死んだ旧友に妹への言伝を託された

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アドリア海2 @phortl

悪いことに自分はゲストハウスの宿泊名簿に名前と電話番号を正直に記入しまっていた。警察に職質を受けさせられた場合、自分にはあの男を見殺しにした事実を隠しながら自身の動揺を押さえ込む自信がなかった

2014-09-30 10:35:31
アドリア海2 @phortl

逮捕されるかもしれないと自分はおびえた。同時にやはり彼の言葉に耳をかさなかった罪悪感が心に重く響いた。自分は自宅に引きこもり1週間ほど悶々と過ごした。幸いにも危惧された警察の訪問はなかった。

2014-09-30 10:37:15
アドリア海2 @phortl

自分は彼に託された伝言を彼の妹に伝えるかどうかでもひどく悩んだ。彼に対して犯した罪を考えれば、一刻も早くその願いを適えてやりたい気はしたのだけど、まず彼の話どおり本当に彼の言う学校に彼の妹がいるという保障はどこにもなかったし

2014-09-30 10:43:12
アドリア海2 @phortl

またいたらいたでその妹は今頃実兄の死を嘆き悲しんでいる最中であるはずで、そこへ自分のような他人が押しかけわけのわからない伝言をつげてはその感情をどこまで逆立てするか予想もつかなかった。

2014-09-30 10:44:23
アドリア海2 @phortl

また死ぬ前日になってその死を予見したあの男から遺言を渡されていたなどと言っては不審者であること限りなく、最悪の場合やはり通報され殺人容疑を掛けられる恐れすらあった。結局自分は何をすることもできずなお鬱屈とした日々を送り続けた。

2014-09-30 11:10:17
アドリア海2 @phortl

それから3日後の夜中、自分の携帯が鳴った。見知らぬ番号だったので出ないでいたが、あまりにもしつこくかかってくるので気味悪く感じ仕方なく会話に応じてみた。

2014-09-30 11:16:23
アドリア海2 @phortl

「あなたXXさんと会っていたでしょ?」 XXというのはニュースで伝えられた相部屋の男のものと思しき姓名だった。 「10日くらい前に、日本海沿岸のゲストハウスで」 電話の男はドスの聞いた声で続けた

2014-09-30 11:37:43
アドリア海2 @phortl

「そういうことは知りませんけど」 自分はおびえながらもしらばっくれた 「いや嘘ついてもだめだから、全部調べはついてるから」 「・・・・」 「あんたあそこでXXさんに何聞いたの?」 「・・・・」

2014-09-30 11:38:52