阿南惟幾の自決

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

さて。終戦の詔勅の後、何人かの要人が当日に自決、または、後日自決をしました。 その中でも、今日は阿南惟幾陸軍大臣をご紹介したいと思います。 #三笠の昔話

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阿南陸軍大臣は陸軍の方なので、本来ここで紹介する流れではないのですが・・・ 今日遊就館に参りました折、阿南大臣の血染めの遺書がとても鮮烈な印象でありましたので。

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阿南大臣が陸軍を志したのは、乃木将軍の勧め。しかし、陸士での成績も目立たず出世も遅かったのですが、侍従武官として参内した際、当時の侍従長が後に総理として補佐することになる鈴貫さんでした。 阿南武官は鈴貫さんの人柄に惚れいっていたと言われています。 #三笠の昔話

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阿南さんは皇道寄りでもリベラル寄りでもなく「軍人政治に関わるべからず」という姿勢が評価され、その後とんとん拍子に出世。 そして手詰まりに陥った小磯内閣の後任として立ち上がった鈴木内閣の陸軍大臣に就任。「この国を救うのは鈴木さんだ」と言って鈴木総理を補佐しました。 #三笠の昔話

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終戦に向け、阿南大臣は陸軍内の強硬派を刺激しないよう配慮しながら、終戦に進む鈴木内閣を補佐。 そして、終戦を目前にひかえた今日未明、官邸で割腹。部下の介錯の申し出を断り、血の海の中で絶命しました。享年58歳。 #三笠の昔話

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前日には鈴木総理を訪ね、陸軍大臣として時に強硬な意見を述べたことを詫び、日本の将来を案じる発言をした後、総理に葉巻を贈って辞去。阿南大臣が帰った後、鈴木総理は「阿南君はお別れを言いにきたんだね」と小さく呟いたとか。 #三笠の昔話

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ただ、どうも米内海軍大臣とは反りが合わなかったらしく、死に際に「米内は斬っとけ」と言ったとか言わないとか。 その米内大臣も、阿南大臣の訃報に接し「立派な男を失ってしまった」と絶句した、と言われています。 #三笠の昔話

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戦後、阿南大臣の振る舞いは「継戦派か？終戦派か？」と議論を呼びました。それというのも、どちらとも取れる振る舞いだったからです。 しかし、部下の方の見解や、当事者だった鈴木総理・米内大臣の反応を見れば、やはり、国を思う忠義の士だった、というのは疑いが無いと思います。 #三笠の昔話

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阿南大臣の血染めの遺書は、靖国神社・遊就館で写真を見ることができます。 しっかりした字で書かれた遺書には 「一死以テ大罪ヲ謝シ奉ル」とありました。 大罪とは何なのか・・・。 それは、紙面の半分以上を覆う鮮血と共に、時代を超えて我々に何かを語りかけているようでありました。

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帰りに再度立ち寄った千鳥ケ淵の木立には、夕闇に吸い込まれていく蝉時雨とともに、穏やかな時間が流れていました。 改めまして、合掌。