二次創作SS『とある老提督の追憶』

鋼鉄の咆哮シリーズ及び艦これの二次創作です。
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ヴォルケンクラッツァー @BCS_Wolken

これを重く見た各国海軍は、ありとあらゆる手段を尽くしなんとか「駆逐イ級」の一隻を鹵獲、これを研究した。 研究の結果、やはり通常兵器は通用しないことが判明したらしい。詳細は今も機密解除されていないが、この時の成果をもとに、対深海棲艦兵器「艦娘」が開発された。 [23]

2014-10-01 23:31:52
ヴォルケンクラッツァー @BCS_Wolken

艦娘。かつて海を制した「軍艦」の「言霊」を、その艤装を模した装備に宿らせたものを装備した女性兵士だ。女でないと言霊が機嫌を損ねるらしい。なんともオカルトな話だが、男が装備しても動作しないのは事実なのだ。女にしても、誰でも良いわけではないらしい。適正があるという。[24]

2014-10-01 23:36:47
ヴォルケンクラッツァー @BCS_Wolken

最初は「吹雪」「レーベリヒト・マース」「バッグレイ」「セント・マリーズ」といった、各国の駆逐艦を模したものが製作、配備され、近海に出現した駆逐艦クラスを撃退していった。この成功から、巡洋艦、戦艦…と、より強力な艦娘が配備されていくことになった。[25]

2014-10-01 23:40:04
ヴォルケンクラッツァー @BCS_Wolken

強力な艦娘が配備されると、深海棲艦に占拠された離島拠点などの攻略も開始され、より強力な深海棲艦を撃滅する必要が出てきた。「鬼」「姫」と呼ばれるクラスになると、生半可な戦力では攻略不可能だった。 各国は「大和」「ルイジアナ」といった、切り札を投入するようになる。 [26]

2014-10-01 23:45:38
ヴォルケンクラッツァー @BCS_Wolken

姫や鬼もそれらによって対抗することができた。 人類の優勢かと思われた。 だがそう甘くはなかった。 戦艦「レ級」…かつての航空戦艦型超兵器を思い起こさせる火力と航空戦力を併せ持つ、突然変異とも呼べる深海棲艦が現れたのだ。 [27]

2014-10-01 23:48:43
ヴォルケンクラッツァー @BCS_Wolken

そしてレ級ばかりか戦艦棲姫、空母棲姫といった、非常に強力で手を焼いていた深海棲艦までもが複数現れるようになった。 各国は対応を迫られた。これではまた劣勢だ…。[28]

2014-10-01 23:51:39
ヴォルケンクラッツァー @BCS_Wolken

そんな中、上層部より各重要拠点へ通達が出された。 「"超兵器"の残骸を、一部サルベージしてこい」とのことだった。 超兵器は主要拠点近海に沈んでいるものが多かったため、任務にはそれほど苦労しなかった。 現れた深海棲艦も、せいぜい巡洋艦や軽空母クラスだった。[29]

2014-10-01 23:54:32
ヴォルケンクラッツァー @BCS_Wolken

残骸は研究施設へ送られた。 私はどことなく嫌な予感がしたが、すぐに忘れた。 そんなことを気にしてる暇はなかったのだ。あの戦争から数十年経ち、老いぼれとなった私にさえ従軍の要請が来る程に事態は逼迫し、多忙な日々を送っていたからだ。 [30]

2014-10-01 23:57:01
ヴォルケンクラッツァー @BCS_Wolken

数カ月後。本部より新たな艦娘が着任した。 「海軍技術研究本部より着任致しました、ヴィルベルヴィントです。よろしくお願いします」 そんな艦があっただろうか、と頭を捻り、私は戦史データベースを漁った。 そして戦慄した。コイツは、超兵器だ…。 [31]

2014-10-02 00:00:36
ヴォルケンクラッツァー @BCS_Wolken

彼女はどうやら実戦テストの名目で配備されたらしい。他の拠点にも、レムレースやヴィントシュトース、シュトゥルムヴィントといった、超兵器としては軽量級の艦娘が試験配備されたらしい。そして彼女たちは、姫クラスやレ級といった深海棲艦を簡単に撃滅してしまった。[32]

2014-10-02 00:04:33
ヴォルケンクラッツァー @BCS_Wolken

しかし、この頃そんな彼女たちをも凌ぐ深海棲艦が現れたらしい。 つい先日、ヴィルベルヴィントを含む艦隊が作戦海域で消息を断ったのだ。 偵察機によると何かに撃沈されたようだった。 再び嫌な予感がした。いや、予感というレベルではない、確信に等しかった。 [33]

2014-10-02 00:07:46
ヴォルケンクラッツァー @BCS_Wolken

そして今日、ついにその予感は現実のものとなった。 「本日より呉鎮守府に転属して参りました、ヴォルケンクラッツァーです。よろしくお願いしますわ」 かつて世界を滅ぼそうとしたものの再臨。 前大戦最後の生き残りである私だけが、その意味を知っていたに違いなかった。 [終]

2014-10-02 00:15:01