∞教習所シリーズ連載∞

2014年9月に連載した教習所シリーズ連載をまとめました。 テーマ曲♪きっと大丈夫/嵐
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∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞75∞ それって… 私の自惚れとかじゃない…? 『解ったな?』 「…たぶん」 どうしよう。 ハザードランプの音より、心臓の音が早くなる。 『嫌なら、今の内や』 村上教官の目が見れない。 けれど… 「やじゃ、ない…」 その言葉で、 村上教官の手が私の顎を上げた。

2014-09-21 22:32:57
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞76∞ 『こっち向けや』 目が合った村上教官はもう、男の顔。 私の顎を上げた手が、 ゆっくりと頬に流れていく。 『最終確認な。良かったら目ぇ瞑れ』 そう言う村上教官の目に導かれるように、恐る恐る目を閉じると 「……っ」 村上教官と私の唇が ゆっくりと重なった……

2014-09-21 22:38:19
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞77∞ ………… 『お疲れさん』 お互い、何事もなかったように校舎に戻っていく。 …キス、しちゃった。 でも、決定的な言葉なんてない。 大人ってそんなものなのかな。 あの後も "…ほな準備出来たら帰ろか" すぐ顔を逸らして。 あの時、教官どんな顔してたんだろ。

2014-09-21 22:46:57
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞78∞ 「…っ///」 1人で思い出して、顔が熱くなる。 「は、はよ帰ろ」 寮へ向かうバスへ乗り込んで、スケジュールを見た。 「わ、もう高速教習か…」 誰と一緒なんだろう。 卒検までもう時間がない事を思い知らされる。 「帰ったら復習だ…」 頭、切り替えないと。

2014-09-21 22:50:50
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞79∞ 結局 「眠っ…」 昨夜の事が頭を巡って寝不足になった。 「ふぁー…」 『でっかい欠伸やな』 後ろから声をかけてきたのは 「大倉君…」 今一番気まずい人。 『今から高速?』 「そう」 『あ、一緒やん』 配車票の教官は2人とも "村上"と書かれていた…。

2014-09-21 22:55:46
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞80∞ 『行けるから加速せえて!』 「はいぃ!」 『ちゃんと右みて合流せえや!』 高速教習。 私は2番目で、大倉君は3番目。 「丸山君…だっけ」 今運転してるのは大倉君の友達の丸山君。 『そう』 「面白いね」 『めっちゃビビってんな』 教官に何度も突っ込まれている。

2014-09-22 22:06:49
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞81∞ 少しずつ交代地点が近づいて 私も少し緊張してくる。 『緊張してるやろ』 大倉君が囁く。 『大丈夫や』 大倉君の右手が 私の左手をぎゅっと握った。 「…っ//」 だめ、前に教官がいるのに。 目が泳いだ先に、教官用のルームミラー。 村上教官と目が合った。

2014-09-22 22:11:39
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞82∞ 『ほな次乗り換えな』 私の順番が来た。 「はい」 ひとつ深呼吸して、運転席に乗り込んだ。 『何緊張してんねん、いつも通りで速いだけや!』 そう言って、私の頭をくしゃくしゃっと撫でる。 『行くで』 「はい」 ルームミラー越しに 複雑な表情の大倉君が見えた。

2014-09-22 22:16:38
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞83∞ 『ここで思い切って加速!合図出して入るで!』 言われた通りにアクセルを踏んで そのまま本線に合流した。 『そう!丸山よりはスムーズやったな』 八重歯を見せて後ろに笑いかける。 「あー教官女の子やからって!」 『何言うてんねん、ほな隣に聞き。どっちが怖い?って』

2014-09-22 22:21:10
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞84∞ 「大倉!どっちや思う!?」 『そら教官の言うとおりやろ』 「嘘ーっ!?」 関西人が4人も乗り合わせたせいか 車内がいつもより騒がしい。 けど… 『ハンドル握りしめすぎ、大丈夫やって』 私は1人で真剣そのもの。 『しばらくがっつり直線やし肩の力抜き』 「はい」

2014-09-22 22:25:49
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞85∞ 『ほなもうすぐ交代やからな』 本当に直線が続いて、交代地点が近づいた。 『はい、交代。次大倉君な』 『はーい』 降りて大倉君と入れ替わる。 『お疲れ』 肩をぽん、と叩かれたけど 表情はいつもより暗い。 『お願いします』 大倉君の教習が始まった。

2014-09-22 22:30:05
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞86∞ 『ほな、行こか。』 『はい』 大倉君の様子が、いつもと違う。 『……』 無言でどんどん進んで行く。 村上教官も、ほとんど指示を出さない。 『じゃ、このI.C降りたら学校戻るで』 『はい』 大倉君、完璧だ…… 「大倉、本気やん…」 丸山君が呟いた。

