られた。 『何やねん…アホ』 気づけば 大倉君に抱き締められてる。 『俺も、お前やないとあかんし…』 「大倉…君…」 ぎゅっと抱き締める力が強くなる。 『好きや。誰にも負けんくらい』 「…うん、私も」

2014-09-24 21:27:50
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∞107∞ ゆっくりと大倉君の腕が緩くなって 目線がぶつかった。 『なぁ、キスしていい?』 そう言って照れ臭そうに笑う。 「聞くな、空気読め……んんっ」 私の悪態を遮るように 唇が重なった。 『…んふ、読んだった』 「…ばーか」 お互い笑い合って、またキスをした。

2014-09-24 21:36:39
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞108∞ 『帰ろう。』 「…うん」 額を合わせて笑いあった。 「あ、教官!」 校舎に入ると、鉢合わせるように村上教官がいた。 『見せつけやがって』 「あ…//」 見られてたんだ… 『大倉。頼んだからな』 『言われなくても離しませんから』 私の手をぎゅっと握る。

2014-09-25 21:05:19
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∞109∞ 「おーくらホンマに行くんー!?」 『卒検受かったんやから帰るに決まってるやん』 丸山君が泣きつく。 「俺のために一泊せえへーん?」 『せえへん』 丸山君、卒検落ちたんだ… 「がんば」 「2人とも冷たすぎやー!」 「島田駅ゆき乗る人ー」 もう、出発。

2014-09-25 21:07:36
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞110∞ 2人バスに乗り込んで座った。 『ん。』 大倉君が手を差し伸べる。 「ふふ」 そこに指を絡めて手を繋いだ。 「もう帰るんだ…」 『せやな』 窓の外を見てみると 路上で通った道。 「あっという間だった」 『ほんまにな』 景色と共に色んな事が浮かんでくる。

2014-09-25 21:10:34
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞111∞ 淡い記憶が蘇る。 大倉君の笑った顔。 一緒に行った静波海岸で、 波に足跡がさらわれてくのを見ながらお互いのこと知ったっけ。 それから、 教官と行った夜景の茶畑。 自分の気持ちをわかったふりして 教官とした、長いキス。 この景色も全部、心に焼き付ける。

2014-09-25 21:12:35
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞112∞ 『ほんま色々あった』 「うん。」 高速の入り口が近づく。 『高速ん時のマルめっちゃおもろかったやんな』 「うん、教官も途中どついてたもん」 そんな思い出も、 クスクス笑っているうちに過ぎて行く。 『ただ、あん時俺はめちゃくちゃモヤモヤしてたけどな』

2014-09-25 21:15:58
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞113∞ 「ごめん」 『でも…あのおかげで俺も自分の気持ちを再確認出来た気ぃする』 そう言って微笑む大倉君。 『卒検までの間とか、姿見かけるたびツラなってさ』 「…うん」 『あぁ、俺もう戻られへんぐらい好きになってるやん、って』 そう言って、 繋いだ手を握り直した。

2014-09-25 21:18:43
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∞114∞ 「随分回り道させちゃったね」 『でも、回り道もたまには悪くないわ』 "辿り着けたらよくない?" なんて言う。 それも、そうだ。 こうやって大倉君に教わったことも沢山あった。 "大丈夫やって 少しは手抜かなしんどいで?" 紙切れに書いた、大倉君の言葉。

2014-09-25 21:21:54
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∞115∞ 「お疲れ様でした、到着です」 さぁ、もうお別れだ。 「切符買わなきゃ。」 そう言ってキャリーを引く。 『ゆっくりおいでや、俺先買っとく』 ボストンバッグを背負って大倉君が言った。 「ありがと、後で払うね」 そう言って大倉君の背中を追いかける。

2014-09-25 21:24:24
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞116∞ 『はい』 2枚の切符を渡される。 「もう、お別れか…」 『何言うてんの?』 きょとん、とした大倉君。 「だって、大倉君大阪でしょ?」 『あれ、そこ言うん忘れてた?俺、今は東京やで?』 …えっ?! 「し、しらない!」 『ホンマ?ごめん、言うた気になってた』

2014-09-25 21:27:39
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞117∞ 『あとさぁ…』 突然、 両頬を手で挟まれる。 『大倉君って辞めてぇや。俺の立ち位置変わってへんみたいやん』 「…じゃ何て//」 距離が近くて、少し顔が熱くなる。 『そこは、わかるやろ?』 「…た、忠義…//」 呼び慣れてない名前に 更に顔が熱を帯びていく。

2014-09-25 21:31:42
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞118∞ 『んふふ、なーにー?』 満足げに笑って、返事をした。 「…っ」 なんだかまた、 やられっぱなしだ…! 悔しくなって、 忠義の首に手を回した。 ちゅ。 『…な、今のずるいわ//』 「やられっぱなしは性に合わないの!」 そう言って舌を出してみる。

2014-09-25 21:34:40
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∞119∞ 「ほら、電車来た」 ホームに入ってきた電車に乗って 2人きりの車両。 「色んなとこ行こーね」 『例えば?』 例えば…うーん… 「近所のお祭りとか」 『ふはは』 「あかん?」 『ううん、悪くない』 2人で先の事を考えれば、 どんどん楽しくなってくる。

2014-09-25 21:37:41
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞120∞ 新幹線に乗り換えて、 あっという間に東京に着く。 『じゃ、ここでバイバイやな』 「うん」 でも、いつだって会える。 何があっても 2人ならやっていける。 根拠なんてどこにもないけど たぶん、忠義もこう言うでしょう? "きっと大丈夫" って。 ∞fin∞

2014-09-25 21:40:45
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