やっぱり“日本は米国に比べ労働生産性劣ってるので改善すべき”という通説は間違い

青木文鷹氏の連ツイまとめました。 14:05改題しました。(旧題・日本の労働生産性についての考察)
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青木文鷹 @FumiHawk

最近の思案のテーマは「労働生産性」なんだが、よく言われるのと逆で「やっぱり“日本は米国に比べ労働生産性劣ってるので改善すべき”という通説は間違い」だなあと。というか社会構造として当たり前の話だったことに気付いたので、覚書のつもりで連投。「いまさら_」とか言わないでね(^^;[続]

2014-09-22 13:02:38

労働生産性の基本と各国の労働生産性ランク

青木文鷹 @FumiHawk

労働生産性は「付加価値÷従業員数」で、従業員一人当りの付加価値額を示してる“事になっている”。重要なのは労働生産性はあくまで平均で「質」は考慮されない点。付加価値倍になる場合も、従業員数半分になる場合も、1割の従業員の給与だけが11倍になる場合も等しく労働生産性は2倍になる[続]

2014-09-22 13:07:49
青木文鷹 @FumiHawk

2011年日本の労働生産性は73374ドルでOECD加盟34カ国中第19位。1位はルクセンブルグ126121ドル、2位ノルウェー120456ドル、米国は3位で106170ドル。20位ギリシャ73291ドル、23位韓国62119ドル、OECD平均79435ドル。日本は平均以下[続]

2014-09-22 13:09:02

米国の個人破産事情

青木文鷹 @FumiHawk

ところで、2013年米国の個人破産件数は約99万件。リーマンショック以後の低金利もあり若干減少傾向。同年の日本の破産件数は約8万件。この時点ですでに件数で10倍以上の開きがある。人口10万人当りの破産件数は、米国約315件、日本約64件で、人口考慮しても5倍近い開きがある。[続]

2014-09-22 13:10:15
青木文鷹 @FumiHawk

さらにこの件数にはちょっとした秘密がある。実は日米とも2005年破産法改正している。ただし、米国はより厳しく、日本はより活用しやすく変更した。米の変更は、取り立て自動的停止が認められない場合の設定、申し立て前の条件が緩い州への転居も禁止、非免責債権範囲拡大等々、かなり厳しい[続]

2014-09-22 13:11:22
青木文鷹 @FumiHawk

2005年は改正前の駆け込み破産があるので、その前年の米国破産件数は約156万件、人口10万人当りの破産件数は498件もあった。米国の労働生産性は世界3位、日本の1.5倍弱にもかかわらず、日本の5~7倍にのぼる個人破産、これどういう風に説明したらいいかというのが疑問の発端。[続]

2014-09-22 13:12:19

労働生産性が高いのに個人破産が多いと言うことは…

青木文鷹 @FumiHawk

日本の5割増しの労働生産性を誇る米国で、日本の5~7倍の破産が発生しているのを見て、労働生産性を上げるという事がどういう事かを考え始めたら、結局「先進国に於いて、労働生産性は産業構造と社会の所得構成に左右され、国レベルではなんの役にも立たない指標」という結論に至ったわけ。[続]

2014-09-22 13:13:07
青木文鷹 @FumiHawk

既に述べたとおり、労働生産性は「付加価値÷従業員数」で表されるから、付加価値が倍になる場合も、従業員数が半分になる場合も、等しく労働生産性は2倍になる。言い替えれば「付加価値の高い業種中心の産業構造では高くなる」訳で、産業構造が製造業中心の日本にとっては基本的に不利。[続]

2014-09-22 13:14:01
青木文鷹 @FumiHawk

付加価値の高い業種、つまり少人数でがっぽり稼げる業種の代表は金融や保険、IT産業。一方、付加価値を上げにくい業種は国際的な価格競争にさらされている製造業などで、雇用を多く産み出す企業が多い。ルクセンブルグの労働生産性が抜きん出て高いのは「金融等高付加価値産業+少人数」だから[続]

2014-09-22 13:15:50

“平均”とは凸凹をならした結果でして_

青木文鷹 @FumiHawk

そしてもうひとつ、米国の「労働生産性が高いのに破産が多い」問題では“平均”が重要な要素になってる。米国のホワイトカラーの給料は高い。金融等には数億ドル貰っている人とかもいる。同時に最低賃金以下で働く接客業とかも当たり前に多くいる。大金持ちも少ないが貧乏人も少ない日本とは逆。[続]

2014-09-22 13:17:05
青木文鷹 @FumiHawk

米国の労働生産性が高いのに破産が多い事実を矛盾無く説明すると「極めて労働生産性が高い少数が、労働生産性の低い多数の分を埋めて、平均値として“実体社会の実感以上に労働生産性を押し上げている”」となる。まあ当然と言えば当然の結論なんだが、米国の所得格差が如何に激しいものか分る。[続]

2014-09-22 13:18:57

労働生産性で国家レベルの経済は語れない

青木文鷹 @FumiHawk

労働生産性が指標として無意味といっている訳じゃない。各企業の状況表す指標としては意味あるものだし、同一母体の時系列変化を追えば、とても有効な指標と言える。ただ労働生産性を国家レベルの経済話で使うにはあまりにも“おおざっぱ”過ぎる指標で、他と組み合わせないと“質”が分らない。[続]

2014-09-22 13:20:06
青木文鷹 @FumiHawk

そうそう、公共事業等で政府支出増やしGDPあげても労働生産性あがるので、その意味でも労働生産性を単体で語るのは結構危険すぎる。ということで、日本は労働生産性低い云々言って労働者の負担増やすくらいなら、サービス残業撲滅して残業代きっちり払わせた方が日本のためになりますよ、と。[終]

2014-09-22 13:21:44

以下補足*

青木文鷹 @FumiHawk

あ、ちょっとツッコミ有りそうな点を補足。米国の破産原因の6割が医療費といわれてるが、それを考慮しても10人当りの米国の個人破産は日本の倍。あと、失業率が高くて労働生産性が高いことは普通にある。これは「労働生産性=付加価値/就労者数」なので、失業者は数に入らないため。

2014-09-22 13:38:04
青木文鷹 @FumiHawk

(自己レス)10人当りじゃない十万人当りだwww→ RT @FumiHawk: あ、ちょっとツッコミ有りそうな点を補足。米国の破産原因の6割が医療費といわれてるが、それを考慮しても10人当りの米国の個人破産は日本の倍。あと、失業率が高くて労働生産性が高いことは普通にある。(略)

2014-09-22 13:49:20
青木文鷹 @FumiHawk

補足その2:労働生産性の“付加価値”って、サービス等の質とは関係無いのがなんとも。仮にメイドさんの店が2店舗あったとして、店1は「凄く丁寧な接客で珈琲一杯5百円で長居出来てしまう」、店2は「味最悪サービス適当一杯5千円だがぱふぱふ付き」なら、店2の方が労働生産性は極めて高くなるw

2014-09-22 13:46:03
青木文鷹 @FumiHawk

たとえば「○○社は、同業である米国の××社に比べて労働生産性が劣っているから改善すべき」というのは至極真っ当で、労働生産性の本来の使い方。これを多種多様な業種の集合体で、しかも人口や失業等まったく異なる国情を抱えた国々の経済を語る時に持ち出すから、なんだかおかしな事になる訳でね_

2014-09-22 14:07:29