2014-09-22 22:35:59
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞87∞ 「大倉君!」 さっきの事が気になって追いかける。 『…ごめんな』 え? 『なんか俺、邪魔してたよな』 「どういう…」 『村上教官、好きなんやろ』 どこまでも核心を突く。 『ええやん大人で。教官もお前の事好きそうやし』 そう言うと足早にバスに乗り込んだ。

2014-09-22 22:41:00
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞88∞ 「大倉君待っ…」 待って…? その先は何を言うの? 「…そうだ。」 私には大倉君を呼び止められない。 繋ぎとめて苦しめて、 そんな事する権利、持ち合わせてない。 「もう…わかんないよ…っ」 勝手に涙が溢れ出す。 どうしたらいいの… 『何泣いてんねん』

2014-09-22 22:45:52
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞89∞ 「村上、教官…」 『帰るんやろ?』 教官が車の鍵を見せる。 『今日、寮の宿直やから乗れ』 「…はい」 溢れ出す涙を拭いながら 車に乗り込む。 『管理人室来てええから、一旦まっすぐ部屋行けよ』 話聞いたるから、 と言って車が動く。 『大丈夫、なんもせんから』

2014-09-23 21:04:56
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞90∞ 「わかってます」 『…その返事もなんかあれやけどな』 きっと笑わせようとした村上教官の返し。 「…はい」 でも、 うまく笑えなかった。 『ほな、あとで。夕飯は持ってけよ』 いつもの夕飯を渡されて、 一旦自分の部屋に入った。 …涙は、ずっと止まらない。

2014-09-23 21:09:32
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞91∞ 『はい、どーぞ。』 管理人室に入って、 本当は入れない、教官用の宿直室に案内される。 『んで、どしたん?』 ドアを閉めて、尋ねられる。 『…大倉君のことか』 「いや…」 『そうやねんな。』 よほど分かり易かったのか 遮るように結論は出た。 『何があったん』

2014-09-23 21:14:30
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞92∞ 「今日…なんですけど」 帰りにあったことを 泣きながらゆっくり話した。 涙が溢れるたびに 村上教官は背中を撫でて、優しく聞いてくれた。 『…そうか。』 「私…もう自分の事わかんなくて」 あんなに泣いたのに、 まだまだ涙は溢れてくる。 『ほな簡単に質問するわ』

2014-09-23 21:19:06
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞93∞ 『目閉じてみ』 言われた通りに目を閉じる。 『1番仲ええ友達思い浮かべて』 地元の親友が浮かんだ。 『ほな、家族』 両親と、弟。 『じゃ…好きな人思い浮かべてみ』 浮かぶのは… 「わかりません…」 一瞬、大倉君が浮かんだり かと思えば教官が浮かんで。

2014-09-23 21:22:58
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞94∞ 『…わからんか』 頭を抱えた教官。 「すみません…」 『この相談、俺には天国と地獄やな』 間違いない。 本来なら、もっと違う人に聞いてもらえばいいのに。 『最終手段は使いたくないんやけど』 「…最終手段?」 私が聞き返すと、 ひとつ間を置いた。 『そう。』

2014-09-23 21:26:30
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞95∞ その瞬間、 両腕を掴まれて押し倒される。 「…っ、教官…?」 『この状況、わかるな?』 ベッドの上 私の上に跨る村上教官。 お互いの吐息がかかる距離の顔。 『今ここで、俺はお前を振り向かせるために抱くことも出来るな?』 「っ…//」 思わずぐっと目を閉じた…

2014-09-23 21:32:45
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞96∞ 『今、これが誰ならいいと思う?』 突然、耳元で囁かれる。 腕を掴んで、 私を抱こうとしているのが…? 「…ごめんなさい、教官」 脳裏に写るのは教官ではなく 『…大倉君、なんやろ』 大倉君だった。 「…はい」 『ん。』 村上教官が、私を抱き起こした。

2014-09-23 21:37:38
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞97∞ 『お前は、顔は素直やのに自分に素直やなさすぎる』 寝転んで乱れた服を直しながら、 村上教官が言った。 『ホンマは、キスした時から気づいとった』 「えっ…」 『あのキスに、期待してしもてん』 罰が悪そうに、自分の鼻先に触れる。 『まだいける、気づいてくれって』

2014-09-23 21:41:50
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞98∞ 『お前の気持ちを惑わしたんは俺や。すまん』 辛そうに話す村上教官の顔。 「いえ…私だって…」 自分の気持ちに嘘ついて、 村上教官のことを傷つけた。 「すみません…」 すると 村上教官の大きな手が頭に伸びた。 『アホ、もう謝んな』 そう言って頭を撫でる。

2014-09-23 21:46:35
∞の妄想を垂れ流すやつ。 @mapan8_8moso

∞99∞ 「…はい」 私の返事を聞いて 大きく伸びをした。 『あー明日の路上、ビシバシしごいたらなな!』 「ふふ、やめてください」 村上教官が振り返る。 『やっと笑った。』 あ… 前にも、大倉君と同じようなシチュエーション。 そうか。 この時から、結論は出てたんだ。

2014-09-23 21:48:37
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