艦これ✕鋼鉄の咆哮『大いなる冬』

WG2の真のラスボス、『フィンブルヴィンテル』と戦うおはなし。 前作:http://togetter.com/li/675378
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ろくせいらせん @dddrill

艦これ✕鋼鉄の咆哮二次創作『大いなる冬』#1

2014-06-18 02:20:52
ろくせいらせん @dddrill

【注意】この作品はゲーム『鋼鉄の咆哮』シリーズと『艦隊これくしょん』をもとにした二次創作です。原作、ならびにその派生作品及び現実の軍事事情とは設定が大きく異なる場合があります。あと『摩天楼の光』togetter.com/li/675378 の続編でもあります。 #大いなる冬

2014-06-18 02:21:44
ろくせいらせん @dddrill

--横須賀鎮守府にて 明石(改)記す-- 1

2014-06-18 02:22:41
ろくせいらせん @dddrill

今年の冬は寒い。もう春が近いというのに雪が降り、ここ横須賀も地面が斑に白くなっている。現在、人類の砦たる海軍横須賀鎮守府は開店休業状態。超兵器『ヴォルケンクラッツァー』の迎撃で資材を使い果たし、遠征組と潜水艦以外はやることがろくに無いからだ。 2

2014-06-18 02:23:55
ろくせいらせん @dddrill

秘書艦の私も、提督執務室に常駐しているものの、時間を持て余しているのだが……「なんで皆さんここに?」特に損傷している訳でもない艦娘達が、近頃司令部を溜まり場にしている。原因は部屋の中央に設置された四角い物体。火燵である。近頃の冷え込みを受けて、絶賛延長稼働中だ。 3

2014-06-18 02:25:50
ろくせいらせん @dddrill

「だって寒いしー」「待機所の暖房、燃料が切れちゃったんですよ」口々に異論を唱える艦娘たち。だが、いくら提督が放任気味とはいえ、これでは風紀上よろしくない。「なら、ここに居るのは構いませんが……48の殺人マッサージをお見舞いしますよ?」「ひぃっ!」さり気なく追い出そうと試みる。 4

2014-06-18 02:27:27
ろくせいらせん @dddrill

「まぁまぁ、いいんじゃないか……」だが、鈴谷を羽交い締めにする寸前。火燵に蹲る老人によって私は制止された。「提督……」そう、この鎮守府の提督である。提督も超兵器『ヴォルケンクラッツァー』の一件以来すっかり老け込んでしまい、今では一日の大半、火燵で丸くなっている始末なのだ。 5

2014-06-18 02:29:33
ろくせいらせん @dddrill

『ヴォルケンクラッツァー』。海の底からやってきた、常識外の超戦艦。提督曰く『超兵器』と呼ばれる異世界の兵器の類似品らしい。「それ」は妨害電波を振り撒き、鎮守府間の連絡が途絶。謎のエネルギー兵器破壊を炸裂させる寸前、横須賀鎮守府の精鋭と『侵食魚雷』の一撃によって撃退に成功した。 6

2014-06-18 02:32:54
ろくせいらせん @dddrill

……のだが。通信障害が回復した後、鎮守府には調査団が派遣された。彼らは根掘り葉掘り調査を行い、本部に無断で事に当たった提督を糾弾。無許可で貴重な侵食魚雷サンプルを使用した責任を取り降格になった、という噂も鎮守府では実しやかに囁かれたが、提督に尋ねても答えてはくれなかった。 7

2014-06-18 02:35:23
ろくせいらせん @dddrill

調査団が引き上げた現在も、提督はどこか元気がないまま。肝心の『ヴォルケンクラッツァー』本体も、沈没地点が深海棲艦の根城になってしまい調査が難航中。残骸は海流でバラバラになったとも深海棲艦が持ち去ったとも言われているが、詳細ははっきりしていない。 8

2014-06-18 02:37:18
ろくせいらせん @dddrill

結局、執務室に屯する艦娘を追い出すことには失敗し、私は机で秘書艦の任務……提督の残務処理の手伝いを黙々とこなしていた。火燵は既に満員御礼。提督は駆逐艦娘達のオモチャになりはじめているが、ニコニコと笑っている。少し前までなら信じられない状況であった。 9

2014-06-18 02:43:14
ろくせいらせん @dddrill

少し前までの提督は、何処から近寄り難いオーラを発していた。……それは、もしかすると『秘密』を持っていたからなのかもしれない。それなら今の状態も悲観したものではないのかもしれない、と私は思った。どのみち、提督のこともヴォルケンクラッツァーのことも、今考えてもどうしようもない。 10

