ノーベル賞と「slave(奴隷)」

日本の技術者の地位向上を願っていた中村氏がノーベル賞受賞。しかし皮肉なことに、政府では技術者を再び「slave(奴隷)」に戻す法改正が議論されている。
6
shinshinohara @ShinShinohara

中村氏が青色LEDの開発でノーベル賞を受賞した。これで行方が気になるのは、国内で制度が大きく変えられようとしている特許の権利の問題。現在政府は、企業からの要請を受け、これまでは発明者個人に特許の権利があるとしていたのを、完全に会社のものとする法改正を目指しているからだ。

2014-10-07 21:47:01
shinshinohara @ShinShinohara

だがその動きは中村氏の当初の願いとは逆行する。中村氏は青色LEDの開発に成功に対しさしたる報酬もなく、外国で「slave(奴隷)」と呼ばれたのに衝撃を受けた。「日本の技術者は社会的地位が低すぎる」そう考えた中村氏は技術者を正当に評価して欲しいと、会社を相手取り訴訟を起こした。

2014-10-07 21:52:45
shinshinohara @ShinShinohara

中村氏は結局、8億円あまりの報酬で会社と和解。画期的な技術には高額の報酬を与えられるべきである。技術者の存在価値を一気に高めた・・・ように見えた。その後、中村氏に続けと、フラッシュメモリーの開発者なども訴訟を起こし、企業は「技術者の一揆」で高額の報酬をむしり取られると恐怖した。

2014-10-07 21:58:36
shinshinohara @ShinShinohara

訴訟を起こした事例はいずれも、社会を変えるほどの画期的発明でありながら、当時の開発環境は恵まれず、成功後も十分な評価がなされていない技術者だった。訴訟を起こさざるを得ない心情にも同情すべき点がある。実際その後、企業は技術者の待遇に意を砕き、その後高額訴訟は鳴りを収めている。

2014-10-07 22:04:31
shinshinohara @ShinShinohara

だが企業の経営者は、技術者の「一揆」(訴訟)を恐れたままだった。政府に働きかけ「特許の権利は発明した技術者にある、という今の法規を改正し、100%会社の権利にして欲しい」と要望した。現政権はその要望通り、特許の権利は完全に会社に帰属すべく、法改正しようとしている。

2014-10-07 22:13:05
shinshinohara @ShinShinohara

もし法改正が実現すれば、中村氏が希望した技術者の社会的地位の向上はわずか10年程度の夢幻に終わり、技術者は再び会社の「slave(奴隷)」に戻ってしまう。中村氏の願いは水泡に帰しようとしていたこのタイミングで、ノーベル賞受賞の知らせ。果たして法改正はどうなるだろうか?

2014-10-07 22:16:53
shinshinohara @ShinShinohara

そもそも奇妙なのは企業の経営者たちだ。社会を変えるような画期的な発明は当然ながら巨大な利益を企業にもたらす。なのに特許の権利を100%会社のものにし、技術者が一揆(訴訟)を起こせないようにすれば、技術者の意欲を奪い、画期的な成果を出なくなり、結果として企業業績を悪化させてしまう。

2014-10-07 22:22:46
shinshinohara @ShinShinohara

企業業績を悪化させる道を選び、画期的発明で企業を大きく発展させる道を放棄する。この奇妙な選択をなぜ企業の経営者は選び、政府にせっせと働きかけるのか?それは彼らが真の意味での「経営者」ではなく単なる「高額報酬者」であり、その地位を維持するのに必死な小者だからである。

2014-10-07 22:26:38
shinshinohara @ShinShinohara

銀行上がりや経営コンサルタント上がりで横滑りに経営者となった彼らは、企業が長期的に発展する方策にはまるで関心がなく、自分が経営者の身分でいる間、平穏無事に終えることだけを願っている。そうすれば多額の退職金と高報酬の転職先が約束されるからだ。だから不測の事態を極端に嫌がる。

2014-10-07 22:31:05
shinshinohara @ShinShinohara

株主総会を無事に切り抜けられるよう、技術者が訴訟を起こして「経営者の統治能力の欠如」という烙印を押されないよう、現在の経営者は技術者から特許の権限を完全に取り上げ、企業に反乱を起こしようがなくなるよう、法改正を願っている。「経営者」と言っても、彼らは保身しか考えていない。

2014-10-07 22:34:40
shinshinohara @ShinShinohara

技術者から特許の権利を取り上げようと運動する企業の経営者たちは、いわば名馬を乗りこなせない騎手のようなものだ。「速い馬は落馬するかもしれないから怖い」と言って駄馬に乗る騎手は決して勝てない。同様に、現在の日本の経営者は、経営に携わる今の無事だけを願い、駿馬を遠ざける。

2014-10-07 22:40:14
shinshinohara @ShinShinohara

優れた技術者は駿馬のようなもの。乗りこなすのは難しい。駿馬はしばしば気が荒く、猛々しいこともある。だが乗りこなせばこんなに頼もしい仲間はいない。だから優れた騎手は競って駿馬を求める。駿馬が「速いから怖い」というのでは騎手としていかがなものか。そして真の経営者とは?

2014-10-07 22:43:32
shinshinohara @ShinShinohara

もし政府が日本の行く末を思い、長期的な発展を願うのであれば、保身に汲々とする臆病者の経営者たちに耳を貸すべきではない。日本中に駿馬を輩出し、駿馬を乗りこなせる人間だけが経営者になる社会体制を目指すべきである。もし選択を誤れば、日本の将来は恐ろしく暗いものになるだろう。

2014-10-07 22:48:49