2014-06-18 02:45:59
ろくせいらせん @dddrill

となれば、残る問題は……この寒さだろうか?寒さのせいで燃料の消費は嵩み、艦娘は提督執務室に屯している。暖かくなれば、提督も元気を取り戻すかもしれない。といっても、これも本当にどうしようもない問題なのだが。日本なら春にならない、なんてことも無い筈だ。氷河期でもあるまいし。 11

2014-06-18 02:55:03
ろくせいらせん @dddrill

そんな事を考えていると、提督用の机のほうに目が留まった。未決の書類が山の如し。私が勝手に片付ける訳にもいかない案件がかなり溜まっている。提督の仕事量は多いとはいえ、「もう流石に片付けを……」急ぎのものは別途整理してあるが、期限の近い物はあるかもしれない。 12

2014-06-18 02:59:59
ろくせいらせん @dddrill

私は提督に許可を取り(気の抜けた返事が帰ってきただけだが)、書類の山の解体を決意した。……少し山を掘り進むと、『極秘』『Secret』の仰々しいスタンプが押された書類が出てきた。こんなものまで無造作放置されているとは。私が見てもいいのだろうか?だが、中身は妙に気になった。 13

2014-06-18 03:04:17
ろくせいらせん @dddrill

結局、(秘書艦権限……秘書艦権限……)そう自分に言い聞かせ、私はページを捲った。「超兵器調査……報告書?」それは報告書だった。要約すれば、あの『ヴォルケンクラッツァー』の一件以来、世界中で「超兵器」が他に無いかと捜索活動が行われたという。これはどうもその中の一つらしい。 14

2014-06-18 03:05:48
ろくせいらせん @dddrill

「なになに……北極へ派遣された科学調査団が、ボーリング調査中に『超兵器』に類似したノイズを感知……?」報告書には一枚の航空写真(コンピューターで処理をしたものらしい)が添えられていた。……そこに写っていたのは、なんだかわからない何かだった。 15

2014-06-18 03:11:18
ろくせいらせん @dddrill

多分『超兵器』なのだろう。『ヴォルケンクラッツァー』のシルエットも異様だったが、あれはサイズがおかしいだけで、船であることは分かった。だがこれはどうだろうか?一番近いものと言えば、「宇宙船……?」宇宙船としか言えなかった。それも、アニメや漫画に出てくるようなタイプの。 16

2014-06-18 03:12:50
ろくせいらせん @dddrill

私は「艦」だった頃から数多くの軍艦を修理してきた。その経験から言って、これは海を移動するために作られたものではない。無論、陸を移動するためのものでもない。双胴船に近いシルエットを持つその何かは、『マキナ・インコグニタ(未知の機械)』と報告書の中で名付けられていた。 17

2014-06-18 03:16:50
ろくせいらせん @dddrill

艦これ✕鋼鉄の咆哮二次創作『大いなる冬』#2

2014-06-22 01:24:13
ろくせいらせん @dddrill

【注意】この作品はゲーム『鋼鉄の咆哮』シリーズと『艦隊これくしょん』をもとにした二次創作です。原作、ならびにその派生作品及び現実の軍事事情とは設定が大きく異なる場合があります。あと『摩天楼の光』togetter.com/li/675378 の続編です。 #大いなる冬

2014-06-22 01:25:56
ろくせいらせん @dddrill

その日。横須賀の空にオーロラが輝いた。 私達は揃って空を見上げた。美しくも不気味な赤い輝きは、まるで世界の終わりの前触れのようだった。 1

2014-06-22 01:28:47
ろくせいらせん @dddrill

そして、地球規模で地磁気が少しずつ狂いはじめていた。一部の筋によれば、北極点を始めとする数カ所で、強力な電磁波の「ノイズ」発生が確認されたという。原因は不明。だが、私達だけはその現象に心当たりがあった。……『超兵器』。確証は無かった。それでも、それ以外には思い浮かばなかった。 2

2014-06-22 01:33:40
ろくせいらせん @dddrill

その予感は当たっていた。極点の『マキナ・インコグニタ』。イタリアの『双頭の巨人』。ハワイ沖の『鵺(キマイラ)』。各地で発掘された巨大な「超兵器」のものと思われる残骸たち。それらは一斉に鳴動をはじめ、深海棲艦たちは海の底へと消えた。世界は巨大な嵐の前の静寂を迎えていた。 3

2014-06-22 01:35:59
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